ロッテ・木村優人[撮影=山下拓人] ロッテの高卒2年目・木村優人は開幕一軍を掴むと、プロ初登板となった3月30日のソフトバンク戦で1回を無失点に抑えプロ初勝利、4月18日の楽天戦でプロ初ホールド、5月15日の楽天戦ではプロ初セーブ、ここまで10試合・14回2/3を投げ、1勝0敗3ホールド1セーブ、防御率2.45の成績を残す。
「最初の頃は調子が良くて、途中打たれ始めて、そこで学ぶことがありました。セーブを挙げられて、そこの反省は活かせられたんじゃないかなと思います」と開幕からの1ヶ月半を振り返る。
具体的にどんなことを学んだのか訊くと、「中継ぎをやっていく上で初球の入りだったり、大事なボールだったりを見直せたので、そこは良かったかなと思います」と教えてくれた。
開幕当初は先発投手が降板した後の2番手としてチームの流れを呼び込む役割を務めれば、同点・勝ち試合の1イニングを任されるなど、さまざまな場面で腕を振っている。リリーフで登板するまでの“準備”、“ルーティン”を確立したのだろうかーー。
「準備の段階で、ストレッチの順番、やることはいつもと変わらないので、そこは継続してしっかり準備してやっていきたいと思います」。
木村といえば、今季に向けて自主トレでは「変化球というよりかは、真っ直ぐのスピード、強さを求めてやってきて、いざブルペンで投げてみて自分のボールに力が伝わって、地面にしっかり押せたのでそこが良かったなと思います」とストレートにこだわって取り組み、オープン戦、開幕してからもその力強いストレートで一軍の打者をねじ伏せている。
現状のストレートについて「楽天戦でも真っ直ぐで押して、ポップフライ、フライアウトを取れたので、そこに関しては自信がついてきているので、継続してやっていきたいと思います」と説明。
プロ初セーブを挙げた5月15日の楽天戦では、5−2の9回一死一塁で浅村栄斗に2ボール2ストライクから投じた5球目、ボール球になったが、自己最速の154キロを計測。今季はプロ初登板となった3月30日のソフトバンク戦、4−4の7回一死走者なしで正木智也に1ボール1ストライクから投じた3球目に、ボール球となったが当時の自己最速152キロを記録するなど、開幕してから自己最速を何度も更新している。
変化球に関しては、スプリットについて「調子が良い時、良い腕の振りの時は良い落ち方がするので、再現性をしっかり上げていきたいと思います」と話し、自身の武器であるカットボールも「フォークと同じようにいい感じの腕の振りができれば、いいところから曲がりますし、いい高さに決まってくると思うので、そこは少し緩んだりしたら、浮いたりしてしまうので、そこを気を付けて投げています」とのことだ。
5月15日の楽天戦でプロ初セーブ、18日の日本ハム戦でも1−1の11回に登板するなど、勝ち試合、同点といった痺れる場面での登板が増えている。勝ち試合で投げたいという思いはあるのだろうかーー。
「本当に勝ちゲームで投げられるのはいい経験になりますし、投げたい気持ちはありますけど、大事な試合で投げたい気持ちもあるので、しっかりアピール、準備をしていきたいです」。
チームが借金9と苦しむ中で、希望の光となっている木村。「マウンドに上がったら抑えられるように、チームの勝利に貢献できるように、流れを持って来れるように投げていきたいなと思います」。ここまでは、高卒2年目とは思えないほど落ち着いた投球で、ブルペンを支える1人になっている。
取材・文=岩下雄太