限定公開( 2 )
鳥山明の漫画『ドラゴンボール』には様々な道具が登場する。そのなかでも有名なのが“スカウター”であろう。これはサイヤ人編で登場したもので、相手の“戦闘力”を計測し、数値化することができるのだ。主人公・孫悟空の兄であるサイヤ人、ラディッツが使用して大きな反響を呼んだ。
開幕中の大阪・関西万博の日本館で、警備員が装着している「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」がスカウターのようだと話題になり、XなどのSNSは大盛り上がりを見せた。顔に装着し、片方の目を覆う構造や形状もそっくりである。それだけ、スカウターの知名度が高いと言うことであろう。
既に述べたように、スカウターはそれまであいまいな概念だった相手の強さを、戦闘力として数値化できる点が画期的なことだった。ちなみに、ラディッツが最初に会った地球人のおじさんは戦闘力がたったの“5”でしかなかった。「戦闘力…たったの5か…ゴミめ…」というラディッツのセリフは名言の一つである。
ちなみに最初に表示された孫悟空の戦闘力は334、ピッコロは322だった。ただ、スカウターは相手の“気”の大きさを測定しているため、相手が気を抑えていると性格な測定ができない弱点がある。悟空はラディッツ戦で戦闘力を416、924まで変化させているし、ちなみに悟空の息子・孫悟飯は1307という数値を出している。
なお、ベジータ戦では戦闘力が1000台になるのはもはや普通のことになり、その後、フリーザが登場してからは戦闘力1万を平気で上回るようになってしまった。なお、ナメック星に着くまでの間に修行した悟空は18万まで戦闘力が上昇した。
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これをしばし、戦闘力のインフレーションと揶揄されることがあるがこのスカウターがあったからこそ、フリーザの「わたしの戦闘力は53万です」の名言が生まれたといえる。この53万という数字は恐るべきもので、当時「ジャンプ」をリアルタイムで読んだ子供たちにフリーザの強さや恐ろしさを植え付けるには十分すぎるものだったはずである。
ちなみに、戦闘力の概念はフリーザ編が終了し、本格的に人造人間編に突入してからは使われなくなってしまった。原作の「ドラゴンボール」で最後に数値化された戦闘力はベジータとブルマの息子・トランクスのもので、戦闘力たったの“5”であった。最初に計測された戦闘力と、最後に計測された戦闘力も“5”である。
当然だが、トランクスの強さがそんなものであるはずがなく、これは気をコントロールできるためである。こうしてみると、戦闘力を数値化できる機能は便利なようであるが、弱点もある。油断しているとあっさりと倒されるリスクもあることを理解したうえで、利用すべき道具といえるだろう。
子供たちは算数や数学が嫌いとよく言われるが、“数字”は好きである。カードゲームでもヒットポイントや魔力などの数値に関心を寄せるし、テレビゲームでもソシャゲでも同様だ。また、プレミアがついたカードは“金額”が重要な数値になる。数字ほどわかりやすい指標はないのである。
『ドラゴンボール』が連載されていた当時もカードゲームのブームは起こっており(カードダスなどはヒット商品になった)、スカウターが数値化した戦闘力は、当時の子供たちのニーズにぴったり合っていた。だからこそ、『ドラゴンボール』はますます人気が高まっていったし、本格的なバトル漫画に進化できたといえるだろう。
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