中山雄一、初めてのWEC参戦へ向け意気込み「来年以降レギュラーに入れたいと言ってもらえるような走りを」

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2025年04月26日 18:50  AUTOSPORT web

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2025スーパー耐久第2戦鈴鹿 GR Yaris DAT Racing Conceptをドライブする中山雄一
 5月8〜10日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されるFIA WEC世界耐久選手権第3戦トタルエナジーズ・スパ・フランコルシャン6時間に、LM GT3クラスのアコーディスASPチームから参戦することが決まった中山雄一。待望の世界選手権デビューとなる中山は、4月26〜27日に開催されるスーパー耐久第2戦鈴鹿に参戦しているが、WEC第3戦への意気込みを聞いた。

 中山は2024年まで、スーパーGT GT500クラスにDENSO KOBELCO SARD GR Supraで参戦。今季はGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに参戦するなど、海外での活動が増えている。そんな中山が新たに挑戦することになったのがWECだ。

 今季第3戦として開催されるスパでのレースは、ル・マン24時間の前哨戦としてもお馴染み。今回中山は、ベン・バーニコートに代わってアコーディスASPチームのレクサスRC F GT3をアーノルド・ロバン、フィン・ゲルシッツとともにドライブする予定だ。

 海外での活動について、中山は「いま、TOYOTA GAZOO RacingではF1に参入したりとグローバルな活動が増えていますが、GTカー、ツーリングカーでも海外で通用するドライバーを育成しようという流れがあります。そのドライバーのひとりとして昨年末にお話をいただきました」と説明した。

「僕もトヨタの育成ドライバーとして国内でさまざまなレースをやらせていただきましたが、新しいチャレンジの話をいただけたので、自分の力が海外でどの程度通用するのかを知りたいですし、また自分自身が大きく成長できるチャンスだと思っています」


●スパ・フランコルシャンはすでに経験済み「面白いコース」

 すでに中山は、スパ・フランコルシャンでテストもこなしている。バーニコートは3月にマウンテンバイクの事故により負傷しているが、同時に第3戦スパはバーニコートが主戦場としているIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップとも日程が重なっており、そのためスパに参戦するドライバーのオーディションも兼ねたものとなっていた。

 このテストでは「3セッションめくらいでチームのシルバードライバーよりも速く走ることができましたし、ゴールドドライバーのタイムにも近づけました。TGRのサポートもあり、今回参戦が実現しました」と中山は言う。

 もちろん中山にとって、スパ・フランコルシャンは初走行ではあったが「世界的に有名なコースで、グランツーリスモでもやったことがありますし、テストの前の週にはシミュレーターで15時間くらい乗らせてもらいました。コースはシミュレーターどおりでした」という。

「タイミング良く、テストの3日前にニュルブルクリンクを走っていたんです。あの過酷なニュルをGT4で走った後だったので、GT3でのスパはダウンフォースもあって安定していて、いろんな意味で良い流れで乗れたと思います(笑)」

 またレクサスRC F GT3は、国内でも鈴鹿やSUGOのような中高速コーナーがあるレイアウトが得意。「RC Fはすごく高速コーナーで安定感があるクルマなので、オールージュでも1日目の最後には全開でいけるようになりました。スパはいろんな角度、アップダウンのコーナーもあり、バラエティに富んだ面白いコースだと思います」とスパ・フランコルシャンを安心して攻めることができたと語った。


●コバライネンとの3年間がコミュニケーションの貴重な経験に

 今季中山はすでにGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに参戦しているが、「向こうのレースは激しい印象がありつつも、レベルはものすごく高いですし、無駄な勝負をしないです。果敢に攻めるものの、意思疎通がとれなさそうなドライバーはいませんでした」とヨーロッパで戦った印象を語った。

 ただ一方で、日本人ドライバーが通用しないかと言えばそうではない。「スーパーGTもレベルは高いですし、WECやGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに出ているドライバーがいきなり来ても勝てるわけではないですよね。自分もレベルが高いなかでやってきましたし、GT500とGT300のような、スピードが違うクルマを処理しながら戦うことについても自信があるので、臆せず戦えると思います」と初めてのWECに向けて意気込みを語った。

 またチームとのコミュニケーションについても、英語は「堪能ではないんですよ(笑)」というものの、海外挑戦が決まってから語学を進めており向上中。TGR、さらに中嶋一貴TGR-E副会長のサポートもあり、しっかりとこなすことができているという。

 特に中山にとって強みになっているのは、2019〜2021年にTGR TEAM SARDでコンビを組んだヘイキ・コバライネンとのコミュニケーション。「ヘイキさんと組んでいた3年間がものすごく大きいですね。ヘイキさんが使っていたボキャブラリーを使えば言いたいことは伝わります」と貴重な経験になっていると語った。

「英語の勉強はできるだけ頑張っていますし、33歳でも向上することができています。そういった面でも、頑張れば通用することを後に続く若手ドライバーたちにも示したいですね」

 迎える第3戦スパは、初めてのWEC挑戦となるが「今季RC FはすごくWECで調子が良いですし、しっかりと戦うことができれば表彰台も見えてくると思います。結果を残したいですし、チームにとっても、ゴールドドライバーとしての期待値にしっかり応えられるような結果を示したいです」と中山は意気込みを語った。

「チームにはTGRのエンジニアも加わっているので、コミュニケーションをとれるように頑張らないといけないですし、来季以降、チームから『レギュラードライバーに入れたい』と思ってもらえるような走りをしたいです」

[オートスポーツweb 2025年04月26日]

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