幻となった平成の地方博覧会、世界都市博覧会のアイテム【山下メロの平成レトロ遺産:072】

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2025年04月30日 17:10  週プレNEWS

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定番のキーホルダーや缶バッジが準備されるも博覧会は中止に……

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

【写真】今週のレトロ遺産!

さて、GWということで、開幕した大阪・関西万博もより盛り上がってまいりました。何度か平成の万博を振り返りましたが、今回は東京で開催が予定されつつも中止となった博覧会「世界都市博覧会」(以下、都市博)を紹介します。

バブル絶頂期だった平成元年。1989年前後は、全国で地方博が開催される地方博ブームでした。都市博はそのブームも沈静化したバブル崩壊後の96年に現在の東京・臨海副都心で開催を予定していたのです。

この都市博を計画したのは当時の鈴木俊一東京都知事。64年の東京五輪や70年の大阪万博においても重要な役割を果たし、79年から95年まで4期にわたって東京都知事を務めました。

当時の鈴木都知事は88年に悲願の東京で開催する博覧会を構想し進めるも、直後にバブルが崩壊し頓挫。しかし、紆余曲折ありつつも93年に都市博開催を決定しました。

そこから96年の開催に向けて臨海副都心の開発を進めますが、95年4月に都市博中止を公約とした青島幸男さんが都知事に当選。またも紆余曲折ありましたが、5月に公約どおり都市博中止を決定したのです。

しかし、開発が進んでいた臨海副都心は注目の的でした。95年11月には都市博へのアクセス線として予定されていた東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」が開業。その後、移転したフジテレビの特徴的なお台場ビルが話題となり、青海エリアにパレットタウンとヴィーナスフォートが開業するなど、Y2K時代の注目エリアとなりました。

00年夏にフジテレビが開催したイベント「お台場どっと混む!」の名前に偽りはなく、都市博の計画と中止を経て、まさに人が押し寄せたのです。

都市博は幻ながら、中止決定前に配布されたマスコットキャラ「東京大使」のグッズやスティーヴィー・ワンダーによるテーマソングから、その残り香に触れることができます。今こそ大阪・関西万博に行って、中止となった都市博に思いをはせましょう。

撮影/山下メロ

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