北川景子「自分にとって新しい挑戦」 主演作『あなたを奪ったその日から』で“心が動くこと”をテーマに体当たりの演技!

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2025年05月05日 09:10  クランクイン!

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クランクイン!

北川景子  クランクイン! 写真:高野広美
 北川景子が主演を務めるドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時)。アレルギーによるアナフィラキシーショックを引き起こした食品事故で子どもを失った母親・中越紘海(ひろみ/北川)。彼女は、事故を起こした惣菜店の社長・結城旭(大森南朋)を恨むなか、図らずも旭の次女・萌子(倉田瑛茉)を誘拐してしまい…そんなショッキングな展開で幕を開けた本作。自分の犯した罪に苦しみ、葛藤し、周囲を巻き込みながらも強く生きていく主人公・紘海役に“体当たり”で挑んでいるという北川が、本作への思い、そして見どころを語ってくれた。

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■子どもを持った今だからこそできる表現があるんじゃないかと思った

 本作は、発端となった食品事故から現在に至るまでの11年間の、復讐と親子愛を描いた壮大なストーリー。主人公の紘海について「実の娘を失ってしまったことから、その悲しみが元で突拍子もない行動を取っていく」と語る北川。第1話では、家族で笑いあう描写から一転、娘を失くした悲しみ、惣菜店の社長だった旭への憎しみ…と、紘海のさまざまな表情が視聴者の目に焼きついた。

――本作のオファーを受け、主演を務めることについてどう感じられましたか?

北川:いつも仕事をする時の私のモットーとして、体が空いていてやりたいと思ったものは絶対やるようにしているんです。今回、カンテレさん制作の“月曜22時”枠で初めて連続ドラマの主演をさせていただけるということだけでなく、私自身、2人目の子どもが生まれる前でしたが、それでも主演をさせていただけるということがうれしかったです。子どもを持った今だからこそできる表現があるんじゃないかとも思って、もう「やりたい!」という気持ちでした。

――撮影前に台本がすべてそろっていたとうかがいましたが、台本を読まれた感想を教えてください。

北川:台本を読んでみて、すごく面白かったです。子どもがアレルギーでアナフィラキシーを起こすことは、ありえないような話じゃないと思うので、台本を読み進めていくなかで、自分のことのように引き込まれていきました。

――さまざまな感情を表現する紘海を演じるにあたって、心掛けていることはありますか?

北川:体当たりみたいな感じです(笑)。台本も読み込みますし、もちろんセリフを覚えて現場に向かうんですけど、でもやっぱり共演者の皆さんの前で芝居をしてみると、自分が全く想像していない芝居が生まれることがたくさんあるんです。今回はやっぱり身を削って体当たりで演じることがすごく合っている作品だと思うので、考えすぎずに自分でも「どうなるのかな?」と楽しみながら、感じたまま演じています。私自身、演じている方の感情が動かないと、視聴者の方々の感情も動かないと思っているので、そうした気持ちがこもった心が動く芝居をしたい!というのが、今回、自分の中のテーマとしてあります。旭(大森)とのシーンは、まさに“体当たり”でした。大森さんと特に打ち合わせをしたりはしないんですけど、芝居でボーンとぶつかったら大森さんがちゃんと受け止めてくれて、それに対してバーンって私に返ってくる時もあります。そうするとまた私も「自分ってこうなるんだ」という全く想像もしてなかったような感情が出てくることがあるんです。台本を読んでるだけではわからなかったことも、芝居でぶつかると「こうなるんだ」とわかることが多いです。


――そうした体当たりの演技をする本作は、ご自身のなかでもチャレンジングなことですか?

北川:そうですね。連続ドラマでこうした作品性のものをやったことがなかったので、3ヵ月半くらいの撮影期間があるなかで、ずっと集中力を切らさずに現場に来て本番でグッと役に入りこむことを継続するのは、自分にとって新しい挑戦です。

――映像では紘海の感情のこもったさまざまな表情が見られて、見ているほうも心を揺さぶられます。北川さんが映像を見た時はどう感じましたか?

北川:私は普段、現場のモニターを見ないタイプなので、完成した映像を見て「こんなふうに映ってるんだ」と初めて知ったんです。ライティングのトーンやカメラが揺れ動き続けている撮影の技法とか…全てが紘海の心情に寄り添う形で計算されて撮影されているということがすごく分かって、改めてスタッフの皆さんの技術ってすごいなと思いましたし、「こんなふうに芝居をちゃんと見て皆さん撮ってくださってたんだ」と思って、すごくうれしく思いました。

――紘海を演じてみて、北川さん自身、共感させられたり、考えさせられたりした部分はありますか?

北川:灯(石原朱馬)という自分の実の娘を失った時の悲しさや相手を恨んでしまう気持ち、自分を責める気持ちとか…そういうものはすごく共感ができるんですけど、その後、こういう形で復讐を実行するかというところは、何度も考えたけど、もしかしたら自分はそこまでの行動は起こせないかな…う〜ん、でもやっぱりわからないなと思いました。


■オンオフの切り替えはきっちり! 現場の雰囲気は良好、趣味の料理や手芸も「楽しい気持ちになる」


――シリアスな作品ではありますが、現場の様子はいかがですか?

北川:重いシーンもたくさんありますし、憎しみが強すぎて心苦しいシーンもあるんですけど、現場の共演者の皆さんとの合間の時間はすごく楽しいですし、監督やスタッフの皆さんとの関係も良くて、あまりシリアスな作品を撮っているという感じの現場の雰囲気ではないです。毎日、現場に行くのはすごく楽しいですし、待機の時間や家に帰ってからは役のことは全く考えないようにしています。役を引きずってズーンと気分が落ち込んでもよくないかなと思って、オンオフをきっちり切り替えながらやっています。


――どんなことで気持ちを切り替えているんですか?

北川:実は私、あまり逆にずっと役柄でいられないタイプというか…待機している時や楽屋でまで役に入り込んでいるということが逆にできないので、切り替えが自然にできている部分はあります。本番になったら切り替えられますし、カットがかかったら、さっきまで話していた話の続きをメイクさんとしたりして…。本当にカメラの前にいるときに集中してお芝居をしているということなのかもしれないです。それと、普段から料理と手芸がすごく好きで、家に帰ってからは料理か手芸かどちらかはしているんです(笑)。例えば次の日の撮影が長くて、家に帰ったらすぐ子どもに夕飯を食べさせなきゃいけないという予定になってたら、次の日の夕飯は時間が経ってもおいしいもの、例えばカレーとか、そういう料理を作ってから寝たり、手芸でちょっとしたカバンを作ったりとか。今は子どものワンピース作りに挑戦しているんですけど、そういうのをちょっと進めてみるとか…この2つは趣味なので、やっていると楽しい気持ちになるんです。料理か手芸をして気分が良くなって寝る!という感じで、日々過ごしています。

――ちなみに、紘海は管理栄養士の仕事をしている役柄ですが、普段の料理の腕前が生かされたのでは?

北川:管理栄養士として料理を作るシーンは、練習をしないでやれました。朝ご飯を作るいつものルーティンの延長で、現場でもまた人参を切って…という感じでした(笑)。以前に料理人の役を演じた時に料理を習った経験もあったので、そういうこれまでの経験が活きたというか、自然にできた気がします。


■第2話ラストで思いがけない展開が! 今後のキーマンはあの人…?


――第2話は自分の子どもを亡くして悲しみを抱えた紘海が、萌子の母にもなる覚悟を決めた衝撃回でした。

北川:紘海が萌子(倉田瑛茉)を育てることにしたのは、灯の代わり、灯を失った悲しみの穴埋めということでは決してなくて…。灯を失ったことがきっかけで、お互い仲は悪くなかったけれど夫とも離婚してしまってこの世でたった一人になってしまった紘海にとって、きっかけは誘拐だったけれど、あの時に無垢に寄り添ってくれる存在であった萌子がいなければ、紘海は生きることができなかったんだろうなと思います。私自身、今回この作品を通して、家庭で一緒に生活してくれている子どもたちや夫とか、仕事の現場でずっと一緒にいてくれる事務所の方々とか…何をしてくれるということじゃなくても、一緒に生きてくれている人たちに対する感謝が私の中で強く芽生えたんです。そうした感謝の想いがあるからこそ、紘海の心情には共感できるというか…紘海はあの時、一緒に生きてくれている萌子を手放すわけにはいかなかったんだろうなと解釈をして演じていました。

――第2話以降のストーリーで、紘海と旭側の登場人物たちが接点を持つのか、特に旭の家族ではない玖村(阿部亮平/Snow Man)が紘海とどう接点を持つのか、気になります。

北川:玖村は平祐奈さん演じる旭の娘・梨々子の家庭教師だったということだけじゃなくて、今後、物語の本筋にすごく関わってきますし、紘海の精神的な拠り所…みたいになるんです。物語の中でもキーマンですね。玖村は登場人物のなかでも一番フェアな立ち位置というか…旭側でもなく、紘海側でもなく、本当にフラットに自分の仕事に向き合っている中で、ひょんなことで目に、耳にしてしまったことが、紘海にとって重要な情報だったりして、紘海の拠り所になっていく感じなんです。どっち側の人間でもなく、ただ事実を見て知っているからこそ、玖村は今後のキーマンじゃないかなと思います。


――北川さんと阿部さんの共演シーンは、物語のなかでも“ほっこり”パートだとうかがいました。

北川:そうなんです。一緒に何か食べたり飲んだり、ちょっと立ち話したりするシーンが今後出てくるんです。2人で話している内容がライトではないんですけど(笑)。それと、阿部くんの存在も私としてはありがたかったというか…真面目で明るくて、私と年が近いわけじゃないけど若すぎるわけでもなく経験も積んでいる方なので、撮影の合間にいろいろな話をしました。「阿部くん、どういう時に勉強してるの?」と聞いてみたり…。そういえば「騒がしい喫茶店で勉強するのが、一番集中できる」と言っていましたね。静かな場所で勉強できるのは当たり前で、喫茶店とか、コーヒーショップのテーブルが置いてあるスペースとか、そういう場所で勉強するのが一番集中できるんだそう。「阿部くんが行って大丈夫?(騒がれない?)」と思いましたけど、そういうことをしているというお話を聞いたりしました。阿部くんといろいろと話して、すごく息抜きになりました。

――改めて、北川さんが思う本作の見どころは?

北川:結構重いドラマなのかなと思う方も多いかもしれないんですけれども、親子愛や職場での上司と部下との信頼関係や絆など、いろいろな人間関係が描かれているヒューマンドラマだなと思っているので、見ていただければここにいる誰かのキャラクターに共感できるような物語になっているんじゃないかなと思っています。そして、私がこの作品でずっと感じているのは、人間ってどこかで何か間違ってしまったり、何か過ちを犯してしまったりすることって経験があると思うんですけど、そうなってしまったときに人がどうやって再起をかけて立ち上がっていくかということや、誰かが何か誤ってしまったときに、それをどんなふうに許せるのかということが大事なんじゃないかなということ。そうした“生き方のヒント”というと大げさかもしれませんが、そういうものが散りばめられているドラマになっていると思いますので、ぜひ、皆さんに見ていただきたいです。

(取材・文:齊藤恵 写真:高野広美)

 ドラマ『あなたを奪ったその日から』は、カンテレ・フジテレビ系にて毎週月曜22時放送。
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