愛情のない仕打ち 高校球児の「五厘刈り」のようにされたポメラニアン 元気がなかった元繁殖犬は赤い糸で結ばれた家族のもとへ

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2025年05月20日 18:40  まいどなニュース

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アンジュは健康と笑顔、そして毛を少しずつ取り戻してくれました

2024年6月、とあるブリーダーの元からメスのポメラニアンがレスキューされました。推定年齢5〜6歳ほどのアンジュというワンコですが、保護当初にとにかく元気がなく、ゴホゴホと咳をしており、膣からは何かが漏れていました。

【写真】保護当初、高校球児のような「五厘刈り」にさせられていたポメラニアンのアンジュ

アンジュの体は自慢のダブルコートを丸刈りにさせられており、まさに「五厘(2ミリ)刈り」状態。明らかに「少しでも飼育の手間を省略したい」というブリーダーの意向が感じられました。

ポメラニアンは短く刈り込む犬種ではない

アンジュを保護した団体、アイドッグ・レスキュー隊の代表はその姿を見て怒り心頭となりました。

「ポメラニアンは、トイプードル、シーズー、マルチーズなどと違って毎月必ず毛をカットしなければならない犬種ではないです。また、犬種ごとに異なる毛には相応の意味があり、ポメラニアンをここまで短く刈り込むことに憤りを覚えます。こんな姿で直射日光を浴びれば皮膚がんの元にもなるし、バリカンをなん度も当てられたせいで二度と気が生えなくなるポメラニアンもいます。だいたい『五厘』なんて数字、昭和の高校球児の髪型の話以外で聞いたことがありません」

たっぷりの愛情を受けて健康と笑顔と毛を取り戻してくれた

怒り心頭の代表でしたが、保護後は毛が生えてくるまではアンジュに洋服を着せてあげることにし、預かりボランティアさんの家では室内のエアコンの空気などを直接体に当てないようにするなど、献身的なケアをしてあげることにしました。また、冒頭でも触れたアンジュの体調不良の主な原因は、後に「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」と判明。この手術も実施しました。

心ある団体関係者からの愛情をしっかり受け取ったアンジュは日々笑顔を浮かべるようになり、やがて毛も綺麗に生えてきて、本来の美しさを取り戻してくれました。

いつか先住犬とも仲良く過ごせますように

そんなアンジュの存在を、団体主催の譲渡会で知った優しい家族から、後に「ぜひうちの子になってほしい」という声がかかりました。この家族のお母さん、お姉さんが一目惚れしたとのことですが、ここで一つ問題が。この家庭には先住犬がいて、他のワンコが苦手なのだと言います。

そんな不安もあったため、まずは念入りにトライアルを実施。案の定、先住犬は突然現れたアンジュにワンワンワン! と威嚇。それでもアンジュは「なんでそんなに怒るの?」といった表情でどっしり構えていました。

先住犬とは完全に打ち解けないままだったものの、過ごす部屋を分けるなどの対策ができるとのことで、ここで正式譲渡。アンジュはこの優しい家族に見守られながら、第二の幸せな犬生を送ることとなりました。

今なおアンジュと先住犬が心を寄せ合えるような関係を構築できたわけではない一方、一緒に散歩に出かけられるようになるなど、少しずつ距離を縮めているそうです。

アンジュと先住犬が、いつの日かかけがえの仲間となり、さらに多くの幸せを噛み締めてくれると良いなと思いました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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