近賀ゆかり、引退会見で明かした2つの“思い出と目標”…盟友・福元美穂も駆けつける

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2025年05月20日 19:01  サッカーキング

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近賀ゆかりと福元美穂 [写真]=湊昂大
 サンフレッチェ広島レジーナに所属するDF近賀ゆかりが20日、本拠地・エディオンピースウイング広島で行われた現役引退会見に臨み、「今日はレジーナへの思いをみなさんに聞いていただけたらと思っています」と挨拶した。

 現役引退を決めたのは今シーズン開幕前のこと。「今シーズンが勝負で、全てをかけたプレーをして終わりにするのがいいと思っていました」と明かした。

「昨シーズンはメンバー外になって試合に絡めないこともありながら、今シーズンは試合に出てプレーして終わりたいという思いの中で始まりました。引退をイメージしながらプレーしていく中で、またスタートで出ることができて、(試合に)出ていたら楽しいので気持ちが変わるかなと思いましたが、それでも全然変わらずにやっていました。その後、前十字じん帯断裂という大きいケガをして、復帰できるかギリギリの時期でしたが、ケガした時やリハビリ中も気持ちは何ひとつ変わらなかった。なので、今シーズンが始まる時に自分の中で決めたというより、引退というものが勝手に来たという感じでした。それこそ、昨シーズンまではどうやって引退したらいいのか、どうやったら引退する気持ちになるのだろうと自分の中で思っていましたが、今シーズンの最初に、勝手にその時期が来て、それがずっと変わらなかったところが引退を決めた時期と気持ちです」

 今月2日に41歳となった近賀は、日テレ・ベレーザ(現:日テレ・東京ヴェルディベレーザ)でプロデビューを飾り、INAC神戸レオネッサやアーセナル(イングランド)、キャンベラ・ユナイテッド(オーストラリア)、杭州女子倶楽部(中国)、オルカ鴨川FCなどでも活躍。“WEリーグ元年”の2021−22シーズンからはS広島Rでプレーした。また、2005年にデビューを飾ったなでしこジャパンでは国際Aマッチ通算100試合に出場し5ゴールをマーク。主力として2011年のFIFA女子ワールドカップ優勝や2012年のロンドンオリンピック準優勝、2015年のFIFA女子ワールドカップ準優勝に貢献するなど、輝かしいキャリアを築いた。

 近賀は「人に恵まれたサッカー人生でした」と話し、キャリアで印象に残っていることを2つ挙げた。

「1つワールドカップ優勝。それは言葉では表せない経験でしたし、本当に優勝がいろんなものを与えてくれて、女子サッカーを日本の中で大きく変えた出来事なのは間違いないですし、スポーツやサッカーの力を感じた大きな出来事でした。もう1つはオリンピック予選(2011年9月8日、ロンドン五輪予選女子アジア最終予選第4戦の北朝鮮戦)で自分のミスでゲームを落としてしまって、出場権が取れないかもしれない状況になってしまったこと。(出場権が)他国の結果次第という状況に、自分のミスでチームや女子サッカーを陥らせてしまった。その1つのミスの重みは本当に感じましたし、その後にチームのみんなが本当に寄り添ってくれて、結果(五輪に)出場できたので少し安堵しました。そのゲームの後に寄り添って支えてくれた仲間は一生感謝しても仕切れないというのが印象に残っています」

 S広島Rでは立ち上げから4年間、初代キャプテンも務めるなどチームをけん引してきた。公式戦では通算61試合出場4得点を記録し、リーグカップ連覇にも貢献した。「チームを立ち上げることは今まで経験したことがなかったので、本当にどうなるんだろうというところから始まったけど、クラブがレジーナでもサンフレッチェとして同じ哲学をはっきりと示していただいたので、それがこの4年間で染み付いてきたと思います。正直来るまではサンフレッチェというクラブをそんなに知ることもなかったけど、中にいて改めて素晴らしさを感じましたし、レジーナとしていろんな成長をした4年間だったと思います」と振り返った。

 引退後については「これからいろいろ話していく段階なので決まっていることはない」とコメント。ただ、指導者という選択肢も含めて、「私がレジーナや女子サッカーに還元できるものを、引退後に勉強しながら考えていきたいと思っています」と明かし、目標を2つ挙げた。

「1つはレジーナが日本一のクラブになるために力になりたいですし、それがどういう形かは今から探していきたいと思っています。女子サッカーを引っ張る存在になるために、日本一は数年以内に成し遂げないといけないと勝手に思っているので、その力になりたいと思っています。もう1つは、なでしこジャパンが世界でトップに立つこと。よく『もう一度』といろんなところで言われていますが、もう一度というよりは世界のトップに立ち続けるような強いチーム、強い国になる力を持っていると思うので、そこに何らかの形で関わっていきたいと思っています」

 また、同じく今シーズン限りで現役引退を決断した22歳のGK巻胡花については、「サッカーの中でいろんな人と出会えて、レジーナでいろんな経験をして、この年で辞めよう、次のステップに行こうと決断したと思います。私はそれもかっこいいなと思っていて、次に向けて踏み出す胡花を見て素敵だなと思いましたし、活躍して違う形でレジーナに帰ってきてくれたら一番いいなと思いました」と話した。

 会見の最後には、近賀とともになでしこジャパンで世界と戦い、S広島Rを創設時から支えた盟友のGK福元美穂が花束贈呈で登場。今季限りでS広島Rを退団し、古巣の岡山湯郷Belleに移籍する福元は会見後に報道陣の取材に応じ、「私も今シーズンでレジーナでの引退を考えていましたが、15年間お世話になっていた湯郷への気持ちが心に引っかかっていました。本当に長い時間考えた結果、最後は湯郷のユニフォームを着て感謝を伝えて引退したいなと思って決断しました」と移籍理由を明かし、「私のサッカー人生の中で一番濃くて楽しい4年間だったので、支えてくださったすべての方に感謝申し上げます。ありがとうございました」と感謝を口にした。

 会見後には近賀がチームメイトと一緒にオフィシャルストアに来店し、スタッフとして店頭に立ち、サイン会などのイベントでファン・サポーターと交流した。

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