旭日小綬章に決まり、喜びを語る戸田奈津子さん=東京都港区 映画字幕翻訳者として50余年活躍を続ける戸田奈津子さん。旭日小綬章の報を受け、「夢にも考えたことがなかった」と驚きを込めて語った。
戦後解禁された洋画に衝撃を受け、「すてきな世界の言語を知りたい」と英語を学んだ。1970年から字幕翻訳に携わり、通訳を務めたコッポラ監督の推薦で、80年日本公開の「地獄の黙示録」の字幕を任されたことが飛躍の転機に。「E.T.」「タイタニック」などを担当し、今も「ミッション:インポッシブル」最新作に取り組む。
手掛ける映画は年間50本。限られた文字数にエッセンスを凝縮する。「年季でコツを覚える職人の仕事。大変だけどパズルみたいで面白い」。来し方を振り返り、「天職だと思ったのが運の尽きなのよ。思ったことができた一生だと思う。ただ私は好きなことをしただけ」と軽やかだ。