大阪市西成区で下校中の小学生の列に乗用車が突っ込み7人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂の疑いで逮捕された無職の矢沢勇希容疑者(28)=東京都東村山市=が事件前、大阪市内の別の小学校周辺を車で走行していたことが捜査関係者への取材で判明した。大阪府警は容疑者が登下校中の小学生を物色していた可能性があるとみて、詳しい経緯を調べている。
大阪地検は16日から容疑者の刑事責任能力を調べるための鑑定留置を始めた。期間は9月1日まで。
事件は5月1日午後1時半すぎに発生。容疑者は下校中だった市立千本小2、3年の児童7人を車ではねて殺害しようとしたとして現行犯逮捕された。
容疑者は当時、スポーツタイプ多目的車(SUV)を運転。車は事件2日前の4月29日にJR新大阪駅(大阪市淀川区)近くのレンタカー店で借りたものだった。
捜査関係者によると、この車の走行経路を防犯カメラの映像などから調べたところ、事件前に大阪市東住吉区にある小学校付近を走っていたことが確認された。容疑者は「全てが嫌になった。数人の小学生をひき殺そうとした」と話しており、標的とする子どもを各地で探していた可能性があるという。
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また、容疑者は「持っていたスマートフォンを事件前に捨てた」とも説明しており、府警は証拠隠滅を図った疑いもあるとみている。
容疑者は診療放射線技師として働いていた病院を4月下旬に退職し、その後に大阪へ向かったとみられている。ただ、大阪に地縁や土地勘はなかったとされ、来阪の目的や千本小の児童を狙った明確な理由は分かっていない。
容疑者は「苦労せずに生きている人が嫌だった」などと、自身の不遇や社会に対する不満とも取れる趣旨の話もしている。府警は社会に対して一方的に恨みを募らせ、無差別殺人を思い立った可能性があるとみて裏付けを進めている。【斉藤朋恵、大坪菜々美】
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