大河『べらぼう』平賀源内ついに退場へ…死に至るまでの史実とは?刃傷沙汰や投獄、事故物件への引っ越しも

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2025年04月20日 08:50  女子SPA!

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エレキテルを調整する平賀源内(C)大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」NHK総合
 毎週日曜日がやってくるのが待ち遠しい……。江戸好きが高じて江戸文化歴史検定まで取得している筆者は、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」にドハマりしている一人。毎回欠かさずドラマを観ています。

 さて、次回4月20日の第16回のタイトルは「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」。ついに、安田顕さん演じる平賀源内が退場すると思われます。実は彼の最期についてはさまざまな言われがあり、ドラマでどの説を描くのか、注目したいところ。

 そこで、平賀源内が死に至るまでに起こることはどのようなことでしょうか。

◆エレキテルだけじゃない!多才なマルチタレント「平賀源内」

「平賀源内」という名前を聞くと、多くの方が「エレキテル」「発明家」「土用の丑(うし)の日」といったキーワードが浮かぶかと思います。

 もちろん間違いではないのですが、実は平賀源内は本草学(現在の薬学に近い学問)の学者を始め、鉱山技師、産業技術家、発明家、コピーライター、作家、そして日本で初めての西洋画家などなど、実に多才で幅広い分野に関わるマルチタレントでした。性格も、好奇心旺盛で楽観的、興味を持つと徹底的に凝るタイプだったとか。

ですが、そんな源内も、晩年の運勢は下り坂。江戸の話題をさらうような人気者にもかかわらず、最後は罪人、そして獄中死という結末を迎えてしまうのです……。

◆偽エレキテル事件で世間からの信用がガタ落ち

 源内が亡くなる前の年の安永7年。『べらぼう』でも描かれていた、エレキテルが偽造される事件が起こります。

 模造品は本物のエレキテルのように静電気が発生しないこともあり、信用はガタ落ち。そもそも、エレキテルは見世物小屋で扱われていたこともあり、世間はだんだん源内に対して興味を失っていきます。

 このころから、自分の才能を認められなくなった焦りや自信の喪失から、源内はいらだち周囲に当たり散らすなどといった行動を見せるようになったようです。

 さらに翌年(亡くなる年)、なぜかいわくつきのいわゆる“事故物件”に引っ越します。そこは貸金業を営んでいた神山検校の旧宅。悪事を働き追放されて哀れな末路をたどり、さらに子どもも井戸に落ちて亡くなったことから、幽霊が出ると噂されるヤバい家だったとか。

 そんな恐ろしい家で暮らし始めて数か月後、自身が刃傷沙汰を起こしてしまうのです。

 この殺人事件、おそらく当時は大スキャンダルとなり、江戸中を騒然とさせたはずなのにもかかわらず、事件の詳細については不明な点が多くあります。ここでは、有力な説を2つご紹介します。

◆和解の宴の翌朝。カン違いで口論となりカッとなって…

 1つは、高松藩の家老・木村黙老の『聞まゝの記(きくままのき)』に記録されている説。当時、源内はある大名の庭の普請(ふしん・土木や建築の工事のこと)について見積もり依頼を受けていました。

 すでにその普請はある町人が請け負うことが決まっていたのですが、莫大(ばくだい)な費用がかかるため、役人が源内に相談していたのです。仕様書を見た源内は「自分なら費用を大幅に削減できる」と豪語したことから、その普請は源内が請ける流れに。

 それが原因で、役人と町人の間でいさかいが起こってしまいました。結局、源内と町人が共同で請け負うことで決着。その和解の印として、源内の家で宴を設けることになりました。

 宴では、源内が仕様書を見せ、予算を削減できる画期的な構想を説明。役人も町人も大いに感心したのだとか。その盛り上がりは終わることがなく、役人たちは途中で帰宅し、源内と町人だけで飲み明かすことに。そして、二人は泥酔していつの間にか眠ってしまいました。

しかし、明け方源内が目を覚ますと、見せていた仕様書などの書類がないことに気づきます。慌てて町人を起こし、書類を盗んだのでは、と問い詰めると、相手は身に覚えがないと反論。口論になり、源内は逆上し町人に斬りかかってしまったのでした。

 ちなみにその後、罪を逃れられないと悟り自決しようとした源内が身の回りの整理をしている時に、例の書類を発見。自分の勘違いであることがわかり、切腹しようとしたところを弟子に止められ、投獄されるに至ります。

◆仲の良い2人の知人と口論になり…?

 もう一つの説は、著述家の斎藤月岑(げっしん)による『平賀実記』に記されたもの。上記の話とは全く異なり、被害者は源内の弟子の神田久五郎と、勘定奉行の中間(雑用係的な役割)丈右衛門の2人で、どちらも源内とは深い付き合いのある友人でした。

 殺害の動機は分かっていませんが、2人が源内の家に泊まった翌朝、口論となり殺傷。丈右衛門は指の負傷だけでしたが、久五郎は頭に傷を受け、亡くなったといいます。

 さて、ドラマではどちらかの説が描かれるのか、はたまた全く新しい解釈が採用されるのでしょうか。第16回の予告からは、源内が何か書類を探しているようだったり、険しい顔をして血のついた刀を持っていたりといったシーンが見られ、もはやどちらの説でもアリなような……?

 しかし、タイトルにある「蓬莱(ほうらい)」とは、不老不死の仙人の住まう永遠の繁栄の象徴や理想郷のこと。きっと史実と同じように悲しい結末になることは避けられませんが、源内イズムは蔦屋重三郎や残された人々に受け継がれていく、という希望を感じさせてくれるのでは……と期待せずにはいられません。

 愛すべきキャラクターとして初回から大いに存在感を見せてきた、平賀源内。週末の夜は、彼の最期をじっくり見届けましょう!

◯参考文献
:土井康弘『本草学者 平賀源内』講談社 2008年
:新戸雅章『平賀源内 「非常の人」の生涯』平凡社 2020年

(C)大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」NHK総合 毎週日曜夜8時
<文/関由佳>

【関由佳】
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitter/ブログ

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