
「うちは金土日の3日間の料理をわいが担当してる 最初は妻の負担を軽くするため週2だったけどやってみると思いの外楽しくて週3にした。ただやってて理解した。楽しいんだけどこれを家族分365日3食やるのは地獄だと思う、というのも」
40代の男性の気づきや思いを綴ったXでの投稿が、大きな反響となりました。主婦の過酷さを思いやった言葉は、合計20万以上のいいねを獲得。
「よくぞ、言語化してくれた!」
「料理を週4にしたら、夫への不満もなくなりました。 料理ってなると他の家事5つ分位の手間がかかる」
「何が苦痛って、自分はお腹空いてなくても作らなあかん」
「週一で料理する旦那ですが、自分が食べたい物を作って、後始末は私に丸投げ。でも、作ってあげてるでしょ?というスタンス」
などさまざまなコメントが集まりました。
「“やらなきゃわからないとかマジか”というコメントもあったのですが、はい、その通りです。ほんとにやらなきゃわからなかったです」という、投稿主のごれむすさん(@goremusn)にお話を伺いました。
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慌ただしい妻を横目にスマホ…ある日、アレ?
若い頃は「家事育児はすべて女性の仕事。世の中の女性の多くがやってるみたいだからできるでしょ」ぐらいの認識だったという、ごれむすさん。自身の経験から得た、この考えはぜひ広まって欲しいと取材を快諾してくれました。
週に3回(最初は週2回)を担当するようになったのは一昨年ぐらいから。 きっかけは家族の習いごとでした。
「家族が習いごとから帰ってくるとちょうど夕飯の時間帯でした。習いごとの片付けやお風呂の準備をしながら、夕食の準備で妻だけがバタバタしている姿を見て、あれ?マルチタスクじゃなくて非効率だなと思いました。自分が動いたら、もっと効率的で妻の負担も軽くなるだろうな、と感じたのです」
この考えに気づくまでは、慌ただしく動く妻を横目に、スマホやゲームをしていたそうですが、あるときふと思い至りました。そして、「旅行終わりや帰省帰りなどにもこういうことがあった、自分はそれに違和感を持っていたな」と感じたそう。
「ぼくは、昭和の最後の世代です。昭和時代は “男とは 女とは 夫は 妻は”みたいな価値観で、ぼく自身、多様性とは真逆の環境で育ちましたから。多様性に理解しつつも、基本は夫が外で働き、女が家庭を守るということ自体にそれほど疑問はなく、みんなやってるからそんなもんでしょという感覚でした」と話します。
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妻への感謝と申しわけなさでいっぱい
週3回の料理作りは、「次はなに作ろう?手間かけちゃおうかな、好きなやつ作ったげよう」と前向きに考えられたそうです。
ただ週4担当するということ想像すると「そういった思考にはなれないと思います。朝食の時に昼食を考え、昼食の時に夕食を考えてたら子どものお迎え、洗濯。 夕食の時に明日のお弁当のことを考えてたら、今が必死になる。延々終わらない。これを週7するのは想像を絶するしんどさだ」と状況が見えるようになったと言います。
「それは違う、おかしかった、と理解した時は、妻への感謝と申し訳なさでいっぱいでした。もし、ぼくと妻が逆の立場だったとして、“家事育児やって当たり前だろう”みたいな態度を妻から取られたら愛情冷めちゃうかも…とも思いました。
これに気づかず一生をともにしようとしてたかと思うとゾッとします。懺悔ではないですが、これからは妻に少しでも楽に生きてもらいたく、がんばりたいです」
主婦業は男性が思う何倍もとてつもなく大変
ごれむすさんは、食事づくりを行うようになり、家庭の主婦は経営者並みに大変ではないか?と思うように。「家計、物価、冷蔵庫の在庫、賞味期限を全部頭に入れた上で、予算を立て、家族の栄養や好き嫌い、帰宅時間まで考慮しているのだから、考えることが多すぎます」。
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「チンすればいい」「コンビニやスーパーの惣菜で簡単にしたらいい」「効率よく時短でやっていないからだ」などの声も上がりますが、それらに対しても、ごれむすさんの経験から出た言葉は説得力が違います。
「チンするだけだとしても、そこに至るまでの段取りは? カップラーメンでさえ、お湯沸かすのが奥さん側だったりする。この1行動を絶対しないといけないというのが地味にしんどいです」
「コンビニや外食が続くと、栄養も偏り、家計にも響きます。主婦はそれらを考慮して、作ることを選んでいます」
「時短、効率的にやれよ、と軽く言いがちですが、時間に追われて考える時間はなし。ちなみに、ワンオペはどれだけ効率化しても普通にキャパオーバーだと思う」と訴えます。
発見した幸せ…男性が家事をするメリットは?
ごれむすさんが一番楽しいと思うのは、娘さんからの「今日〇〇食べたい!」に応えられること!キラキラした目ともぐもぐするほっぺを想像して作る料理は格別だそう。
「得意料理というほど凝ったものではないですが」と謙遜しつつも、「ハンバーグは、自分でも美味しすぎてやばいなと思います。今後はスイーツを娘と作れたら楽しいだろうなと思っています。バレンタインに、一緒にチョコ作りとか楽しみすぎて夜も眠れません」と今後の夢を語ります。
また、男性側の目線にも立ち、料理する魅力について、「意外と楽しい」「買い物も含めて気分転換」「強制デジタルデトックス」「妻の負担が減る(妻が楽だと家庭内が好循環になる)」「普段から妻に感謝できる」「子供に父親の在り方を見せることができる」「子供のおいしい!食べたい!を引き出せたときは幸せ」とたくさん挙げてくれました。
家事の効率化ではなく、完全オフ日が欲しい
365日毎日というのは、超絶ブラックではないか?と考え、「冷凍でいいよ、焼くだけだろ、1品でもいいよ、は解決策じゃない。世の奥さんとしては一切家事育児しない本当の休日が欲しいんだと思う 」と頑張る妻の視点に立った解決策を提案します。
「“効率化しろよ”“簡単だろ、こんなの”という男性意見が多いんですが、いやそこじゃないと言いたいです。どんな簡単なことでも毎日延々続く…しかも、いつ終わるかわからない、もしかしたら一生続くかもしれないというところがしんどいと言いたいです。1日、2日、1週間、1カ月やったところでわからなかったですね。
男性は、家事育児に関してどこか“今日疲れたな”“今日は気分乗らない”“ほっといたら妻がやるだろ”と思える気楽さがあるんです。でも、妻はそうじゃない。自分が最後の砦。夫が、家事育児をサボったしわ寄せは、すべて妻なんです。
男性も仕事しているから大変だとは思うんですが、ほんとに週1日だけでも奥さんが休める日があると楽になります。そうでもしないと1日の中でまとまった休憩時間も確保できないのです。
家庭内も円満になるし、自分も意外と楽しいし、良いことしかないです。ぜひ、男性もどんどん家事育児をしてもらえたらと思います」
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)