首相官邸に入る石破茂首相=9日、東京・永田町 石破茂首相は11日のフジテレビの番組で、トランプ米政権の高関税政策を巡り、米英両国が英国車10万台に税率10%の低関税枠を設けることで合意したことについて「一つのモデルではある」と述べた。ただ、英国とは貿易・投資の状況が異なるとして、自動車関税の撤廃を求める立場は変わらないと強調した。国内対策として浮上している消費税減税には改めて慎重姿勢を示した。
首相は米英合意について「一つのやり方ではあるが、英国はせいぜい(年間対米輸出が)10万台だ」と指摘。「(日本は)あくまで撤廃だ。米国に投資し、雇用を作り出している。日本の自動車産業を疲弊させたら、米国への投資もできなくなる(と主張していく)」と語った。
農業分野については「自動車のために農業を犠牲にすることはしない」と強調。コメの輸入拡大に関し「一つの選択肢としてあり得る」としつつ、前提として「コメ政策の構造そのものを見直していくことが必要だ」と説明した。トウモロコシの輸入拡大には前向きな考えを示した。
「相互関税」上乗せ分の停止措置は7月9日に期限を迎える。首相は「期限が来るので不合理な妥協もせねばならないという話にはならない」と述べ、期限より合意内容を優先する姿勢を示した。
一方、国内対策として消費税減税を求める声が与党内にくすぶっていることに関しては「国の財政はどうなるのか。困っている人も困っていない人も一緒(の減税)でいいのか。困っている人に厚い支援として他にやり方はないか」と疑問を呈した。