人工知能(AI)の開発促進とリスク対応の両立を図る法案を可決した衆院本会議=24日午後、国会内 人工知能(AI)の開発・活用の推進をうたった法案は24日の衆院本会議で、自民、立憲民主両党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。AIが犯罪などに悪用されるリスクへの対応も掲げ、悪質な事業者を公表できるようにする規定を盛り込んだ。今国会で成立する見通しだ。
法案はAIに関し「経済社会の発展の基盤となり、安全保障の観点からも重要な技術」と明記。首相をトップに全閣僚で構成する「人工知能戦略本部」を設置し、開発・活用に関する「人工知能基本計画」を策定するとした。欧米と比べ遅れが指摘される研究開発を政府一丸で推し進める。
一方、AIが不正な目的や不適切な方法で活用されれば「犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害を助長する恐れがある」と指摘。事業者の責務として「国・地方公共団体の施策に協力しなければならない」とし、人権侵害などがあった場合は国が調査した上で、研究機関や事業者に「指導、助言」など必要な措置を講じると定めた。事業者名公表を可能にする規定も盛り込んだ。
ただ、技術革新を妨げないよう罰則は設けなかった。政府は刑法や著作権法など既存の法令で対処する方針だ。