“クセのある役”が続く“元祖ロマコメの帝王”ヒュー・グラントが語る今の仕事観 “映画館で観る”文化へのこだわりも

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2025年04月26日 11:00  ORICON NEWS

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ヒュー・グラント(写真:REX/アフロ)
 “元祖ロマコメの帝王”ヒュー・グラントが、頭脳派のサイコパスという新境地に挑んだサイコ・スリラー映画『異端者の家』(4月25日公開)。『ミッドサマー』『LAMB/ラム』などで知られるA24による本作で、グラントはこれまでのイメージを大きく覆す役どころに挑んでいる。

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 日本公開にあわせて、英ロンドンからオンラインで取材に応じたヒュー・グラント。近年“クセのある役”が続く彼に、出演の理由や役作りのこだわり、そして今後のキャリアについて話を聞いた。

■最後に“いい人”を演じたのはいつだろう?

 「どうして僕がこの役に選ばれたのか、自分でもちょっと不思議だったんですよ」と笑うグラントだが、「実は最近こういう“奇妙な人間”や“悪役”ばかりやってるんです。いつから“いい人”を演じてないんだろう?って自分でも考えちゃうくらい(笑)」と振り返る。

 それでも本作への出演を決めたのは、「とにかく脚本が面白くて、完全に映画の常識を逸脱してる」と感じたから。「せりふは膨大で、舞台も基本的に家の中ひとつだけ。それに、A24というスタジオにも大きな魅力を感じました」と明かす。

 リードという人物を演じるにあたり、彼が思い描いたのは「イケてるつもりの大学教授。でも実際は誰にも相手にされていないような、少しズレた人間。そんな変わり者を、自分なりにちょっと面白く演じられるんじゃないかと思ったんです」と語る。

 本作では、「どの宗教も真実とは思えない」という持論から「スター・ウォーズ」まで、幅広い知識量に基づいた圧倒的な長ぜりふも見どころ。台本10ページ分を1カットで撮影したこともあったと言い、「長ぜりふのシーンは楽しめた」と余裕の表情を見せた。

■衣装・小道具まで“役作り”の一環として

 グラントは、衣装や髪型、メイクに関しても「20代の頃から自分で決めている」と明かした。「自分で演じる以上、自分でそのキャラクターを組み立てていく必要がある。どんな髪型か、どんなメガネをかけているか、全部が役を作るピースなんです」。

 特に今回は、彼の書斎のセットに対して細かくリクエストを出したという。「ここにはこの本が必要だ、あの小物が必要だって、長いリストを作って美術チームに渡しました。それだけ、その人物の“世界”を成立させるには、背景も重要なんです」。

 ちなみに、劇中で印象的な「ししおどし」は「監督たちのアイデア」とのこと。「僕の案じゃないけど、彼らはすごくこだわっていたよ」と笑っていた。

※ししおどし=竹筒に水を流し、一定の水量がたまると竹筒が傾き水を吐き出してもとに戻るときに竹筒が石を打って音が鳴る。それが一定の間隔で繰り返される仕組み。もとは、田畑を荒らす鹿や鳥などの動物を追い払うために設けられた。

■“ロマコメの人”からの脱却に転機はなかった

 ここ10年、クセの強いキャラクターを演じることが多くなったグラント。その変化のきっかけを聞くと、「特別な転機があったわけじゃない」と前置きしつつ、こう続けた。

 「ずっとラブコメばかり演じてきて、自分でも少し飽きてきたし、周りもきっとそうだったと思います。それに僕も年を重ねて、『そろそろ違うことがしたいな』と感じていた頃に、ちょっと風変わりなキャラクターのオファーが来たんです。その時に、ああ、僕はやっぱり役作りに手間がかかる作品が好きなんだなって、改めて気づきました。少し狂気があって、社会になじめないような“ひと癖ある人物”を演じることに、面白さを感じるようになったんです」

■配信全盛の時代でも「映画館で観る体験」が好き

 最後に、これからのキャリアについて考えていることを聞いた。

 「いい質問なんですが、正直、僕自身にも明確な答えはなくて。きっと僕のエージェントも、はっきりした答えがあれば喜ぶと思います(笑)。というのも、最近はオファーを断ることも多くて、本当にやりたいと思える役にまだ出会えていないのかもしれないです」。

 その一端には、「配信作品への抵抗感」もあるという。「僕はやっぱり、映画は映画館で観るものだと思っていて。知らない人たちと一緒に観て、笑ったり泣いたりする“体験”を共有できることが好きなんです。A24がその文化を守ろうとしている姿勢にも共感しています。いい脚本であっても、それが“配信限定”だと断ってしまうこともある。今は、そういう時期ですね。だから、どれだけ面白い企画でも、それが配信前提の作品だと、正直迷ってしまうんです。なので今は、『これは演じたい』と思えるような、心から納得できる役を探し続けているところです」。

 現在、“ロマコメ”のヒュー・グラントが楽しめる『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』も公開中。3月には『ノッティングヒルの恋人』の全国リバイバル上映が行われ大盛況だった。「そうなんですか?それは知らなかった。うれしいですね」と笑顔を見せていた。

■『異端者の家』

 シスター・パクストンとシスター・バーンズは、布教のため森に囲まれた一軒家を訪れる。ドアベルを鳴らすと、出てきたのはリードという気さくな男性。妻が在宅中と聞いて安心した2人は家の中で話をすることに。早速説明を始めたところ、天才的な頭脳を持つリードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開する。

 不穏な空気を感じた2人は密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、助けを呼ぼうにも携帯の電波はつながらない。教会から呼び戻されたと嘘をつく2人に、帰るには家の奥にある2つの扉のどちらかから出るしかないとリードは言う。信仰心を試す扉の先で、彼女たちに待ち受ける悪夢のような「真相」とは――。


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  • ラブコメよりも「モーリス」の印象が強いのだけど。第一印象かな。タキシード姿の美しさ、たれ目の甘い表情は衝撃的でした。
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