政府は、災害時の被災地支援を円滑に進めるため、自治体や企業、NPOなどが平時から交流できる「防災官民連携ネットワーク(仮)」を立ち上げる方針だ。2026年度中の「防災庁」設置を前に、NPOや民間が持つ人的・物的資源を把握し、協力体制を構築する。
企業の社会的責任(CSR)の一環として防災分野に関心が高まる中、足掛かりがないために参画に至ってない企業も少なくない。一方、国側も民間が持つ人的・物的資源を把握し切れておらず、民間が力を発揮できていないのが現状だ。
すでに、経済界や教育界で構成する「防災推進国民会議」、金融機関などが参画する「防災経済コンソーシアム」といった組織はあるが、地域や現場からの意見を収集する機会を増やすため、新たな会議体の創設を目指すことにした。
国や自治体は民間が持つ知見や活動上の問題点を把握し、企業や団体は自治体のニーズを直接聞ける場とすることを想定。既存の組織との役割分担を整理した上で、具体的な体制や開催方法を詰める。
地域ごとに状況や課題が違うため、「全体組織だけでなく、地方ブロック単位の場も検討したい」(担当者)という。
内閣官房が実施した被災地支援に関するヒアリングでは小売り・物流業界から「納品した運搬容器が返却されない」「道路の通行許可申請が煩雑」といった意見が出た。また、NPOからは「いきなり被災地に入っても、信頼を得るのが難しい」との声が寄せられた。
政府は今後、こうした意見を改めて確認した上で、自治体との交流や支援活動を後押しするための環境整備を進め、官民連携を密にする考えだ。