三笘薫、途中出場で反撃の狼煙&今季8ゴール目 ブライトンは欧州カップ戦が遠のく

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2025年04月20日 11:00  webスポルティーバ

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 プレミアリーグ第33節。10位のブライトンはアウェーで11位のブレントフォードと対戦した。両者の勝ち点は48と43で差は5。それぞれはプレミアリーグの上位と下位を分ける境界のような立ち位置にある。

 もうひとつの境界は7位のアストン・ビラと8位ボーンマスの間に存在する。こちらの差は6点。これは、来季のチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)出場を懸けて争うチームとそれ以外のチームとの境界になる。ブライトンは残り6試合、すべて勝つぐらいでないとそこに滑り込むことはできない。ブレントフォード戦は絶対に落とせない試合だった。

 しかし三笘薫は、前戦レスター戦に続きスタメンを外れた。前々節のクリスタル・パレス戦で右のかかとを損傷。程度は重くないということで、早ければ後半の頭から出てくるのではないかと予想する向きもあった。

 ブライトンは開始9分に失点する。0−1のまま後半を迎えていれば、後半の頭から三笘は出場していたかもしれない。だが前半アディショナルタイム、ブライトンはヤンクバ・ミンテ(ガンビア代表)、マッツ・ウィーファー(オランダ代表)とつなぎ、ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)が頭で押し込み同点とした。

 しかし後半、ファビアン・ヒュルツェラー監督は動かず、三笘投入を躊躇った。結果論になるが、ブライトンの敗因はそこにある。

 ブレントフォードは後半3分、ブライアン・エムベウモ(カメルーン代表)のゴールで再びリードを奪うと、後半13分には、ヨアネ・ウィサ(コンゴ代表)が追加点を挙げ、スコアを3−1とした。

 追い打ちをかけたのが、その3分後に起きたジョアン・ペドロ(ブラジル代表)の肘撃ちだ。一発レッドとなり、ブライトンは10人での戦いを余儀なくされた。

 三笘の登場はその直後。後半21分だった。同じタイミングで入ったソリー・マーチ(元U−21イングランド代表)と両ウイングを張った。布陣は4−4−1。10人になっても両ウイングのスタイルを維持するか否かで、その監督の志向は明らかになる。この場合はリードされているので当然といえば当然だが、これを機に反撃のスイッチは入ったかに見えた。

【きれいすぎる崩しからの得点】

 後半30分、三笘が挨拶代わりのドリブルを披露した。左サイドでMFクリスティアン・ノアゴール(デンマーク代表)をかわし、さらに前進を試みたところで、右SBクリストファー・アイエル(ノルウェー代表)に潰された。しかしそのスピード感あふれる滑らかなドリブルは、反撃ムードを高める効果があった。

 惜しいプレーは続く。後半34分。右SBウィーファーから差し込むようなグラインダーのクロスボールに対し、三笘は逆サイドから侵入。スライディングシュートを敢行した。ボールの勢いに押され、左足インサイドの当たりどころが悪く、シュートは枠を超えていったが、可能性のさらなる高まりを感じさせるワンプレーだった。

 10人で戦っているのはどちらのほうか、わからなくなっていた。ブライトンはイケイケムードになっていた。ヒュルツェラー監督はこの間、布陣を4−4−1から4−5−0の0トップスタイルに変更していた。

 後半36分、そのトップの位置に、9番然と現れたのが三笘だった。右サイドでウィーファー、マーチが攻撃のかたちを作ると、中央のジャック・ヒンシェルウッド(U−19イングランド代表)からの裏を突いたスルーパスに三笘が応える。ここに寄こせとヒンシェルウッドにパスコースを要求すると、左に流れながらマークをかい潜り、ゴールの逆サイドに謀ったように流し込んだ。人数が少ない側のチームの攻撃にしては、きれいすぎる崩しだった。

 スコアは2−3で残り時間は8分+アディショナルタイム。ブライトンはさらなる攻勢を仕掛けた。しかし、10人のチームが11人のチームに長い時間、斬るか斬られるかの打ち合いを挑めば、撃ち返されるのは時間の問題だった。

ブレントフォードも捨てがたい魅力を持つ好チームだ。95分、MFマティアス・イエンセン(デンマーク代表)の蹴った右FKをノアゴールに頭で決められ致命的な4点目を奪われるのは、当然の帰結と言えた。

 ブライトンの順位は試合前の10位と変わりないが、CL圏内(4位/マンチェスター・シティ)まで10ポイント差、EL圏内(5位/ノッティンガム・フォレスト)までは9ポイント差に開いた。残り5試合でこの差は絶望的だ。

 三笘はこの日の得点で今季8ゴール(カップ戦を含めると9ゴール)となり、3シーズン目を迎えたプレミアリーグで一番の数字を打ち立てた。喜ばしい話ではある。ただし、CL、EL出場の道が事実上、断たれたとなると、喜びも半減する。

 今季CLに出場した日本人選手が12人を数えるなかで、三笘にはいまだそのキャップがない。一流選手の称号を手にすることができずにいる。来季はシーズン直後に2026年W杯本大会が控える。W杯とCLは密接な関係にある。国としてCLに何人の自国選手を送り込むことができるかは、W杯の行方を占う大きなバロメーターになる。

 三笘はそこに出場することができるか。移籍の可能性もゼロではないが、来月28歳になる選手に栄転の可能性があるかと言えば、高いハードルがあると言わざるを得ない。この日の鮮やかな得点シーンと現実は、対照的な関係にある。残り5試合、わずかな可能性を信じて、ウイングプレーと得点に磨きをかけながら追求してほしいものである。

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