「乗員早く見つかって」 空自機墜落で続く捜索、関係者ら祈り

0

2025年05月20日 18:23  毎日新聞

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

毎日新聞

航空自衛隊のT4練習機が墜落した入鹿池=愛知県犬山市で5月14日午後5時2分、本社ヘリから北村隆夫撮影

 航空自衛隊のT4練習機の墜落現場となった愛知県犬山市の入鹿(いるか)池は、国内最大規模の農業用ため池で、例年、6月1日から米農家への配水が始まる。約1518万立方メートルの貯水は近隣2市2町に配水され、水田約570ヘクタールに利用される。


 「捜索が長引けば収穫に影響が出るかもしれない」。ある農家はそう気をもむ。田植えのスケジュールは配水時期に合わせて調整しているが、品種によっては「1週間の遅れも許容できない」。ただ米作りは自然環境に左右され、不確定のリスクが常につきまとう。配水が遅れた場合でも、植える品種でバランスを取るなどして対応するという。


 入鹿池には機体から流出した燃料の拡散を防ぐため、オイルマットやオイルフェンスが設置されている。「水質の確保」を求める入鹿用水土地改良区の訴えなどを受けて、国は水質調査を行うとしている。犬山市の担当者は「現状で問題は報告されていないが、農家には安心して水を使ってもらいたい」と話す。


 入鹿池に隣接する観光施設「博物館明治村」は自衛隊の指揮所となっており、事故翌日の5月15日から営業を取りやめている。再開の見通しは立たず、予定されていた修学旅行や結婚式がキャンセルとなった。明治村の湯田晃久所長は「まだ捜索が続いている段階なので言うことはない。乗員が早く見つかることを祈るばかりです」と話す。


 犬山市は月内にも改良区と明治村のほか、事故に伴い営業を休止している「入鹿池貸ボート組合」の関係者を対象とした説明会を実施するという。【式守克史、大原翔】



    ニュース設定