からし蓮根、M−1制覇へ燃える お笑い界の「トキワ荘」から大きく羽ばたけ

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2025年04月27日 08:00  日刊スポーツ

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東京に進出し抱負を語ったからし蓮根の伊織(下)と杉本青空(撮影・滝沢徹郎)

切れ味と親しみやすさで勝負する。お笑いコンビ、からし蓮根が今春に大阪から東京へ拠点を移した。地元九州での結成時から持ち続ける夢、悲願のM−1グランプリ制覇へ。ネタを磨くべく、5月17日に早速、上京後初単独公演「火の国Start」開催を決断した。同じく春に「ヨシモト∞ホール」から「渋谷よしもと漫才劇場」に生まれ変わった新たな所属先となるホームから、爆笑の炎を燃やそうとしている。【松尾幸之介】


★ここ2年準々決勝敗退


野球の強豪校としても知られる熊本・九州学院高の同級生コンビ。M−1では19年に初の決勝進出を果たすも、そこから苦しみここ2年は準々決勝敗退。「また結果を残してから」としていた東京進出だが、流れを変えるべく心を決めた。


杉本 4月に本当に来たばかりです。今のところはわくわくの方が勝っています。劇場にも何度か立たせていただきましたけど、初めて見ることが多いお客さんが多いなと。いつも劇場に来てくれるお客さんっていうのがあんまりないんですよ。ちゃんと循環している印象です。


伊織 準々決勝で敗退したけど、ウケている手応えはあったので、環境を変えてまたイチからしっかり頑張ろうという感じです。M−1で優勝したくてこの世界に入っている部分はあるので、とりたいですね。東京は先輩たちの面白がってくれる幅が広いなと感じています。大阪では面白くないと笑わないところがあるので(笑い)。いろんなお仕事とかにもつながりやすそうだなと思いました。


「火の国」と呼ばれる故郷熊本への思いも込めた上京後初単独公演の準備も急ピッチで進めている。4月上旬に引っ越し作業などが一段落したばかりで、5〜6本を予定するネタや演出など、固めなければならないことはまだ多い。


杉本 名刺代わりのライブにしたいなと思っています。M−1は実力はもちろん、優勝となると目新しさも大事になってくるのかなと。自分たち自身で流れを作れたらと思っています。2年連続で準々決勝で負けて、まだ出していないネタもあるんです。東京でいろんな劇場で試したいですね。今回の単独でやるネタの中に、M−1の優勝ネタになるものが入る可能性は全然あります。そこは注目しておいてほしいです。


★愛犬同伴家探し苦労


一方、伊織は愛犬同伴上京のため家探しにてこずり思わぬ形で“聖地”の扉を開いたという。


伊織 犬と住めていい条件の家がなかなかなくて。いろいろ相談したらカゲヤマの益田(康平)さんの実家が1部屋空いているぞということで、住まわせてもらっています。ドンデコルテ渡辺(銀次)さんもいます。もともと相席スタート山添(寛)さんと渡辺さんが約8年前から住み始めたのが最初で、今が第6シーズンらしいです(笑い)。渡辺さんは全部見てきていると。自分は畳の部屋なので、犬が傷つけないようブルーシートを敷いて。だから部屋が殺人現場みたいになっていますね。益田さんのお父さんに入居面接もしていただいて「気に入ったらいつまででも住んでいいから」と。あと「上京芸人で売れた人と売れてない人の違いがわかる」と言っていて、「濁らないこと。東京に染まるな、貫け」と言われました。そのつもりでいきます。お父さんは「お笑い界の『トキワ荘』にしたい」と言っていました。僕は家電とか荷物を預けたままなので5月には出る予定ですが、毎晩益田さん、渡辺さんとリビングに集まって進撃の巨人を1話から見たりしていて居心地がいいので、本当は出たくないです。


★ゆりやんら豪華同期


勢いのある世代でもある。NSC大阪校時代の同期はゆりやんレトリィバァ、ガンバレルーヤ、にぼしいわし、コウテイ、ラニーノーズ、濱田祐太郎、田津原理音ら。東京校にも、おばたのお兄さん、レインボー、ひょっこりはんら賞レースでも結果を残した芸人が多い。


杉本 ゆりやんは主席でしたし、在学中からテレビにも出たりしてすごかった。売れすぎて身近な感じがしなかったです。


伊織 ガンバレルーヤも当時からかわいくて面白かったですし、ラニーノーズも売れるなと思いました。みんなでよく飲んだりもしますし、東京でまた楽しみながらやりたいですね。


そんな中で伊織は“ある手紙”の存在もおもむろに明かした。


伊織 ラニーノーズと10年前くらいにやったユニットライブで自分に手紙を書いた時があって、それを上京する時にくれたんです。見たら目標のところに「西野カナさんといちご狩りに行く」と書いてあって。他にも書いていた「(オール)巨人師匠と舞台に出る」とかは全部かなって、あとはこれだけなんです。


杉本 何でいちご狩りかって言うと、確か直近で行っていたとかだったかもしれないです。


伊織 仲良くなるひとつ目のデートっていちご狩りのイメージじゃないですか? 何かロケとかで実現させるしかないですよね。6月は西野さんのさいたまスーパーアリーナでのライブもあるので、そこは絶対に行きたいなと思っています。


東京生活での夢は膨らむ。現状は劇場出演と熊本でのレギュラー番組が主な仕事となるが、当然さらなる活躍の場も狙っている。


杉本 「ラヴィット!」とか出たいですよね。出たことないので。僕らが有名になれば番組も興味を持ってくれると思うので頑張りたいですね。


伊織 どうぶつ番組とか、水曜日のダウンタウンとか、イッテQとか出てみたい番組はたくさんあります。つながりは大事だと思いますし、僕は人と話すことが好きでよく飲みにも行くので、いろんな局の人とも仲良くなってきます。


杉本 彼が外交担当なので。


伊織 僕は熊本の頃から何も変わってないので、どこにいっても変わりませんから!


▼仲の良いレインボーのジャンボたかお(35)


私の親友である伊織君はかわいげの塊である。抜けたことをしたり、失礼をしたり、常識外れをしたりする。本来なら、芸人界は礼儀にひときわ厳しいので、ひどく怒られたり、嫌われたりするものであるが伊織君はそれが全くない。なぜなら圧倒的かわいげがあるからだ。誰からも心の底から愛されて、どんな行動も全てかわいげに変わるのだ。一方、相方の青空と書いて「そら」君はどうだ? ツッコミの実力は同世代随一。ワードセンスのエッジはあまりにも抜群。エッジの鋭さで芸人でラップバトルをしたら優勝。右に出るものはいない。そんな2人が漫才をするのだから、極上じゃないわけがない。


◆からし蓮根


伊織(いおり)1993年(平5)9月12日生まれ、熊本市出身。杉本青空(すぎもと・そら)1994年(平6)2月2日生まれ、熊本県小国町出身。九州学院高1年時に同じクラスで出会い結成。高校時代にハイスクールマンザイ南九州大会優勝。卒業後にNSC大阪校に35期生として入学。「M−1グランプリ」は19年決勝6位が最高。24年毎日放送「オールザッツ漫才」優勝。伊織がボケ、杉本がツッコミとネタ作り担当。


◆トキワ荘


手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎ら著名な漫画家たちが若手時代を過ごした東京・豊島区のアパート。52年に建てられ、82年に解体されたがモニュメントは残り「漫画の聖地」として知られる。

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