
大阪・関西万博、イタリアパビリオンの展示物の豪華さがSNS上で話題になっている。
「イタリアの政府代表が『日本やアジアの方にレプリカではない実物を見てほしい』と述べているように、やはり本物のもつ力は大きい。」と間近で見た「ファルネーゼのアトラス」の写真を紹介したのは和光大学表現学部講師の君島彩子さん(@kimi_aya_)。
今回、古代ローマ時代の「ファルネーゼのアトラス」、カラヴァッジョの「キリストの埋葬」、レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆スケッチなど国宝級の品々を惜しみなく展示しているイタリアパビリオン。レプリカには出せない本物ならではの迫力で、各国のパビリオンの中でも頭一つ抜けた注目を集めているのだ。
君島さんにお話を聞いた。
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ーーアトラスをご覧になったご感想をあらためて。
君島:彫刻の技術ももちろん素晴らしいですが、大理石の表面の質感が美しいなと感じました。
ーー本物を見ることの意義とは?
君島:大理石の持つ重量感と、作者の手業が伝わる表面の細かいディテールまでじっくり見ることができるのは本物ならではです。さらに彫刻は、写真だけでは全体を掴むことができないので、今回の展示のようにぐるりと回って見れるのは本当に重要な経験だと思います。
そして本物を見たという体験は、やはり記憶にも残りやすいので、何度もその感覚を思い出すことができますね。
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ーー他にも万博で印象的な展示はありましたか?
君島:インドネシアのパビリオンは構成もとても良かったです。本物の植物の植えられた温室、お面や布、ドラマ仕立てのワヤンの動画などバラエティ豊かにインドネシアの文化を伝えており、その中にインドネシアの各島に伝わる伝統的な装飾つきの剣や槍の展示がありました。日本の博物館でも何種類かインドネシアの剣を見たことありましたが、これだけ多くの本物を剣を見比べられるのはなかなかない機会ではないかなと思いました。
ーー反響について。
君島:万博には様々な側面があり、その中のいち要素としてイタリアパビリオンの率直な感想を書いただけなので少し驚いています。これで混雑してしまったりしたら申し訳ないなとも思いました。
◇ ◇
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SNSユーザー達から
「本物だと言われて初めてその気になってみる本物だとしても、本物を見たという経験はどんなに精巧なレプリカを見た経験よりも遥かに本人の情緒に良い影響をもたらすのだと信じたい。」
「この天球儀、世界最古の歴史的遺物らし 天球を外側から見た星の位置を示しており、我々が実際に見てる星々とは左右逆転 極めてリアルで、古代ギリシャの大天文学者ヒッパルコスの星座表(紀元前125年頃)を模写してるとの説も 驚きます 」
「これも凄いけど、これを運んで来た運搬技術も凄いと思う」
など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。このような機会はなかなかあるものではない。ご興味ある方はぜひ足を運んでいただきたい。
なお今回の話題を提供してくれた君島さんが所属している万博学研究会は先日『万博学/Expo-logy』第3号を発売。君島さんによる「沖縄国際海洋博覧会と平和祈念公園の成立」という記事も掲載されているので要チェックだ。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)