笑顔で取材に応える柳亭市馬さん=東京都港区 紫綬褒章に決まった落語家の柳亭市馬さん(63)。「こんな栄誉に浴するなんて。もちろんうれしいし励みにするが、やることに変わりはない。今まで通り、お客さんに喜ばれることを旨とする」と前を見据えた。
1980年、五代目柳家小さんに入門し、93年真打ち昇進。若い時は「ウケ」を気にしたが、ここ10年で「その日その場所のお客さんにとって最適な芸を提供する」ことに心を砕くように。「ぴたっとはまったときはこの上ない喜び。商売冥利(みょうり)に尽きる」
2014年から10年間、落語協会会長を務め、コロナ禍を経験した。苦境の寄席を支援するため、落語芸術協会と共に募ったクラウドファンディングの成功が印象深いという。「寄席を大事に思う人が大勢いた。次世代のはなし家に伝えなければいけないですね」。

取材を受ける落語家の柳亭市馬さん=東京都港区