
平穏に働いていたのに、ある出来事をきっかけに、職場でのハラスメントに巻き込まれてしまうこともある。投稿を寄せた歯科衛生士の60代女性は、以前勤めていた歯科医院で院長からパワハラ被害に遭うハメになってしまった。
その歯科医院は地域でも大きく、院長をはじめ歯科医師、歯科衛生士、助手が10人ずつ在籍。ユニット(診察台)も10台と多かった。「患者の数も多く、待合室はいつも患者で溢れかえっていて流行っていました」と説明する。(文:西荻西子)
撮影データを保存するはずの院長「知らない」
ここで問題になるのが、奥歯から前歯までを一度に撮影できるパノラマレントゲンだ。一台しかなく、当時は撮影からレントゲンの現像まで10分ほどかかっていた。スムーズに使うため、撮影終了後は速やかに元のユニットに戻り、次の撮影をするスタッフがそのデータを保存して現像する、というルールが決められていた。
「ある時、私の患者のパノラマ撮影が終わりユニットに戻り、少ししてから現像が終わったであろう写真を取りに行ったところ無かった」
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「私の後にパノラマ撮影をしたスタッフに聞いたところ『院長が保存せずに自身の患者の撮影をしてしまった』とのことだったので院長に確認したところ『知らない』と」
状況的に間違えた人は院長しかいないため、その時は「後で聞こう」と思い、患者には申し訳ないが再度パノラマ撮影をさせてもらったという。
診察時間が終わると、スタッフ全員でミーティングを行う。その際、女性がついていた歯科医師は「パノラマ撮影時にアクシデントがあり患者さまに再度撮影させてしまった」と報告したが、今後気をつけるように、で話は終わった。
女性は、「そのときも院長は謝罪も何もありませんでした」と話す。しかし翌日の昼休み、院長から中庭に呼び出された。女性は「謝罪の言葉があるのかな?」と向かったが、
「私の顔を見ると同時に凄い剣幕で『人のせいにするんじゃない!』と怒鳴られました。私は突然のことでビックリして声も出ませんでした。その後も何を言っているのかもわからず、とにかく真っ赤な顔で怒りまくっていました」
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と尋常ではない院長の様子を明かす。
気に入らないことがあると水をかけてくるなどの嫌がらせ
中庭で叱責された日のミーティングで院長は、自らのミスを公にされることに強い拒絶反応を示したようで「自分は悪くない」といい、パノラマ撮影時のルールを「自分が撮影したものは自分で現像するように」と変更した。
女性は「そのようにしたらどうなるのか、みんなわかっていました」と呆れたが、院長に従うしかなかった。案の定、懸念していた通りとなる。
「翌日からそのようにしたところ長蛇の列ができ、診療に支障をきたすようになりました。すぐに他の先生方から苦情が出て今までのやり方に戻りました」
これで一件落着かと思いきや、これ以降、院長から女性への嫌がらせが始まった。
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「気に入らないと3ウェイ(編注:歯科用の水と空気を噴射する器具)で水をかける。器具をワザと落とすなどなど」
ありえない院長の仕打ちに「私も耐えられなくなり辞めました」という。退職してもなお「いまだに男性の怒声が聴こえると身体が震えます」とトラウマになってしまった。
その後、5年ほど歯科医院の仕事に従事することができなかったが、現在はまた歯科医院で働いている。勤務先の院長は「優しい方で声を荒げることもない」と安心して働けている様子を明かした。
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