狩野英孝、また人生を一から始めるなら「コンビを組みたい、ツッコミ担当で」 M-1、キングオブコントにも憧れ

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2025年05月11日 09:10  クランクイン!

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狩野英孝  クランクイン! 写真:小川遼
 芸人、YouTuber、アーティスト――とマルチなフィールドで活動を続ける芸人・狩野英孝。現在公開中の映画『マインクラフト/ザ・ムービー』では、主人公たちと敵対する四角いブタ、ピグリン軍団の将軍・チャンガス役の日本語吹替キャストとして出演している。何もないところから自分の世界を作りだせるゲーム「マイクラ」を題材にした作品に参加した彼は、今までどんな思いで“芸人・狩野英孝”を作り上げていったのだろうか――22年間の芸能生活を振り返った。

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■リアクション芸が得意な狩野にとって声優業は「非常に難しい」


 「ラーメン・つけ麺・僕、イケメン!」のナルシストキャラでブレイクした狩野。2003年のデビューから22年という歳月が流れた。芸人として活躍する一方で、「50TA」名義でアーティスト活動を行い、作詞作曲を手掛けるなど、マルチな才能の持ち主。

 そんな彼が本作では、日本語吹替に挑戦。演じるのは主人公たちと敵対する四角いブタ、ピグリン軍団の将軍・チャンガス。将軍とはいえ、少々抜けたところがあるキャラクターだ。

 オファーを受けたときは「自分で大丈夫なのかな」と不安があったというが、「敵のリーダーということで、結構野太い怖い声を想像していたんです。でも、最初本国のオリジナル版の声を聞かせてもらうと、結構軽くてチャラい感じでした。雄叫びを上げて登場するのですが、そこから気が抜けたようなテンションになる。そのギャップが笑えるのかな。これだったらいけるのかも」と気が楽になったという。

 これまでも声の仕事をしたことはあったが外国語映画の吹替は初。「元々以前は、白いスーツを着て、バラを胸元に差し、ロン毛でやっていた人間。その後もリアクションなど、手ぶり身振りで笑ってもらっていた芸人なので、そういう動きや表情なしで、声だけで笑いを作るというのは非常に難しかったです」とコメントし、「でも僕がアフレコするときは、山寺宏一さん(ジャック・ブラック演じるスティーブの日本語吹替キャスト)や、安元洋貴さん(ジェイソン・モモア演じるギャレットの日本語吹替キャスト)が素晴らしい声を吹き込んでくださっていたので、そこに導かれるように引っ張っていただきました」とベテラン声優陣の匠の技に感謝を述べる。

■「白スーツを脱いでみよう」という挑戦には大きな葛藤があった


 狩野と「マインクラフト」と言えば、自身のYouTubeチャンネル「EIKO!GO!!」でのゲーム実況が有名だ。本作出演の経緯についても「日本で放送される映画のCMのナレーションを担当させていただいたんです。その時点でも、縁を感じて嬉しかったのですが、その後、日本語吹替も制作されると聞いて、半分冗談で『敵役のゾンビなど、一言でもいいから出演したいです』なんて話をしていました。そうしたら、吹替キャストのお話をいただいて。しかも役名のあるキャラクターなんて、本当に感動しました」と説明。

 こうした巡り合わせについて真っ先に「感謝」しつつ、芸人になって20年以上、常にセルフプロデュースしていくなかで大切にしている「凝り固まらない」というモットーについて語り出す。「ありがたいことに、早い段階で白スーツのナルシストキャラで多くの方に認知していただき、テレビなどにも数多く出させていただきました。すごくありがたいことなのですが、どこかで『このままでいいのかな』という思いもあったんです」。

 トレードマークとして世に浸透したキャラクター。それを活かした仕事が続くなか、つねに「凝り固まってはいけない」という思いが頭の片隅にあり、自らを変えていこうとした。「正直、新しいことをやるのってしんどいし、結果も出ないし、なかなか踏ん切りがつかない」という葛藤もあったが、周囲には“新たな狩野”を期待する人たちがいてくれた。「そういう人たちが自分にチャンスをくれるんです。なかなか厳しい世界ですぐに飽きられてしまう。そのなかで、自分のなかであまり理解できていなくても、チャンスがあれば『とりあえずやる』という精神でやってきました」。

 最初の大きな変化は「白スーツを脱いでみる」こと。「かなり浸透していただいていたので、大きな葛藤がありました」と明かす狩野はその後、バンド、歌、作詞作曲、リアクション芸、そしてYouTuberなど次々と新しいことに挑戦していった。

■新たな人生を作り出すなら「コンビを組みたい、ツッコミ担当で」


 YouTubeの配信はかなり大きな挑戦だったようで、「やってみませんか?」と言われたときは最初「テレビでやっていくので大丈夫です」と断ったのだとか。それでも「凝り固まってはいけない」というモットーから「とりあえず」やってみたという。

 しかし、最初は再生数や登録者数が伸び悩み、「やっぱり駄目なんだろうな」という気持ちに。そこで狩野は「これは『とりあえず』」ではなく、真剣にやらないと伝わらないんだ」と決心。仕事がオフの日にもスタッフと共に企画会議をして撮影・編集などの知識も身につけた。「そうすることによって『この人全然面白いこと言わないな』とか『ここでこの言葉を発すると編集しづらいな』と作り手の気持ちも分かるようになったんです」と語るように、おのずとテレビでの自分の見え方も俯瞰でとらえられるように。

 気がつけば「EIKO!GO!!」の登録者数は、234万人(5月9日正午時点)を突破し、大人気チャンネルへと成長。「これまで僕は同世代から年上の人に声をかけられることが多かったのですが、YouTubeを始めてから、子どもに声をかけられることが増えました」と変化を語る。

 YouTuberとしての人気も高いが、「僕はテレビに育ててもらったので、テレビも大事にしたい」とぽつり。子どもたちに「テレビ離れしないでね」と言うと「そもそもテレビを観ない」と答えられショックを受けたとも明かす。だからこそ「いまの20代の若いテレビのディレクターさんたちともご一緒するときは、どんどん意見を聞いて、なんでもやってみたいと思っています。やっぱり凝り固まってはいけないんですよね」と自身の言葉をかみしめた。

 そんな狩野に「マインクラフト」にちなみ「新しくゼロから人生を作り直すなら」と質問すると「いまの人生もありがたいし最高なのですが、できるなら今度はコンビで活動してみたい」と回答。芸人生活22年を数えるが「これまで一度もコンビを組む機会がなかった」とつぶやき、「先輩方を見ていると、相方って家族でもあり親友でもありライバルでもあるような不思議な存在なんだなと感じるんです。『マイクラ』の映画でも、スティーブとギャレットのコンビは凸凹ですが見ていて楽しいですよね。一度はコンビを組んでM-1グランプリやキングオブコントに出てみたいです」と憧れを明かす。

 立ち位置については、「皆さん『えー』と言うかもしれませんが、僕はツッコミをやりたいんです」とこっそり教えてくれた。(取材・文:磯部正和 写真:小川遼)

 映画『マインクラフト/ザ・ムービー』は、全国公開中。
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