浦和競馬場(写真はイメージ、(c)netkeiba) 中央競馬では6月7日から「2歳新馬戦」がスタートするが、地方競馬ではすでに続々と若駒がデビューを迎えており、浦和競馬でも4月21日に最初の一鞍が行われた。あすからの開催でも計3競走が組まれているが、情報の少なさ、不確定要素の多さから、新馬戦に対して尻込みしてしまうファンもいるのではないか。そこで今回は昨年当地で実施されたレース結果を分析し、攻略の糸口がないかを探ってみたい。
2024年に浦和競馬で行われた2歳新馬戦は計22競走あった。まずは種牡馬をチェックしてみよう。大きな偏りこそ無かったが、その中でトビーズコーナー産駒が【3-2-0-1】と堅調。3着以内に入った5頭は1、3、3、4、3番人気だったので、押さえておいて損はない。ほかにはヘニーヒューズ産駒、アメリカンペイトリオット産駒、フォーウィールドライブ産駒が2勝ずつ。複数勝利を挙げているのは以上4頭だけだった。
続いて厩舎別の成績を見てみると、13年連続で浦和リーディングの小久保智厩舎がやはり強い。うち18レースに管理馬を送り込み、【6-3-5-7】で勝率29%、3着内率は67%を記録した。次開催の新馬戦では26日(月)4Rにタフコール、27日(火)4Rにアンジュルナが出走する。ほかには鹿沼良和厩舎が狙い。同師は開業27年目を迎えた大ベテランで、昨年25勝を挙げてキャリアハイをマーク。その勢いに乗って新馬戦でも【2-2-1-0】と全出走機会で3着以内に入った。また、浦和で3番目に新しい繁田健一厩舎も7頭で4勝を挙げており、経験を重ねた今年はさらに勝ち星を伸ばす可能性も。26日(月)3Rには鹿沼厩舎のブラックエックス、繁田厩舎のビクトリアリリーがエントリーしている。
そして、地方競馬の新馬戦において、もっとも重要なファクターになるのが能力調教試験(以下、能試)である。中央競馬には無いが、すべての地方主催者で実施されている制度で、デビュー前に行う“模擬レース”のようなもの。定められたタイムより速く完走することに加え、ゲート入りを含めた発走状況、コーナーリングやハミ受けなどの走行状態がチェックされ、合格しなければデビューできない。走破時計は南関東競馬公式サイト(※1)や専門紙で確認可能。様子は浦和競馬公式YouTubeチャンネル(※2)にアップロードされているので、道中の手応えや砂を被った時の反応などを参考にしたい。
能試のデータにも注目すべきところがある。新馬戦22レースの1着馬において、うち16頭は能試で最初のコーナーを3番手以内で通過していた。直線が南関東でもっとも短い浦和コースでは、先行力があって前半から流れに乗れることが大きなアドバンテージになる。もう1点、能試の走破タイムが出走メンバー中で最速だった馬は、【9-4-1-9】で勝率39%、3着内率61%。もちろん、能試の段階では意図的に控えたり、目いっぱいに追わない馬もいるが、時計はひとつの判断材料になるだろう。
浦和競馬では8月20日に南関東最初の2歳重賞となるルーキーズサマーCが行われ、ハイセイコー記念や全日本2歳優駿、さらには来年のダート三冠までの道のりが始まっていく。大一番に向けて今から注目しておきたい2歳新馬戦。紹介したデータも参考にしながら、馬券勝負をしてみてはいかがだろうか。
(文:中川兼人)