
春ドラマが苦戦している? ひとケタ視聴率作品が並ぶ中、視聴者を満足させているドラマは? 一方でがっかりさせちゃったのは? 各作品が中盤を迎えるいま、女性1000人にアンケートをとったところー。
4位はストーリーより俳優の美貌が人気?
「今期はシリアスな展開の作品が多いですね。春から夏に向けてカラッとした作品を求める視聴者が多いと思うのですが……」
とはドラマウォッチャーの神無月ららさん。2桁を超える世帯平均視聴率を叩き出したのは阿部寛主演の『キャスター』初回のみ。
あとはいずれも6パーセント以下の惨憺たる結果に。そんな中でも視聴者を満足させている作品は? そして、がっかりさせてしまったのは? 各ドラマが中盤を迎えた今、女性1000人にアンケートを実施したところ──。
まずは女性視聴者に「満足」と言わせた作品から。
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「美男と普通の女性の組み合わせがたまらない」(千葉県・33歳)
5位にランクインしたのは、志尊淳、岸井ゆきのがW主演の『恋は闇』(日本テレビ系・水曜夜10時)。週刊誌のフリーライター・設楽(志尊)とテレビ局の情報番組ディレクター・万琴(岸井)が、連続殺人事件の現場で出会ったことから展開する恋愛ミステリー。志尊が連続殺人鬼疑惑を持たれる人物を好演している。
制作スタッフは『あなたの番です』('19年)、『真犯人フラグ』('21年)を手がけたチーム。ミスリードや伏線回収なしの展開にならないか心配だが……。神無月さんは、
「ミステリー部分が注目されていますが、個人的には恋パートの描き方が好きですね。有能で冷たい人間だと思っていた設楽が、ところどころで見せる人間らしさと優しさで“あ、万琴いま恋に落ちたな”ってちゃんとわかるんですよ。最終回までこの丁寧さで見せ切ってほしい」
前出の過去2作品が最終回のどんでん返しで大コケしただけに、三度目の正直となるか。
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「金曜の夜はこれくらいトンチキでばかばかしいのが見たい」(大阪府・38歳)
作品自体の評価はイマイチだったものの、俳優陣に支持が集まったのは4位の『魔物』(テレビ朝日系・金曜夜11時15分)。韓国ドラマ『スカイキャッスル』や『梨泰院クラス』を制作したチームとの日韓合同制作が話題に。韓国ドラマにありがちなドロドロ展開が繰り広げられている。
「麻生久美子演じるあやめが裁判にかけられているところからスタートするのですが、本筋のミステリーよりも見どころは塩野瑛久さん演じる凍也の美貌。DV野郎なのに視聴者を惹きつけるのはさすが。毎回タイトルに韓国料理が出てくるのも、もはやギャグとして見ています」(ライターの津田春子さん)
本筋を追うよりも塩野推しの視聴者ばかり?
「見ていてほっこりする」(埼玉県・50歳)
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3位にランクインしたのは『しあわせは食べて寝て待て』(NHK・火曜夜10時)。病気を抱えるさとこ(桜井ユキ)が家賃の安い団地へ引っ越し、薬膳料理や団地のコミュニティーを通じて心の傷を癒し、自分なりの幸せを見つけていくストーリー。
「満足」1位は大人の恋を描いた人気シリーズ
「大家で隣人の鈴(加賀まりこ)と司(宮沢氷魚)をはじめ、登場人物が抱える問題もちゃんと描いて、それでいて季節ごとに薬膳の解説もしてくれる。視聴者も一緒にゆったりとした時間を過ごしている気持ちになるのでは」(津田さん)
原作漫画はまだ連載中。ドラマの結末も注目されている。
「ありがちなテーマだけどやっぱり染みる」(神奈川県・42歳)、「専業主婦と兼業主婦を安易に敵対させないのがリアル」(静岡県・41歳)
2位は『対岸の家事』(TBS系・火曜夜10時)。多部未華子演じる専業主婦の主人公・詩穂、江口のりこ演じる隣人で兼業主婦・礼子、ディーン・フジオカ演じるバリキャリの妻(島袋寛子)を持つ育休中の中谷、それぞれの事情や人ごとではないテーマが毎話、繰り広げられていく。
前出の神無月さんは、
「このドラマのヒリヒリ感はすごい。毎回重いテーマだけど、詩穂は必ず自分の中で噛みくだいて納得できる落としどころを見つけるので、爽やかな後味のドラマになっているんですよね」
と太鼓判を押すが‥…。
「待ってました!」(福島県・55歳)、「2人の掛け合いが絶妙」(福岡県・44歳)
視聴者を満足させたドラマ1位は『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系・月曜夜9時)。'12年に初回シーズンが放送され、'14年の続編から11年の時を経て小泉今日子、中井貴一のダブル主演を筆頭にレギュラー陣が欠けることなく集結。
第1シーズンではアラフィフだった千明(小泉)もアラ還を迎え、和平(中井)は還暦を過ぎ定年を迎えている設定。時の流れがリアルだと話題で、
「キャストの見た目が年老いた分、あの街が生きてそのままリアルにそこにあるという強烈な実感。マンネリでは?というネットの声が聞かれたりもしますが、むしろそれがいいと思うんです」(神無月さん)
アラ還の男女の酒飲み話に付き合いたい人には、ピッタリ? お次は視聴者を「がっかり」させてしまった作品。
結婚詐欺報道で嫌悪感を抱く視聴者が続出
「間宮くんやゲストがかわいそう」(千葉県・42歳)
ある出演者に非難が集中したのは『イグナイト―法の無法者―』(TBS系・金曜夜10時)。争いの火種があるところへ潜り込み、訴訟を焚きつけ大金を稼ぐ弁護士事務所を舞台に繰り広げられる、ダークリーガル・エンターテインメントという新しいジャンルだが、
「主役の間宮祥太朗さんをはじめ、仲村トオルさんや上白石萌歌さん、各話ゲストがとてもいい芝居をしているのに、天才弁護士役の三山凌輝さんの結婚詐欺報道があったことから、彼が出ている作品を見たくない、という視聴者が多いよう。
元恋人のインフルエンサーにさんざん貢がせておいて、女優の趣里さんと婚約という報道が事実なら、とても正義の弁護士に見えないですからね」(津田さん)
現実で訴えられるようなことがなければいいけれど……。
「説教がイマイチ」(山梨県・30歳)
4位は今クール唯一の学園ドラマ『なんで私が神説教』(日本テレビ系・土曜夜9時)。広瀬アリス演じるニートの女性が2年ぶりに社会復帰し、高校教師として働くという学園コメディー。津田さんは、
「ひょんな理由から教師になって問題を解決していくという古典的なストーリーなので、よっぽど魅力のある登場人物がいないと。来年には、こんなドラマあったっけ?と言われる作品になりそう」
と辛辣な見方を。
「設定が雑すぎて笑う」(東京都・36歳)
北川景子主演の『あなたを奪ったその日から』(フジテレビ系・月曜夜10時)が3位にランクイン。食品アレルギー事故で娘を失った紘海(北川)が事故を起こした惣菜店の社長(大森南朋)の娘を誘拐し、復讐を果たそうとする10年にわたる壮大なストーリー。前出の津田さんは、
「子どもを誘拐して自分の子どもとして育てるというと芦田愛菜さんの名作『Mother』と比べる視聴者が多い。けれど、初回からズコーッとなる展開ばかり。
まず、アナフィラキシーショックを起こした娘を雨の中おぶって病院へ行ったり、いとも簡単に誘拐した娘の戸籍を手に入れたり、亡くなった娘と暮らしていた自宅も、当時から働いていた職場もかえずに10年近く誘拐した娘を育てていて誰も疑問に思わない。
いろいろ雑すぎて話が入ってこないんですよね。夫のDAIGOさんとSNSで宣伝しまくっていますが、はたして彼らはどこに感情移入したのだろうか、と」
中盤に入り、復讐相手の職場に就職までした紘海。ディテールを気にしない人には楽しいかもしれない。
「暗い」(東京都・30歳)、「思ってたのと違う。重い」(千葉県・46歳)
2位は「満足」部門でも2位にランクインした『対岸の家事』。
「この枠はカラッと明るく女優のファッションを楽しみたいのですが、いちいち重いんですよね。それが好きな人もいる一方、この枠が好きな視聴者には受け入れられなかったのでは」(津田さん)
それだけ注目されているということ?
「どのツラ下げてドラマ出てんの?」(栃木県・30歳)
不名誉な1位に選ばれてしまったのは今期、初回の世帯平均視聴率トップの『キャスター』(TBS系・日曜夜9時)。
「がっかり」1位はヒロインに不倫疑惑報道
視聴率低迷にあえぐ報道番組のメインキャスターに就任した進藤(阿部寛)がバラバラだったチームを成長させる話だが──。
「テレビ局でヒットメーカー役の永野芽郁さんが2話放送前に、週刊誌で田中圭さんと同ドラマ出演中の韓国人俳優との二股不倫愛を報じられてしまった。ここから永野さんのことを純粋に見られない視聴者が増えた。
田中さんとだけならまだしも共演者とも、となるとなかなか切り離して見れないですよね。阿部さんや道枝駿佑さんが気の毒なので、出番を減らしたほうが……」
正義感あふれる役柄も、反感を呼ぶ結果に? 今期ドラマについて神無月さんは、
「春ドラマにしてはヘビーな作品が多い。『あなたを奪った〜』は幼児誘拐復讐、『いつか、ヒーロー』(テレビ朝日系)は児童虐待、『魔物』はDV男とのサスペンスなど、それぞれは良くてもまとめて見ると心がしんどくなってしまう。それゆえ、『続・続・最後から〜』など1話ごとに気持ちを切り替えられる作品が上位に入るのかなと思います」
夏ドラマは底抜けに明るい作品が見たい!?