
2024年7月、関東圏のとある家庭から「もう飼えない」と飼育放棄を受けることになった小さなワンコがいました。マルチーズとチワワのミックス犬のるるちゃんというメスのワンコで、月齢は10歳。家庭のお子さんが生まれる前から、家族に寄り添い、いつも一緒に過ごしていたワンコです。
るるちゃんを引き取ることになったのは愛護団体、アイドッグ・レスキュー隊。るるちゃんの引き上げには、団体メンバーのMさんが行きました。Mさんにとって、初めて飼育放棄の生々しい現場に立ち会うこととなりました。
別れ際に号泣した元飼い主
元飼い主は別れ際、るるちゃんの寂しそうな表情を前に号泣して謝りました。どんな事情があったかはわかりませんが、別れを惜しむような素振りを見せていました。
実は引き上げに行ったMさんは事前に団体代表から、こんな話を聞いていました。
|
|
「どんな事情があるにせよ、その人は『動物を棄てる人』。多少は同情するところがあったとしても、命を扱うことの義務・責任はない」「可愛がりたいときだけ可愛がれるお人形ではない」
至極正論で、多くの保護団体が持つ基本的な考えです。この根幹が揺らいでいては、想像以上に大変な保護活動はまずできないことでしょう。
当然、Mさんもこういった考えを理解し、るるちゃんを引き上げに行ったわけですが、号泣する飼い主を前にした瞬間、涙してしまいました。「罪を憎んで人を憎まず」といった人としての優しさがMさんの心にあったからです。
お利口さんのるるちゃん
団体代表は前述のような揺るぎない考えを持ちながらも、Mさんの優しい心を否定することはありませんでした。そして、まずは、るるちゃんの「これから」を最優先にお世話し続けることにしました。
るるちゃんを一時預かることにしたのはNさんという預かりボランティアさん。保護当初は不安そうな表情を浮かべていたるるちゃんでしたが、Nさんからのたっぷりの愛情を受けてすぐに心を開き、次第に笑顔を浮かべるようにもなりました。
|
|
また、この日々で分かったのがるるちゃんのお利口さんぶり。どこを触っても怒らず、散歩も上手でトイレも室内外でバッチリできます。温厚な性格で人間に寄り添うことが大好きでもあり、Nさんの心を日々癒す存在にもなってくれました。
心ある人たちの奮闘で第二の犬生へ
そんなるるちゃんの元に、ついに「うちにおいで」の声がかかりました。優しそうな里親希望者さんで、団体が設定している譲渡基準ももちろんクリア。一定期間のトライアルでも、るるちゃんがいつもと変わらず明るく元気に過ごしたことから正式譲渡となりました。
10年以上も元飼い主に寄り添いながらも棄てられる格好となったるるちゃんでしたが、団体の心ある人たちのたっぷりの愛情と、「家族になって」と申し出てくれた里親さんとの「命のバトン」によって、幸せな第二の犬生を掴むことができました。
これからのるるちゃんには過去の悲しい思いを忘れるほどの、幸せな日々が日々更新されていくはずです。るるちゃんにとっていっさいの不安がない、明るく幸せな毎日が1日も長く続くと良いなと思いました。
アイドッグ・レスキュー隊
http://aidog.jpn.com/
|
|
(まいどなニュース特約・松田 義人)