「フラッグシップスマホ」に疲れて「iPhone 16e」を買った話

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2025年04月28日 12:11  ITmedia PC USER

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Appleのスマートフォン最新モデル「iPhone 16e」。写真はブラックですが、ホワイトも選べます。価格は最安の容量256GBモデルが9万9800円です

 こんにちは! refeiaです。発売直後ではなく、3月下旬という若干とぼけた時期に「iPhone 16e」を買って使っていました。おかげさまで本連載もそこそこ続けさせてもらっているのですが、自分が使う機材を買うときは記事も書く立場というのを割と忘れているのは困ったものです……。


【その他の画像】


 というわけだったのですが、とぼけた時期とはいえ何か書かせていただける運びになったので、最近のスマートフォンについて思いをつづっていこうと思います。


 ちなみに、Googleの「Pixel 8 Pro」からの乗り換えです、よろしくお願いします!


●上位モデルの使いづらさに疲れ


 ところで最近、スマホ上位モデルってつらくないですか?


 上位モデル何というか、大きい/重い/(防指紋ガラス背面などで)滑りやすい/重心が上寄りすぎる/カメラ出っ張りすぎ、そのあたりを我慢しながら使うのが当たり前で、良いスマホなんだから! みたいな感じになっています。


 さらに値段もしっかりと高いので、しっかりしたケースや重たいガラスフィルムを貼らざるを得ないのも、体験の悪化に拍車をかけています。


 特に上位モデルでは、カメラの肥大化は一瞬のことでした。センサーが大きくなり、それに比例してレンズも大きくなります。個人的には「iPhone 12 Pro」の節度感あるデザインがとても好みでしたが、慣れとは恐ろしいもので、今となっては何となくカメラが大きいのが当たり前みたいな印象になってしまっていますね。


●普段使いの障害になる「立派なメインカメラ」


 大きいメインカメラは、光を取り込む量が多いので暗い場面に強く、近距離ではピントが合う範囲も狭くなるため、ボケを生かした雰囲気のある写真も撮れます。一方で、それが悩みの種になることもあり、料理などの「お手元写真」や、書類の記録などで顕著です。


 お手元写真は無造作に近寄ると、手前の薄い面にしかピントが合っていない変な写りになったり、書類は中央はシャープに写るものの、周辺はコントラストが落ち、像が画面端に向かって流れたような写りになって違和感が激しくなりがちです。


 これらは2倍に切り替えて距離を取るとか、広角や望遠に切り替えるとかで緩和するテクニックもあります。それらも結局は、画質が犠牲になったり使い勝手が悪化したりと万能ではありません。個人的には「Pixel 6 Pro」ぐらいから、こういった「自慢のカメラ」のはずなのに「日常生活のカメラ」としてはダウングレードしている面が少なからずある、みたいな現象が気になっていました。


●きっかけは予備スマホの「Galaxy A23 5G」


 スマホ好きからは、どちらかというと「どうでもいい」たぐいのエントリーモデルが「Galaxy A23 5G」です。


 最近はスマホにリスクが集中しやすいので、予備として持ち歩いていました。ところがこのモデル、性能が完全にエントリーモデルゆえにメインスマホにはならないのですが、何とも使いやすいのです。


 軽い、コンパクトで持ち運びやすい、カバーなしでも滑らない(指紋はベタベタつくけど)、必然的に片手で操作しやすい、カメラが邪魔じゃない。


 何だ、これはと。「良いスマホを」と大型のフラッグシップモデルを選んでいたつもりが、自分にとってはある意味生活レベルが下がっているじゃないかと……そう思ってしまうのです。大きいスマホが楽じゃないのはもともと感じてはいたのですが、こうも実感すると、さすがに次はコンパクトなモデルをと決意しました。昔ほど、コンパクトモデルはバッテリーが厳しいみたいなのもなくなってきましたしね。


●そして「iPhone 16e」を購入


 何だか、ネットの評判が悪いiPhone 16eです。自分にもスペックの切り捨てと価格のバランスが悪くて残念なモデルに見えていました。ところが、Apple Storeで実機を見ているとボディーが妙にかっこいいのです。


 iPhone上位モデルの宝飾品性能は、はたから見る分にはほれぼれとするんですが、自分で持つイメージがあまり持てなかったのでその対極にあるiPhone 16eはとても好みです。


 そして不意に、もうずっと思い出すこともなかったスティーブ・ジョブズ氏が存命の頃のiPhoneや、ご本人のことがふんわりと頭に浮かび上がってきました。それ自体はたいしたことではないとはいえ、そういうことなら買っておいた方が気分も良かろうということで購入に至ったわけです。


●使い心地も上々


 本当は「iPhone 17」か「iPhone 17 Pro」(いずれも仮称)を、と思っていたので予定外ではあります。とはいえ、先に思い描いていた、小さい/軽い/バッテリーが良く持つ/品質は良いという要求は満たしているし、カメラが出っ張らずボケすぎないという追加の利点もゲットできたので(価格はともかく)意外と良かった感はあります。


 さすがに撥油処理っぽいガラス背面はよく滑るのでケースなしは諦め、軽量を重視して極薄タイプのケースと樹脂フィルムで、合計180gぐらいにまとまりました。


 実際の使い勝手も上々で、片手で持っても(iOSが上の方に指を伸ばさせる操作に無頓着なのは置いといて)ある程度操作しやすく、ズボンのポケットの中でもそれほど突っ張らず、バッテリーの持ちも、容量で有利な大型モデルと比べても満足できるレベルです。


 そして案の定、書類が撮りやすいです。特に工夫せず撮っても端まで均一なシャープさで撮ることができます。


 MagSafe非対応については、便利なのは知っていますがMagSafe必須体質にならなくてもいい分を差し引いたらどちらでもいいし、必要なら磁石が入ったケースを買えば済む話です。120Hzのリフレッシュレートに非対応でも、個人的に小さな画面ではそれほど気にならない方なのと、バッテリーの持ちを優先して自分で60Hzに設定していると思えばそう残念に感じないです。


 ただ、USB Type-C端子から映像出力ができないのは、どういうケチりかた? という気はします。


●選択肢の多さは人の強さ


 MagSafe必須体質に話が及んだので、選択肢の話をさせてください。選択肢の多さは人の多さ、選択肢のなさは人の弱さです。例えば貧困ビジネスなどは、困窮している人の選択肢のなさを利用したあくどい商売です。対戦ゲームなどでも、相手の選択肢を奪いながらこちらの自由を残すのが、主導権を握る基本的な戦略です。


 過去に携帯キャリアが提供していた、携帯の2年縛りや現在もよくある家族割引も、顧客の行動を制約できる価値を知っているから大きな割引が提供できていたわけだし、Appleデバイスが「壁に囲まれた庭」と呼ばれて囲い込み気質なのと引き換えに、優れた品質と素晴らしい連携機能を提供しているのも、そのたぐいでしょう。


 自分は、できれば選択肢を狭める判断や行動を避けたい、と常々思って生活しているつもりです。ところが不運なことに、PCやガジェットが好きな上にクリエイティブ分野に足を突っ込んでいると、これが全然うまくいきません。


 ワコムの液タブでしか描けない、Windows+タッチ操作がないとPCが使いづらい、Photoshopでないと描けない、英語配列キーボードじゃないとうまく入力できない、などなど……。


 ただでさえ選択肢が失われていることが多いので、これ以上は……となった結果、Androidを連続で使い過ぎたことが気になり始め、体質改善としてiPhone乗り換えになったわけです。


 みなさんはどうですかね……。こだわりをもって趣味にいそしんだり、速度や品質がほしい仕事をしていたりすると、「頑張って散らしていく」という意識をもっていても、いろいろな選択肢が減っていく自覚があります。


●まだ始まっているように見えないApple Intelligence


 それほど気に入ってないので簡単に書きますね。Apple独自のAI機能「Apple Intelligence」は、2024年後半から英語で、2025年の3月末からは日本語でも利用できるようになっています。


 ざっと出来ることを挙げると、


・画像生成(ジェン文字とImage Playground)


・作文ツール


・ビジュアルインテリジェンス


・通知の要約や、「さまたげ低減」集中モード


・ある程度アップグレードされたSiri


 なのですが……。ジェン文字やImage Playgroundは用途や作れるものを厳しめに絞り込んでいるので、使ってみてまあ出来るよねで終わりになり、作文ツールは語尾が一辺倒で不自然になるなど性能不足感があります。


 ビジュアルインテリジェンスに至っては、現状は多少の文字認識ができる以外はGoogleとChatGPTのどちらにカメラ画像を渡すかユーザーに選ばせるだけのフロントエンドになっており、実用性はともかく、独自機能としてはかなり悲しい出来です。


 将来的には、ユーザーを助けるのに役立つスマホにため込まれた情報をOS統合機能として自在に使い、スマホらしい手軽な操作でずっと使いやすくなっていくはずです。ただし、それにはプライバシーに関わる情報を端末内でたくさん処理する必要があり、SoCの処理性能やメモリ容量が大事になります。そしてiPhone 16シリーズは(対応だけならiPhone 15 Proもしているとはいえ)「Apple Intelligenceのために設計。」の初代モデルです。


 初代モデルは早めに陳腐化させがちなAppleのこれまでの癖を鑑みるに、Apple Intelligenceに期待している人は、iPhone 16シリーズはスキップして17以降を待つのがより安心しやすいだろう、いずれにせよ本格的な機能はしばらく先なのだから、というのが自分の意見です。


●日常用じゃないカメラも新調


 さて。与太話ばかりしていました。iPhone 16eのカメラは先に書いた通り日常生活には使いやすい面が多いですが、かといってしょぼくないかというと全然しょぼいわけで、このままで済ますわけにもいかず。カメラ自慢スマホとして名高い「Xiaomi 14 Ultra」も買いました。


 「いやフラッグシップスマホ疲れた言うて結局買っとるやんけ」という話ですが……。


 新モデルの「Xiaomi 15 Ultra」が出るような時期に14 Ultraなんて、また「記者の自覚がない」案件ですが、自分にとっては14 Ultraの方が良いとしか判断できなかったのでしょうがないです。


 Xiaomi 15 UltraはSoC性能やバッテリー持ちが向上したり、望遠カメラが豪華になっていたりします。一方、14 Ultraの目玉だった可変絞りが省略されたり、超広角カメラの画角が狭くなったりと、スマホ的な進化はしたもののカメラとしては一方的に進化しているわけではないです。


 自分がカメラに求めるのは「画質でドヤ顔」よりも「撮影意図が反映できる」なので、より広い画角を選べて、メインカメラでボケ量を選べる14 Ultraの方が優先順が上です。


 というわけで、メインスマホ/予備スマホ/旅行用カメラはこう変化しました。だいぶ楽になりそうですね。旅行ではスマホ的な写りよりはデジカメ的な写りがほしいので、デジカメっぽい仕上がりで撮れるXiaomiのライカ協業は自分にとってはありがたいです。


●まとめ


 今回はレビューではないのでまとまらないですが、冒頭の最近のスマホカメラが使いづらい点については、個人的にはGoogle Pixelぐらいは得意の画像処理で何とかしてくれないかと期待しています。写りの良さや多彩な撮り方を維持しながらも、ボケすぎ出っ張りすぎのデメリットを解決してくれないかな、と。


 折しも、先日発売された「Pixel 9a」は、先代の8aよりもカメラセンサーが小さくなり、出っ張りも小さくなりました。ダウングレードを悲しむ人もいますが、フラットな背面が好ましいとか、メインカメラの画質を生かしたまま近接撮影をしやすくなった、という評価も得ています。


 この方向性が上位モデルにも波及するのか、もししたとしたら雰囲気ある写真や夜間の強さは維持されるのか、注目したいところです。


 もし良くなっていても、買わないですよ。iPhone買ったばかりですからね!



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