ゴールドウイン、創業地・富山県に建設する大規模施設の計画を発表

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2025年04月25日 18:21  Fashionsnap.com

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プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト 全体図のイメージパース © Goldwin Inc. © Play Earth Park Inc.


 ゴールドウインが、創業地である富山県に建設する大規模な複合型アウトドア施設「プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト(Play Earth Park Naturing Forest、以下ネイチャーリング フォレスト)」のプロジェクトを発表した。ゴールドウインの本社で行われた発表会には、ゴールドウインの渡辺貴生代表取締役社長をはじめ、同プロジェクトに参画する8組の設計者が登壇し、今後の建設計画について明らかにした。今年5月から着工し、2027年春に竣工予定となる。開業予定時期は、2027年初夏。

 ネイチャーリング フォレストは、同社がビジネスと遊びの開発を通して社会の課題解決を目指すヴィジョン「PLAY EARTH 2030」を実現することを目的に、2023年に設立した子会社「PLAY EARTH PARK」による事業の一環として始動。富山県南砺市の桜ヶ池周辺に位置する約40ヘクタールの土地を拠点に、子どもにとっては初めての感覚を経験する場として、大人にとっては新たな気づきを得ることができる場として機能する“ネイチャーパーク”を目指す。敷地内には、子どもが好奇心のままに遊びを楽しめる遊具を中心とした「パークエリア」、森に生息する鳥や虫、草花などの生物を観察することができる「フォレストエリア」、多様な植物が共生する自然の美しさに触れながら、隣接するヴィラやキャンプサイトに滞在できる「ガーデンエリア」の3つのエリアを展開する。

 パークエリアは、「子どもの野性の解放」をテーマに、地形の起伏を生かした遊び場「パーク」を中心に、アウトドアアクティビティの拠点となる「アクティビティセンター」を桜ヶ池の水辺に配置する。パークは、洞窟へ迷い込んだり岩山を登るようなアウトドアならではの遊びが生まれるようにデザイン。設計を担当した建築家の萬代基介は、建物内と外をスムーズに接続し、森や小川とつなげることで、子どもたちが地形と会話しながら遊び、新たなルールを生み出しながら冒険のような遊びを体験できる場として構想したという。アクティビティセンターでは、池につながるデッキから桜ヶ池でのアクティビティが楽しめる。ウェアやギアのレンタルやガイドツアーを提供するほか、アウトドアショップやカフェベーカリーが隣接し、買い物や休憩にも利用できる。設計は、本瀬齋田建築設計事務所が手掛けた。

 フォレストエリアは、中心に展望台を建設し、周辺の森にはコテージを点在させる。展望台の設計は、大阪・関西万博のバーレーンパビリオンを手掛けたことでも知られるリナ・ゴットメが担当。各方角に自然観察エリアを設け、最上部からは砺波平野を見渡すことができ、地下階はガラス越しに土中の根や虫を観察できるなど、自然を探求する場を提供する。コテージは、森の中に滞在しながら、動植物をゆっくりと観察できる拠点として機能するという。

 ガーデンエリアには、「七十二候」の考えに基づき、多年草を中心に設計した「ガーデン」をはじめ、南砺市の散居村からインスピレーションを受けたヴィラやレストラン、かつての水田の地形を活用したキャンプサイトを用意。ダン・ピアソンスタジオ(Dan Pearson Studio)が手掛けるガーデンは、桜や藤、ススキといった季節を彩る植物、湿地や池の水辺の植物とともに、自然の移ろいや営みを五感で楽しむことができる。現代美術家の杉本博司と建築家の榊田倫之による新素材研究所が手掛けるヴィラは、東西南北に張り出した壁と修景池に浮かぶ船のようにデザイン。外にはプライベートガーデンが広がり、夕日や星空、雨など時間ごとの美しい自然の表情を眺めながら、花々や虫、鳥の声に耳を傾ける時間を提供する。

 キャンプサイトの建築には、地域の木材や粘土、籾殻、釉薬を使用。自然と富山の地域文化を融合したキャンプ体験を演出する。設計は、イギリスの建築家コレクティブのアセンブル(Assemble)が担当した。大きな焚き火台を備えたキャンプストアや調理棟などの施設も整備する。
 ネイチャーリング フォレストの玄関口となる「プラザ棟」には、自然遊びのためのウェアやギアや、南砺の食文化が楽しめる食品を取り揃えたショップを併設。川島範久建築設計事務所が手掛けた同建築は、国内初の「Living Building Challenge」の取得を目指し、富山県産材を活用した木造建築として設計。雨水の利用やソーラー発電、地域材の再利用を通じて、環境負荷を抑えた持続可能な空間を目指す。

 敷地内のランドスケープを手掛ける高野ランドスケーププランニングの村田周一氏は、「ネイチャーリング フォレストは、自然との共生を目指すのに適した場所です。桜ヶ池の水面、起伏のある山や森、そして田んぼ。それらが共存した多様な自然環境に触れられ、四方どこを向いても美しい背景に出会えます。その環境を円形として取り込みながら、調和する形で作っていく」と話した。
 渡辺代表は、同取り組みを通して、「ゴールドウインと自然の関係性を改めて知っていただくアピールの機会になる」とコメント。「コト」事業への注力を通じて、コンセプトである「Play Earth(地球との遊び)」の体験機会の提供を目指す。入場料は現時点では未定だが、開業後の年間来場者は100〜150万人を見込むという。

 発表会に登壇した南砺市の田中幹夫市長は、同プロジェクトの発表に際して、「南砺市民はワクワク、ウキウキしていますし、市を挙げて応援しています。南砺市は8割が山林で、自然を大切にする心が宿る町です。これまでも町づくりの中心として、SDGsに取り組んできたことが、今回のプロジェクトにもつながっていると思います。この町には先人たちへの敬いや、自然への感謝といった土徳があります。南砺市の自然の中で遊び、学び、何かを得ることが、子ども達の未来につながると信じています」とコメントした。

■ゴールドウイン プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト敷地面積:約40ヘクタール竣工予定時期:2027年春開業予定時期:2027年初夏

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