ミキ (C)ORICON NewS inc. 兄弟漫才師のミキが、47都道府県制覇を目標に掲げ、2018年から始めた『ミキ漫全国ツアー』。5月5日から行われる『ミキ漫2025全国ツアー』をもって、ついに今年で47都道府県制覇を達成する。2017年の『M-1グランプリ』では3位、22年には『第57回上方漫才大賞』奨励賞に輝くなど、名実ともに折り紙付きの2人が「今年のミキが、ここに集約されている」と豪語するほど、大事にしている『ミキ漫』。生活の幹にもなっている漫才への思いに迫った。
【全身ショット】気合十分!ポーズを決めるミキ 今年は初開催の4県を含む全国11ヶ所での開催で、5日の東京・有楽町よみうりホールを皮切りに、愛知・高知・北海道・京都・広島・埼玉・山形・滋賀・大分と日本全国をまわり、11月には東京・有楽町よみうりホールにて東京凱旋公演、そして大阪・なんばグランド花月にて千秋楽を迎える。全国をまわってきたからこその発見もあり、昴生は「東海地方の方々にも、お笑いが根付いているなと感じていて。しっかりとダイレクトな笑いもあるし、ちょっとだけ奥に行ったような、ニュアンス的な笑いも伝わる印象があります」と声を弾ませる。
地域によっては、ウケ方にも違いが見られるが、昴生は「テンポとか変えたりはしますけど、基本的なところはあんまり変えないです」ときっぱり。その真意を聞くと、昴生は恐縮しつつも熱い思いを言葉に込めた。「上方漫才というものを、けっこう背負ってやっているつもりはあります。『漫才見たい』っていう人に届くような漫才ができたらなって。ミキ漫も、年齢の幅がどんどん広がっていっていまして。10代の子もいる中、おじいちゃん、おばあちゃん世代の方もめっちゃ増えてきていて。上の世代の方たちにとっては、なつかしさを感じているのかもしれないですよね。僕らも昭和の漫才が大好きなので、昭和の漫才をいかに令和に…ということを目標にやっていますので。古いと思う人もいるかもしれないですけど、僕らはそのままが好きやから」。
そんな2人にとって、大きな目標のひとつとなっているのが『上方漫才大賞』の大賞。昴生は「上方漫才大賞の大賞を取ってからが本番かなって。そこからの漫才人生がどうなるか。漫才師としては、2回、3回と取らなアカンと思いますし。上方漫才大賞を取った漫才師やっていう見られ方もしていくから、それに恥じへんようにやっていきたいなと。やっぱり、そこを目指せるまで、きているんやということは、自分たちの中でも気持ちとしてもデカいです」と熱弁。「だって、すごいでしょう?上方漫才大賞って、全部漢字で」と笑いを交えながら「やっぱり2回目も大賞を取れる人って、歩みを止めてない人やから、僕らはそうならなアカンなって。だから、目標はこれまで誰も成し遂げていない5回です」と胸を張った。
前人未到といえば、昴生は『ナインティナインのオールナイトニッポン』内で行われている年末恒例のスペシャル企画『岡-1グランプリ!』にて、ミキ昴生(女子高生のイントネーション)の愛称で大活躍。2018年から24年まで、7年連続で優勝している唯一の人物である。今回のインタビューでも「ミキ昴生さんは…」と話しだしたところで、すぐさま「女子高生みたいに言うな!」とツッコミが入った。「7連覇?もう覚えてないんですよ(笑)。これ、何年やってんねん!ミキ漫の告知を(SNSで)やった時に『岡-1のために、全国ツアー頑張ってください』ってくるんですよ。これ、冗談抜きで全員ブロックしてます(笑)」とまくし立てると、毎年なぜか『岡-1』への出場がかなわない亜生が「みんなが期待しているんですよ、次8連覇って聞いたことないですから」と呼びかける。
昨年の『ミキ漫』でのインタビューがきっかけとなり、『岡-1』ファンであることが判明した俳優の渡辺いっけいは、ミキ昴生が7連覇を達成した昨年の『岡-1』にサプライズ電話出演を果たした。放送内で、渡辺から「あなたが輝けるのは、岡-1なんだ。あれでは、dボタン押せないよ。来年はちゃんと、ひとり漫才のネタを考えてくること」と愛の激励を受けたミキ昴生も「最初バラエティーで会った時、そんな感じじゃなかったのに(笑)。俳優や」と舌を巻いた。その上で「最初、岡村さんが審査員やってみたいというところから始まっているのに、今は何をやってんの(笑)?ネタ終わってから、ネタの話をするでもなく、ただただトークして。姿・形を変えすぎやって(笑)」と王者ゆえの重圧を口にする一幕もあった。
そんな2人に“本家”『M-1』へのスタンスを向けると、昴生が「4分の漫才をするのは、この機会しかないから、それはそれでいい経験になりますし。やっぱり、僕らとは違う世代の芸人が活躍していて、その世代のお客さんやそのお客さんの前で漫才することも、普段はあんまりないんで、それが楽しい」と口にすると、亜生が「なんか楽しいと思えるようになってきました」と切り出し「やっぱり、昔は予選の4分がしんどかったですね。今は楽しくやれる」とかみしめるように語った。
続けて出てきた昴生の言葉からは『M-1』への“達観した向き合い方”が垣間見えた。「ホンマに、何年か前から“恩返し”になっていますね、『M-1』出ることが。『M-1』の決勝に出て、あそこで漫才して、1年間寄席を見に来てくれた人とかが喜んでくれるのが一番」。軸はブレず、漫才に向き合い続けているからこそ生まれた自信と実績を糧に、ミキは今年も全国へと飛び出す。