財津優太郎のinstagramより 着実に出演作を重ねる若手俳優・財津優太郎のInstagramが、話題である。一枚の投稿写真から、明確に伝わる、その魅力。
財津優太郎は、2023年に亡くなった名優・財津一郎の孫である。その事実だけでも注目度はあるが、どっこい、俳優としての本人の才能にまず惚れ惚れする。
男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、財津優太郎の魅力を解説する。
◆話題のInstagram投稿
かなり控えめにいって、スーパーさわやか。春のやわらかな気候の中、緑の木々をバックに、財津優太郎が横顔を浮き上がらせる。ほんとうに純粋に、ただ下手に向けて視線をやる優しげな表情がチャーミングである。
2025年3月26日にInstagramで「最近あったかい日が多くて嬉しいね」というキャプション付きで投稿された写真のことだ。この一枚がちょっとした話題になっているのをネットニュースで読んで、これは確かに誰が見ても、しなやかな魅力を感じて「あったかい」気持ちになるなと思った。
最近の投稿にも似たような一枚(4月12日)がある。
こちらもさわやかな気候を感じさせる画面内。先ほどの一枚よりは引きの画の表情に比べ、おどけている。構図がやや不安定。でもかえってそれが、彼の魅力を一点透視的に定着させている。
◆財津優太郎を捉えるベストポジション
まだまだ魅力的な投稿はある。屋外から翻って、今度は屋内に佇む一枚(3月14日)。外光が差し込んでいてあざやか。注目すべきはサイズ感。上述した二枚も含め、財津優太郎が写る画面サイズは、基本的にバストサイズだ。
彼を捉えるカメラのベストポジションを決め、毎回バストサイズにピタッとおさまる。結果撮れた一枚が盛れてる写真ということになるのだろうが、そんなことよりも、たかだかInstagram投稿から、被写体とカメラの決定的位置関係みたいなものが見えてくることが重要である。
構図的には画面上部に多めにスペースをもたせることで、ゆったりした印象を与える。縦型画面の構図をうまく計算しながら、うまく遊ぶ。このいい加減が、彼の魅力を裏打ちしている。
◆財津一郎の孫
メディアはさかんに、財津優太郎の名字を強調して、「大物俳優の孫」として紹介する。誰もが一度は耳にしたことがあるフレーズ「ピアノ売ってちょーだい!」。タケモトピアノのCMなどで有名な名優でありコメディアン・財津一郎の孫だからだ。
あぁ面影があるとはあまり感じないけれど、上述したフレーズの音楽的言い回しが象徴するように、明確でいて軽快、不思議とソフトな持ち味は確かにうっすらと祖父の芸当が息づいているかもしれない。
財津一郎の孫である事実は、まだあまり名前が知られていない財津優太郎を紹介するときの力強いフレーズになる。とはいえ、祖父との関係性を特別踏まえないとしても、Instagram投稿の数々を見るだけで、財津優太郎のソフトな才能をキャッチできる。では何か他に彼の才能を言い表す評言は?
◆番組スタッフが語る「品」
財津優太郎の出演作として知られているのは、山下智久主演ドラマ「正直不動産」シリーズ(NHK総合)と鈴木亮平主演ドラマ『下剋上球児』(TBS系、2023年)である。弱小野球部が奮闘する後者には、野球部員のひとりで出演している。
菅田将暉の弟である菅生新樹など、ネクストブレイク候補になる新人俳優がキャスティングされ、財津優太郎は持ち前のやわらかさを打ち出す。見る者の心にしっかり印象付ける存在感がある。
同作番組スタッフは、財津優太郎の才能について「品」と語る。ワンショットの中で存在を際立たせるように佇むその演技からは、Instagram投稿と比例して、俳優としても本人が持つ品格を感じる。彼の品がより明確にベストポジションで定められる代表作が楽しみになる。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu