写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年4月29日 記事は取材時の状況)
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あなたは、もう二度と会いたくないと思っていた相手と再会してしまったらどうしますか?
ですがそれが転機となり、結果的に幸運をつかめる事もあるようです。そんな経験をした女性にお話を聞いてみました。
◆4年前のストーカー男が最寄り駅にいた
澤柳彩芽さん(仮名・27歳・派遣社員)は、Wさん(34歳・不動産業)とお付き合いを始めて3年目になります。
「バンドをやっている友達のライブの打ち上げに行った時、たまたま隣の席に座ったのがWだったんですよ。音楽の話で盛り上がって、一緒にライブやイベントに行くようになり、自然と付き合うようになりました」
そんなWさんですが、最近忙しいのかあまり彩芽さんをかまってくれません。
「一緒にライブ行こうよと誘っても『行けるかどうか分からないから、他の友達を誘いなよ』と何度も断られて寂しいんですよね。
この間も、せっかくWの部屋に遊びに行ったのにずっと寝ていて全然起きてくれないので、私がイライラしはじめたらケンカになっちゃって」
彩芽さんは“もしかしてマンネリ気味の付き合いに嫌気がさしたとか?ひょっとして他に好きな人がいるのかも…”と不安に思っていたそう。
そんなある日、最寄り駅のホームである男性を見かけて血の気が引く彩芽さん。
「私、4年前にストーカー被害に遭った事があって…そいつがこっちを見ていたんですよ。恐ろし過ぎて心臓のバクバクが止まりませんでした」
走って駅を出て、タクシーに乗り込むと真っ直ぐに彼氏の部屋に向かいました。
◆警察にも相手にされず、両親に借金して自宅を引き払った
「そのストーカーは、当時住んでいたマンション近くのコンビニ店員なのですが、私をつけ回したり、郵便受けに直接手紙を入れてきたりして『毎日可愛いね。でも、ブリトーばっかり食べてないで自炊もしなよ』とか気持ち悪い事を書いてくるおっさんで」
その手紙を持って警察に相談に行きましたが「それぐらいじゃちょっと…何かあったら、また来てね」と相手にしてもらえなかったそう。
「仕方がないので、両親にお金を借りて引っ越しをしたんですよ。それからは何事もなく平和に過ごしていたのですが、まさか今になってまたヤツが現れるなんて」
ようやく彼氏のマンションに着くと、あわてて部屋に駆け込む彩芽さん。
「そしてWの顔を見たら安心したのか、私、腰が抜けたように座り込んで泣いてしまって」
驚いてアタフタしている彼氏に、やっとの思いで理由を伝えると…。
◆急なプロポーズ。彼氏が引っ越しをやってくれた
「Wに抱きしめられて『結婚しよう』と言われたんですよ。嬉しかったですが、“何で今〜?”という感じでした」
実はWさん、ずっと彩芽さんとの結婚を考えていて、今年の誕生日かクリスマスに指輪を買ってロマンティックにプロポーズをしようと考えていたのだとか。
「ですが、私が恐れおののいて弱り切った姿を見せてしまったので、Wはとにかく安心させなきゃと思ったらしく…気がついたらプロポーズしていたって言ってましたね」
彼氏が冷たいと感じたのも、結婚に向け、さらに仕事に力を入れて頑張っていたからだと知った彩芽さん。
「そのまま私は彼の部屋に住み始めて、私の住んでた部屋は引き払い、引越しや片付けなど全部Wがやってくれたんですよ」
ですので、あの恐怖の晩を最後に、彩芽さんはその最寄り駅に行っていないそう。
「今になって、もしかしたらアレは人違いで、ただあの時のストーカーに似たおじさんだったのかも…と思う時もあるのですが、まぁ今が幸せなのでいいですよね(笑)」
彩芽さんはハワイでの挙式を控えているそうです。
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop