画像はイメージです「トラブルに巻き込まれることが多い職業」と、都内にあるタクシー会社に勤務する風間慎吾さん(仮名・30代)はため息をつく。ドライバー歴はかれこれ10年以上にもなり、当然ながらこれまで数え切れない客を目的地まで運んだ。
「サラリーマンから家族連れ、学生、裏社会風の人や水商売の方など、お客さんの属性は多種多様。最近は外国人旅行者が増えていますから、コミュニケーションに困ることもあります。とはいえ、言葉が通じないだけの外国人はまだましなほう。酔っ払いや言動がおかしい人など、毎日何かしらのトラブルに巻き込まれているような気がしています。気楽な商売だと思われがちですが、かなりストレスが溜まる厳しい仕事です」
◆「乗せたくない」と思うのは…
できれば乗せたくない属性の人たちがいると教えてくれた。それが、港区近辺に生息しているパパ活女子やラウンジ嬢だという。
「深夜帯に六本木や麻布あたりを流すことはありません。無線が入ってしまったら仕方なく行くだけで。自分から捕まえにはいかないエリアです。一昔前ならお金持ちが多くて、お釣りをチップとしてくれるおいしいお客さんばかりがいるエリアだったんですけど……。ただ、最近ではパパ活女子やラウンジ嬢ばかりで、非常にマナーが悪いので乗せたくないんです」
◆“ヤカラのような対応”をされる
門外漢からすると、ラウンジ嬢とパパ活女子にさほど差異があるようには感じないものだが、当事者からすると一括りにはできないそうだ。まずラウンジ嬢の乗車マナーについて語ってもらおう。
「ラウンジ嬢に、“ヤカラのような対応”をされることは多々。もちろん全員がそうだとは限りませんが、タクシードライバーに横柄な対応をして、暴言を吐かれることは珍しくありません。この前乗せた六本木のラウンジ嬢は、こちらが気を利かせて近道で送ったら、『道が違う』『金を返せ』とずっと怒鳴り声をあげていましたから……。水商売の中で、一番お客さんとして乗ってほしくないのはラウンジ嬢です」
◆ラウンジ嬢よりもタチが悪いのが…
しかし、「ラウンジ嬢よりもタチが悪いのがパパ活女子」と風間さんは眉間にしわを寄せる。仲間うちでは、パパ活女子御用達の店が共有されていて、絶対に近づかないように注意しているそうだ。
「パパ活女子はラウンジ嬢と違う人種なんですよね。雰囲気ですぐに分かります。一言でいうと、タクシーに乗った瞬間から失礼なんです(笑)。女王様のように偉そうな態度で行き先を告げ、少しでもブレーキを強く踏めば舌打ち……。ラウンジ嬢も特権意識の塊ですが、なぜかパパ活女子のほうがタクシードライバーに厳しい傾向にあるかなと。われわれドライバーは下層な職業だと思っているんですかね。もう、ベロベロに酔ったパパ活女子は最悪ですよ。車内で吐くは日常茶飯事で、おもらしをされたことも。もちろん謝罪などはしませんし、後処理をするのが本当に苦痛です」
一方でタクシードライバーに好かれているのが、銀座周辺にある高級クラブのホステスなのだとか。
「高級店のホステスさんは、どこにお客さんの知り合いがいるかわからないからと、誰にでも丁寧な対応をするように教育されていると聞きます。だからか、タクシーの乗車時にもお互いに気持ちのよい時間が過ごせるように乗ってくれますよ。チップをいただくことも多いですし、最高なお客様です」
◆港区の繁華街は治安が悪化した
風間さん曰く、ここ数年で「一気に客層が変わった」ように感じるらしい。
「港区の繁華街は治安が悪化したように思えます。チンピラっぽい人たちが増えてしまって……。コロナ禍が明けてからは、外国人観光客も増えてタクシー業界はそこまで苦しくなく、何が何でもお客さんを乗せたいという気持ちはありません。われわれは常に気持ちよく移動してほしいと努力しているということを知ってほしい。態度の悪いドライバーもいますが、多くはまじめに働いているドライバーです。やさしくしてくれとはいいませんが、常識あるご乗車をしていただきたいです」
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おごれるものは久しからず。マナーが悪い客を反面教師として捉えたいものだ。
<TEXT/高橋マナブ>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている