ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー) 第109回インディ500オープンテスト 4月23日(水)〜24日(木)にかけて、アメリカ・インディアナポリス州のインディアナポリス・モータースピードウェイにて、5月の第109回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)へ向けたオープンテストが行われた。このテストには34名のドライバーが参加し、5804周の走行が進められた。
世界3大レースのひとつとしても知られるインディ500。第109回目の開催となる今年は、5月13日(火)から練習走行がスタートし、5月25日(日)に決勝レースが行われる。
伝統の一戦へ向けたこのオープンテストは、2日間にわたって行われており、初日の23日のセッションではスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がトップタイムをマークした。
6度のシリーズチャンピオンでもあるディクソンは、225.182mphのラップを刻んでトップに立った初日に、「これはテストだから、多くの変更を試しているところだ。ハイブリッドを使うのは今回が初めてだが、いくつかの要素を加えて面白いものになっていると思う。レースの展開を大きく左右するかもしれないし、予選でも影響を与えるかもしれない」と、2025年大会へ向けた印象を語っている。
そして、初日の2番手には現在2連覇中のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がつけ、さらに3番手には日本の佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が続く好調なスタートを切った。
また、前走車のスリップストリームを利用しないで記録された“ノートウ”のトップ3にはフェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)、佐藤琢磨が続き、ホンダがトップ3を占める結果となった。
迎えたテスト2日目は、午前中のセッションで予選用のターボブーストが解禁され、各車はアタックシミュレーションを実行。2024年大会のポールポジションを獲得していたスコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)が、232.686mphで最速スピードを記録した。
マクラフランは「良い流れだった。ハイブリッドの観点から多くのことを進められたと思う。午前のハイブーストセッションは、途中にイエローが何度か出たし、少し運に左右されるものだったね。全体としては、インディ500へ向けた期間のスタートとしてかなり良いクルマのバランスだったよ」と、テストで得た手応えを語った。
そして2番手には佐藤琢磨が続き、232.565mphをマーク。このラップは、先行車のスリップストリームの恩恵を受けずに達成されたノートウの最速でもあった。
しかしその後、琢磨のマシンは予選へ向けた低ダウンフォース・高ブーストのリスクが露わとなり、クラッシュによって大きくダメージを受けることとなってしまった。
琢磨は3周目に最速ラップを記録したが、その後ターン1でSAFERバリアに激しく接触し、ターン2で停止。マシンは大きなダメージを受け、午前のセッションではわずか8周しか走行できなかった。
ドライバーは無傷であったものの、インディカー公式のインタビューに対し琢磨は「単純に(コントロールを)失ってしまいました。体は大丈夫ですが辛いですね……、マシンを失ってしまったので、本当に胸が痛みます」とコメントしている。
また琢磨のほかにも、2021年のNASCARカップシリーズ王者であり2024年のインディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤーであるカイル・ラーソンも、午前のセッションでクラッシュを喫している。
その後、オープンテストを締める午後のセッションでは、レース当日に使用されるものと同じブーストレベルに再調整され、混走状態のなかでパロウが223.993mphのトップスピードを刻んだ。
パロウはテスト後に、「つねに先を追い続けて、より良くしようとしなければならない。トラフィックのなかで快適に走れるようにし、なおかつ単独走行でも速くなるように調整しなければならない。それこそが、勝利へのチャンスを与えてくれるクルマだから」とコメント。さらなる改善へ向け、幸先のいいスタートを切った。
さらに、パロウに続いてローゼンクヴィスト、カイル・カークウッド(アンドレッティ・グローバル)らがトップ3につけ、決勝シミュレーションと言えるセッションでもホンダエンジン勢がトップ3に並ぶリザルトとなった。
迎える5月は、インディカーのレースが3本行われる月となり、5月4日(日)にアラバマ州のバーバー・モータースポーツ・パークで『チルドレンズ・オブ・アラバマ・インディ・グランプリ』が、続いて5月10日(土)にはインディアナポリスのIMSロードコースで『ソンシオ・グランプリ』が開催。そして5月25日(日)には、IMSオーバルでインディ500が行われる。
[オートスポーツweb 2025年04月25日]