快走止まぬフェラーリが上位独占、トヨタ・ポルシェは全車が一次敗退。中山組レクサスがGT最速【第3戦スパ予選レポート】

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2025年05月09日 23:30  AUTOSPORT web

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2025年WEC第3戦スパのポールポジションを獲得した50号車フェラーリ499P
 5月9日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでWEC世界耐久選手権第3戦の公式予選(予選およびハイパーポール)が行われ、ハイパーカークラスではアントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン組の50号車フェラーリ499(フェラーリAFコルセ)が最速タイムを記録し、ポールポジションを奪った。

 これにAFコルセの83号車、フェラーリAFコルセの50号車が続き、今季開幕から2連勝を飾っている跳ね馬勢が好調を維持し、スパの公式予選でもトップ3を独占する結果となった。

 LMGT3クラスでは、アーノルド・ロバン/フィン・ゲルシッツ/中山雄一組の78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)が最速となり、クラス最前方から10日の決勝レースをスタートする。レクサスはこれがWECでの初ポールポジションとなった。


■エドゥアルド・バリチェロが見せた快走

 10日土曜に6時間の決勝レースが行われる第3戦。9日金曜は午前中にフリープラクティス3が行われた後、現地時刻14時40分から、まずはLMGT3クラスの“予選”セッションが開始となった。天候は晴れ、気温16度/路面温度35度というコンディションだ。

 ブロンズドライバーの搭乗が義務付けられている同セッションでは全18台中、上位10台が“二次予選”にあたるハイパーポールに進出することが可能。ハイパーポールでは今季よりシルバードライバーがタイムアタックを担当する。

 95号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)で通年参戦する佐藤万璃音、そして今回代役参戦でWECデビューとなる78号車レクサスの中山は、ともにFIAのカテゴライゼーションがゴールド。したがって、予選とハイパーポールには出走しない。

 15分間で行われる予選では、アウトラップ、ウォームアップラップのあと、各車がアタックを開始した。まずは92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ファースト・フォーム)のライアン・ハードウィックが2分19秒265というタイムで首位に。46号車BMW M4 GT3(チームWRT)のアハマド・アル・ハーティも2分19秒台に入れて一時3番手につける。88号車フォード・マスタングGT3(プロトン・コンペティション)のステファノ・カットゥーゾも2番手とポルシェに肉薄する。

 2周目のアタックでは21号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)のフランソワ・エリオがわずかに92号車ポルシェを上回って暫定首位に立ち、中山のチームメイトである78号車レクサスのロバンが4番手へと浮上してくるが、このタイムは直後に僚友の87号車ラズバン・ウンブラレスクに破られることに。ウンブラレスクは後のラップでにさらにタイムを縮め、3番手へと進出した。

 残り3分を切ってピットへ戻るマシンも出るなか、各車は最後のプッシュラップへ向かうが、ここでのタイムアップは限定的となり、21号車フェラーリ、92号車ポルシェ、87号車レクサス、88号車フォード、78号車レクサス、27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ハート・オブ・レーシングチーム)、46号車BMW、10号車アストンマーティン(レーシング・スピリット・オブ・レマン)、54号車フェラーリ、77号車フォードまでがハイパーポール進出となっった。

 佐藤の95号車はダレン・ラーンのアタックにより14番手に留まり、ここで敗退となっている。

 続いて行われたLMGT3のハイパーポールのセッションは15時03分からの12分間。

 46号車BMWのバレンティーノ・ロッシをはじめとした10台/10人のシルバードライバーたちがアタックへと入ると、まずはロッシが2分19秒753で暫定首位に立つが、88号車フォードのジャンマルコ・レボラートが2分18秒台へ入れてトップに。3番手には92号車ポルシェのリカルド・ペーラがつける展開となる。元F1ドライバー・ルーベンスの息子で、今年シリーズデビューを飾ったエドゥアルド・バリチェロも最初のアタックで10号車アストンマーティンを6番手につけた。

 アタック2周目にも各車は続々とタイムアップするなか、78号車レクサスのゲルシッツが2分17秒732という圧倒的なタイムでモニター最上段に立つ。これに88号車フォード、27号車アストンマーティン、54号車フェラーリと続き、10号車アストンのバリチェロも5番手へとポジションを上げた。

 アタック3周目、77号車フォードのベン・タックが2分18秒018とレクサスに迫る2番手に。これで決まりかと思われたが、チェッカーが振られるなか、バリチェロが猛アタックを見せて三度自己ベストを縮め、2分18秒008とわずかに77号車を上回って2番手の座をつかんだ。

 LMGT3のポールポジションはゲルシッツがアタックした中山組の78号車レクサスのものに。10号車アストンマーティン、77号車フォード、88号車フォードと続き、トラックリミット違反もあったとみられる46号車BMWのロッシは9番手でこのセッションを終えることとなった。

 なお、87号車レクサスはまともなプッシュラップを刻めないままピットへとマシンを戻し、10番手となっている。


■トヨタ、ポルシェ、アストンマーティンは全車が敗退

 続いて15時25分から、ハイパーカークラスの予選セッションが開始。トヨタGAZOO Racingでは7号車GR010ハイブリッドでチーム代表を兼ねる小林可夢偉、8号車はブレンドン・ハートレーがアタッカーを務めている。

 こちらもアウトラップ、ウォームアップラップに続き、各車が間隔を開けながらプッシュラップへと突入。まずはフェラーリ499P勢が速さを見せ、50号車のフォコが2分00秒419で首位に。これに83号車のロバート・クビサ、51号車のアントニオ・ジョビナッツィが続く。36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のミック・シューマッハーは一時的に2番手へと割り込むが、トラックリミット違反があったかこのタイムはすぐに抹消された。

 代わって2番手に割り込んだのは、93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)のジャン・エリック・ベルニュだった。

 アタック2周目に入るとフォコは2分00秒108とさらに自己ベストを短縮。20号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)のロビン・フラインス、12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)のアレックス・リンがトップ6圏内へと進出する。

 3周目のプッシュラップでは83号車フェラーリのクビサがタイムを短縮し、さらに36号車アルピーヌのシューマッハーが“今度こそ”の5番手浮上。残り3分を切ってもトヨタの2台はトップ10圏外となっていた。

 6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のケビン・エストーレはターン11出口でワイドになってダートに右半分を落とし、マシンを損傷してしまう。エストーレはピットに6号車を戻し、ここで予選敗退となった。

 チェッカー直前、38号車キャデラックのアール・バンバーがタイムを縮めて9番手に飛び込み、逆転でハイパーポール進出を決める。一方でトヨタ2台は8号車ハートレーが15番手、7号車可夢偉が16番手となり、ポルシェ963、アストンマーティン・ヴァルキリーも全車がそろって敗退となった。

 ハイパーポールへの進出は、上位から順に50号車フェラーリ、93号車プジョー、83号車フェラーリ、51号車フェラーリ、36号車アルピーヌ、12号車キャデラック、20号車BMW、35号車アルピーヌ、38号車キャデラック、94号車プジョーという10台。15時48分、12分間のハイパーポールが始まった。

 まずは83号車フェラーリのクビサが1分59秒964とついに2分を切ると、続いて50号車フォコも1分59秒617を記録し暫定トップへ。3番手にも51号車ジョビナッツィがつけ、フェラーリ499P勢がまたもトップ3を独占。これに94号車プジョーのストフェル・バンドーンがつける形に。

 クールダウンラップを挟み、最後のアタック合戦が再開されるが、ここでは51号車のジョビナッツィがコースオフするなど、タイムを短縮するマシンは見られなかった。

 これでポールポジションはフォコがアタックした50号車の手に渡った。フロントロウに並ぶのはサテライトチームの83号車。さらに51号車と続き、フェラーリ勢が上位3グリッドを独占する形に。

 以下、94号車プジョー、12号車キャデラック、36号車アルピーヌ、93号車プジョー、20号車BMW、シャルル・ミレッシがアタックした35号車アルピーヌ、38号車キャデラックというハイパーポールのオーダーとなっている。

 WEC第3戦の決勝は、5月10日土曜日の現地時刻14時(日本時間21時)にスタートが切られる予定だ。

[オートスポーツweb 2025年05月09日]

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