党首討論で質問する国民民主党の玉木雄一郎代表=4月23日午後、国会内 国民民主党の玉木雄一郎代表は政界再編に狙いを定める。議席を4倍に増やした昨年の衆院選同様、夏の参院選でも躍進すれば、政局の主導権を握り「玉木首相」も視野に入る。一方、看板政策「手取りを増やす」は財源論を脇に置いており、大衆迎合批判も浴びる。
「ガソリンの暫定税率、いつ廃止するんですか」。4月23日の党首討論で、玉木氏は強い口調で石破茂首相に迫った。
暫定税率廃止は、所得税がかかり始める「年収の壁」引き上げとともに、「手取り増」政策の双璧を成す。キャッチーなメッセージが若者や現役世代の共感を得て、各種世論調査で野党第1党の立憲民主党を上回る支持が続く。特に18〜39歳の若い世代では与野党通じてトップの調査が多い。
玉木氏は参院選を「日本の政治を変える選挙になる」と位置付ける。選挙結果次第で政権の枠組みを巡り政局が流動化する可能性もあるためだ。玉木氏は4月22日の記者会見で「手取りを増やすために協力できるところとはしていく」と述べ、連立政権入りの可能性を否定しなかった。
過去には、非自民細川連立政権や自社さ村山連立政権のように比較第1党以外から首相を出した例もある。首相への野心を隠さない玉木氏だが、ニッポン放送番組では「議席を増やして安定基盤をつくらないと、のみこまれるだけ」とかわした。
参院選の目標は改選4議席の4倍となる16議席以上。非改選と合わせて参院で予算措置を伴う法案を単独提出できる21議席を目指す。
玉木氏は自身が「ネットどぶ板」と呼ぶSNS戦略で支持を拡大した先駆者でもある。ただ、国民民主が4月に30歳未満の所得税を減税する法案を衆院に提出した際は、SNSで「就職氷河期を見捨てた」などの批判が殺到。幹部は「就職氷河期対策にも力を入れる」と釈明に追われた。SNS頼みの戦略は危うさもはらむ。
我が道を行く国民民主に対し、立民との連携を求める支持団体の連合には不満が募る。連合幹部らは「ネット世論ばかり見ていて旧来の支援者が離れている」「大衆迎合主義に走ってはいけない」と懸念を示した。