近藤雄介1人5役で支える3度目の舞台「フラガール」へ 丹生明里ら歴代主演との思い出も明かす

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2025年05月21日 05:02  日刊スポーツ

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舞台衣装で爽やかに写真に納まる「フラガール−dance for smile−」出演の近藤雄介(撮影・河田真司)

俳優近藤雄介(32)が22日に初日を迎える、1人5役で臨む舞台「フラガール−dance for smile−」(東京・新国立劇場中劇場)の魅力を語った。


昭和40年代に炭鉱の町の活性化を狙い、常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)建設を目指した福島県いわき市の実話をもとにした物語。今回3度目の出演で、映画や舞台として何度も上演されてきた名作を、いぶし銀の存在感で支えている。


主演の元日向坂46丹生明里らフラガールを目指す少女たちがメインとなる舞台。近藤は「僕たちはあくまで脇役。みんなで稽古を頑張っていますし、当時はエネルギー革命が起きて、ハワイアンセンターができる過程で職を失ったり、常磐を離れた方、路頭に迷った方もいたかもしれない。そうした部分を僕らが表現することで、作品の深みを出したいと思っています」と力を込める。


松雪泰子や蒼井優が出演し、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するなど反響を呼んだ06年の映画公開から今年で20周年。気合は十分だ。「もともと大好きな作品でしたし、何度出てもうれしいです。緊張感と身が引き締まる思いと共に、良い作品なので、より良いものを届けたいという強い意志を持って励んでいます」と3度目の出演をかみしめている。


炭鉱労働者役をはじめ、やくざや旅館の客、町人など約2時間の舞台の中をめまぐるしく動く。「最初の早着替えは40秒くらいしかないんです。あそこは毎回しびれますよ」と笑いつつ、「犯罪者を演じた次の日に警察官を演じることもあるのが役者です。それを2時間の中で詰めて何役もやることはなかなかないですし、毎回始まったら本当にあっという間に終わります。役者冥利(みょうり)に尽きますね」。


構成演出の岡村俊一氏からは、フラガールを目指す少女たちをより際立たせる、良い意味でのヒール役を求められている。「(総合演出の)河毛(俊作)さんが映像のプロで、岡村さんが映像的演出を舞台でどうみせるかを体現してくださっています。すごく勉強になりますよ。女の子たちの対抗的な立場にいるのが僕たちの役目で、しっかりと重圧をかけていかないといけないということを常に言われています」。


そんな岡村氏は近藤について「見た目は軽いイケメンみたいに感じるけど、実際は結構重厚な演技ができる技巧派」と評した。「少女たちが簡単にフラガールになれては意味がないんです。なので、思い切って悪役になってもらっています。近藤君にはたくさんの役を任せていて、ユーティリティーさに助けられています」と信頼を寄せられている。


出演を重ねてきた経験も糧になっている。近藤は主人公、谷川紀美子の母役として同じく複数回出演してきた有森也実や神尾佑らベテランの姿に「お芝居で引っ張ってくださっているので、僕たちも負けないように頑張っています」と話す。主演の丹生については「これまで見た主役の子の中でも一番表情豊かで、生まれ育った常磐の地を大事にしている思いがストレートに伝わってくる印象です。いつも演じている時に何を考えているんだろうなって見入ってしまいます」と語った。


歴代主演の樋口日奈や潮紗理菜との思い出も明かした。「樋口さんは良い意味で田舎娘の芋っぽさを際立たせて演じられていました。それでいて終盤のダンスシーンにかけてどんどんきれいになっていく。そして、彼女はダンス中に舞台袖で横から見ている僕らの方に目線をくれるんですよ。男たちはみんな『今、俺のことを見た!』と言って、勝手に盛り上がっていました(笑い)」。


潮については、彼女の特技でもある4つ葉のクローバー探しの力を稽古中にも感じていたと明かし「稽古場は今回と同じ場所だったのですが、10分ちょっとの休憩時間の間に外の草むらからたくさん見つけてみんなに配ってくれました。すごいですよ。いつも笑顔で『4つ葉のクローバーが光って見える』と言っていました」と振り返った。


22年に「日経エンタテインメント!」で紹介されたドラマ・映画の20代男性俳優出演数ランキング(21年7月〜22年6月まで)では、磯村勇斗、岡山天音らと並ぶ3位(13本)に入るなど多くの作品を経験。今後もドラマやCMなどへの出演が控えており「今作に出る少女たちは炭鉱の町だったところから、今の時代とは比べものにならないような覚悟でフラガールを目指されたと思います。僕もそれぐらいの覚悟を持って俳優として日々精進していきたい」と気を引き締める。「まだまだ僕もやらなければいけないことがたくさんあります。まずはこの舞台で、見てくださる方々に炭鉱の町の底力を伝えたいです」と見据えた。【松尾幸之介】


◆近藤雄介(こんどう・ゆうすけ)1992年(平4)10月11日生まれ、大分市出身。中学時代は硬式野球クラブに所属。陸上競技にも励み、中学3年時にジュニアオリンピック400メートル県代表、駅伝で県大会区間賞など活躍。高校は情報科学に進学し、東京国際大では約200人を束ねる野球部主将。卒業後に芸能界入り。俳優としてアリゲーターに所属し、声優として系列のクロコダイルとも業務提携。19年映画「恐怖人形」、ドラマは21年TBS「プロミス・シンデレラ」、22年テレ東「警視庁考察一課」、23年テレ朝「泥濘の食卓」、24年フジ「院内警察」、舞台も「修羅雪姫」「フラガール」など多数。趣味のゴルフはベスト79。1級小型船舶免許も所持。182センチ。血液型O。


◆「フラガール−dance for smile−」 舞台は昭和40年の福島県いわき市。エネルギー革命によって炭鉱の町が衰退していく中、未来を切り開くためフラダンサーを目指す少女たちの奮闘を、笑いと涙、感動とともに描く。今作では丹生のほか映梨那、中村里帆、木崎ゆりあ、菅原りこらが出演。5月22日から6月2日まで新国立劇場中劇場で上演。

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