首相官邸に入る石破茂首相=18日、東京・永田町 週明けの国会はトランプ米政権の関税措置に関する日米閣僚協議を踏まえ、党首討論を含めて与野党の活発な論戦が展開される見通しだ。協議の行方は石破茂首相の政権運営や夏の参院選に影響する。野党は安全保障面の負担や米国の貿易赤字解消を巡りどう着地点を探るか、道筋を示すよう迫る。
参院予算委員会は21日午前、首相と赤沢亮正経済再生担当相ら関係閣僚が出席し、関税問題などに関する集中審議を実施。23日午後には今国会初となる党首討論が予定される。
訪米した赤沢氏は16日(日本時間17日)、トランプ大統領と会談し、交渉担当のベセント財務長官らと協議した。トランプ氏は在日米軍駐留経費の負担増を求め、対日貿易赤字の削減や米国製自動車の輸入増も主張した。
安保分野では日本の防衛費増額もテーマとなる可能性があり、野党からは「無理な条件をのむことは避けなければいけない」(立憲民主党の野田佳彦代表)とする声が相次ぐ。自動車の安全基準といった「非関税障壁」の撤廃や農産物市場の開放など米側の言い分に対し、日本側では懸念が強まっている。
米相互関税や物価高への対応を名目に政府・与党は参院選前の現金給付を一時検討したが、「ばらまき」批判もあり、財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の今国会提出を見送ることにした。立民や日本維新の会、国民民主党は補正編成を主張。ガソリン税暫定税率廃止の要求に加え、消費税減税論も強まっている。国会質疑でも政権の迷走をやり玉に挙げる構えだ。
参院予算委では自民党旧安倍派の裏金事件を巡り、離党した世耕弘成前参院幹事長(現衆院議員)の参考人招致が21日午後に行われる。立民は参院選を見据え、この問題の追及を続ける方針。未解明となっている裏金づくりの経緯について新たな証言が得られるかどうかが焦点となる。
衆参両院の政治倫理審査会の弁明聴取は18日に終わったが、真相解明にはつながらなかった。同派の元会計責任者は2月の衆院予算委の聴取で、政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分の還流再開は世耕氏を含む4幹部協議で決まったと証言しており、この点に関する説明が注目される。