寺島しのぶ、歌舞伎描いた映画「国宝」は「自分にダブる」歌舞伎役者の母として複雑な思いも…

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2025年04月23日 20:52  日刊スポーツ

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映画「国宝」完成報告会で、作品に対する思いを語る吉沢亮(前列右)(撮影・千葉一成)

寺島しのぶ(52)が23日、都内で行われた映画「国宝」(李相日監督、6月6日公開)完成報告会で「自分が、この役に課された役割が、今の自分にダブっているようで、不思議な撮影の感覚を得ることができた」と口にした。


寺島は劇中で、渡辺謙(65)が演じた上方歌舞伎の名門・丹波屋の看板役者・花井半二郎の妻で、横浜流星(28)が演じた俊介の母幸子を演じた。寺島自身、尾上菊五郎(82)を父に持ち、長男の尾上眞秀(12)も歌舞伎の道を進む。それだけに「出演というより、スタッフ。見てきたものと違うと「ここ、違うんじゃないですか?」と撮影中、李相日監督(51)に歌舞伎の世界で見知ったことと、違う部分があれば指摘したという。「李さんも真摯(しんし)に変えられて、楽しかった」と撮影を振り返った。


一方で「私は、できあがった作品は見ないので…評判は聞いている。李監督は、えげつなくカットされる監督と聞いているので…だから、もう2、3年、温めてから見る」と笑みを浮かべた。これには、渡辺も「(出演シーンは)あったって」と突っ込み、笑った。


半二郎は、任侠の一門に生まれながらも抗争で親が殺され、歌舞伎役者の家に引き取られて芸の道に人生をささげた、主演の吉沢亮(31)が演じた喜久雄を引き取り、俊介と切磋琢磨(せっさたくま)させる。幸子は、そんな半二郎が喜久雄の方により才能を見出していくことに妻、母として嫉妬と怒りを訴える役どころだ。


寺島は「(俊介が)自分の子だから、さておいて(喜久雄の方に)いっちゃう主人(半二郎)が、ムカついてムカついてならなかった」と我慢ならないとばかりに力説した。「国宝」は、作家・吉田修一氏が自ら、映画で歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎の元で3年間、歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験を血肉にし、書き上げた小説を映画化した。半二郎が喜久雄を重んじた部分に関しては「歌舞伎界では考えられないので…すごいもの書いたな、吉田さんは、と思った」と、笑いながら口にした。

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