<陸上:木南道孝記念>◇11日◇大阪・ヤンマースタジアム長居◇女子100メートル障害(ハードル)決勝
今季限りで競技の第一線から退く寺田明日香(35=ジャパンクリエイト)は、13秒08(向かい風0・6メートル)で3位となった。
中盤まで競ったが、最後は優勝した田中佑美(富士通)に0秒15差をつけられた。現状のパフォーマンスは「7割くらい」と説明。自己ベストの12秒86とは差があり「気持ち悪いので、ちゃんと合わせたいです」と修正を誓った。
この日は母の日でもあった。1人娘の果緒さん(10)は、母の活躍を誰よりも祈る存在。4月の織田記念(広島)で5位になった後には「なんで5番なの?」と物足りなさそうに言われた。「いや、そんなこともあります。1位を取るって大変なので」。寺田はそう思いつつ、娘に問うた。
「グランプリで良い記録を出して日本選手権でコケるのと、グランプリを試走に使って日本選手権で勝つのでは、どちらがいい?」
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答えは後者だった。「じゃあ、そこまで我慢して!」。今は娘の期待に応えるべく、7月の日本選手権(4〜6日、東京・国立競技場)に照準を合わせている。
寺田の勇姿を照らすように、女子100メートル障害決勝は同選手権最終日の最終種目に組み込まれる見込み。自身にとって最後の日本一決定戦が、大会のフィナーレを飾ることになる。この種目を引っ張ってきた第一人者は、感慨を込める。
「100メートルハードルがそういう風にしていただけるなんて、本当にありがたいです。例年、最終日の最終種目は男子100メートルになることが多いですが、女子のハードル種目がきた。ちょっとでもそこに貢献できていたらいいなと思ったりもします」
取材の中盤ではこんな一幕もあった。「持ってきます? もらったものがあるけど」。取材エリアをいったん離れ、荷物を手にして再登場。そこには奈良県生駒郡の龍田大社の「風神」としるされた御守りが結ばれていた。
「昨日もらいました。法隆寺では干支(えと)おみくじも引いてくれたらしいんですけど、中吉っていう微妙な感じだったみたいで」
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果緒さんから渡された御守り。「中吉」だったおみくじ。それは家族が一緒に闘ってくれている証(あかし)だ。
世界選手権東京大会の切符をかけた日本選手権最終日まで56日。約束の優勝へ、まだまだ時間は残されている。
「それまで時間をつくってもらえたということでもあるので、良い調整をしたいです」
家族の後押しを力とし、1日1日を大切に過ごす。【藤塚大輔】
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