鹿島MF舩橋佑(右手前) [写真]=金田慎平 明治安田J1リーグ第16節、鹿島アントラーズ対川崎フロンターレが11日に国立競技場で行われ、鹿島の舩橋佑がプロ初ゴールを記録した。
開始7分でセットプレーから先制を許し、劣勢に立たされた鹿島。前半終了間際に苦しいチームを救ったのは、成長著しい22歳のボランチだった。自陣深い位置でGK早川友基からパスを受けた舩橋は、プレッシャーを受けながらも正確に前方へ展開。味方が繋いでいる間に自身もペナルティエリア内まで攻め上がり、最後は鈴木優磨からの折り返しを受け、冷静に相手を交わして、左足でフィニッシュした。
苦しい展開の中で生まれた得点について、舩橋は「あんまり覚えていない」と照れ笑いを浮かべながらも、「相手を交わすところまで覚えていて、あとは本当に枠に飛んでくれと思って、蹴ったらうまく飛んでくれたので良かったです」と喜びを噛み締めた。その後、鹿島は65分に田川亨介が逆転ゴールを奪い、2ー1で勝利。破竹の6連勝で首位キープに成功した。
負傷者続出の中でチームを支えている舩橋。しかし、プロ入りからの約4年間は、なかなか主力に定着できず、試行錯誤の日々だった。チャンスは何度も巡ってきたが、本人が課題に挙げる「パフォーマンスの安定感」を欠き、出場機会を活かすことができなかった。それでも、ユース昇格から5年目の今季は、鬼木達監督のもとで持ち前のシンプルな捌きと球際の強さを発揮し、本人も「求められているものを出せている感覚がある」と手応えを掴んでいる。
「2年前(に国立競技場で開催された試合)はスタンドで応援していた自分が、このピッチに立って得点を決められたということはすごく感慨深いですし、それがアントラーズの勝利に繋がったことが嬉しいです。自分に求められることを1試合、1試合やっていくことが自分の価値が上がっていることにつながっていると思いますし、鹿島の勝利のためだけにプレーしているのがうまくいっているなと思います」
確かな成長を感じ、自信も深まった。だが、ポジションを争うライバルが強力なことは本人も理解している。今季も鹿島には、三竿健斗、柴崎岳、知念慶、樋口雄太ら特徴の異なる実績十分のボランチが揃っており、継続して出場機会を得るためには、高いパフォーマンスを示し続けなければならない。目標とするのは、ユース時代に指導を受けたクラブの“レジェンド”小笠原満男テクニカルアドバイザーだが、憧れの存在に近づくためには、現状に満足はしていられない。
「まだまだ満男さんには程遠いですけど、こういう形で結果を残していって、アントラーズを象徴するボランチになれるように頑張りたいです。(クラブハウスで会ったら)満男さんには『満足するな』と言われると思うので、気を引き締めて頑張りたいです」
クラブレジェンドから薫陶を受けたアカデミー育ちの誇りを胸に。舩橋はさらなる高みを目指して、プロ5年目の飛躍を誓う。