業界人が明かす、春ドラマで「評価が上がった/下がった」女優7選。国民的女優は「キャラに憑依できない」と低評価

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2025年05月28日 16:20  日刊SPA!

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公式HPより 以下同
現在放送中の春クールドラマは、阿部寛が主演を務める報道番組を舞台にした日曜劇場『キャスター』(TBS系、日曜午後9時〜)が初回14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/平均世帯視聴率)をマークし、同クールで断トツの視聴率を叩き出した。
次いで、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系、月曜午後9時〜)、『特捜9 final season』(テレビ朝日系、水曜午後9時〜)といった人気シリーズもまずまずの視聴率を残した。

その一方で、視聴率こそ伸び悩んでいるものの『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系、木曜午後10時〜)や『あなたを奪ったその日から』(フジテレビ系、月曜午後10時〜)といったドラマが見逃し配信やSNSで大きな反響を呼んでいる。

その要因として芳根京子や北川景子といった女優たちの高い演技力が挙げられている。

そこで、ドラマ関係者3名に春クールドラマの中で、演技力の評価が上がった女優、逆に評価が下がった女優について忖度抜きで答えてもらった。

◆ウブな女性の恥じらいを完璧に演じる芳根京子

1人目は、キー局でドラマや映画の製作を務める40代の男性プロデューサー・A氏に話を聞いてみた。

「『波うららかに、めおと日和』で主演を務める芳根京子さんの演技力の高さに驚かされました。同作は、昭和初期の日本を舞台に初々しい新婚夫婦の日々を描くラブコメドラマ。

芳根さんは、結婚はおろか恋愛をしたこともない妻・なつ美役をピュアな立ち振る舞いと目まぐるしい表情の変化で完璧に表現。見ているこちらが恥ずかしくなるぐらいリアリティーがありましたね。

名前を呼ぶだけで照れながらモジモジする演技もかわいらしいし、おいしそうに食事を口にするシーンも茶目っ気に溢れている。

芳根さんぐらいのキャリアになると、清楚な役どころは難しくなるはずなのにここまで感情移入させられるのは繊細な演技力の賜物。

『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)で演じた、医療現場に葛藤する研修医役も素晴らしかったですが、改めて評価が跳ね上がりましたね」

初回の平均世帯視聴率こそ5.9%と低かったが、芳根京子と夫役・本田響矢のピュアすぎる演技が盛り上がってきており、今後ジワジワと数字を上げていくはずだ。

◆変わり者天才ドクター役でも振り切れない橋本環奈

一方でA氏は評価が下がった女優について、2名挙げてくれた。

「ガッカリしたのは、『天久鷹央の推理カルテ』(テレビ朝日系、火曜午後9時〜)の主演・橋本環奈さんですね。

朝ドラ『おむすび』(NHK)で酷評された等身大の女性役とは異なり、超人的な知能や記憶力を持つ変わり者の天才ドクター役ということで彼女らしいコメディーセンスを発揮してくれると期待していたのですが、キャラやセリフ回しが振り切れておらず中途半端な印象です。

原作やアニメのイメージを意識しすぎているのかもしれませんが、もっと自分の色を出してもよかったのでは?

また、物語のキーとなるシリアスなシーンのセリフや表情は相変わらず稚拙でキャラに憑依できていない。朝ドラが終わってすぐの主演作で疲れているとしか思えない」

◆「子宮が恋をする」という難役で、表情が乏しいままの松井愛莉

「また、『子宮恋愛』(読売テレビ・日本テレビ系、金曜深夜0時59分〜)で主演を務める松井愛莉さんも演技力の評価が一気に下がってしまいましたね。

センセーショナルなタイトルが物議を醸した同作は、夫とのレスに悩む松井さん演じる妻・まきが同僚男性に惹かれていくといったラブストーリー。

彼女の驚く表情、戸惑いや葛藤の演技にあまり変化がなく、話数を重ねてもセリフが淡々としており、共感しづらい。

難しい役どころとはいえ、顔の表情や間で心情を伝える工夫はできたのでは……と思ってしまいました。とにかく彼女は近年過激な作品への出演が多いのが残念。前向きなキャラやクールな役どころでイメージチェンジを図ってほしい」

ピュアな役を完璧にこなす芳根京子に対して、橋本環奈や松井愛莉は振り切れていない点が評価を下げたようだ。

◆朝ドラ史に残るシーンを連発する『あんぱん』の河合優実

次に、ドラマ制作会社に勤務する30代女性プロデューサー・B氏にもコメントをもらった。

「衝撃を受けたのは、『あんぱん』(NHK、月〜金曜午前8時〜)でヒロイン・のぶの妹・蘭子役を演じる河合優実さん。改めてレベルの違いを見せつけられましたね。

思いを寄せる細田佳央太さん演じる豪が出征する前にプロポーズをするシーン、その後に豪の戦死を知って号泣しながら感情を吐露するシーンは今まで見てきた朝ドラの中で最も泣かされました。

プロポーズでは喜びと切なさという反する感情を絶妙な表情で体現し、号泣する場面では泣き方でやるせなさと怒りを表現。

すでに数多くの賞を受賞するトップ女優なので評価をされて当然でしょうが、複雑な感情を汲み取ってここまで巧みに伝えられる若手女優は今後現れないのでは……」

◆ハイテンションで謎めくキャラが板に付いていない上白石萌歌

そんなB氏は、注目女優でありながら評価を下げた女優を教えてくれた。

「期待していたのに評価が下がったのは、新感覚リーガルドラマ『イグナイト -法の無法者-』(TBS系、金曜午後10時〜)で無法者弁護士の一員・伊野尾麻里役を演じる上白石萌歌さんですね。

あらゆる法律の条文や判例を暗記する知性を持ちながらハイテンションで掴みどころのない謎めくキャラクターがハマっていないなと感じてしまいました。

刺さるような強いセリフには重みがありますが、明るい演技やコミカルなセリフが本人らしくなくて違和感がある。新しい役柄への挑戦をしたかったのでしょうが、彼女の魅力である透明感や繊細さを生かす役を貫いてほしい」

ギャップのあるキャラ造形がうまく仕上がり切れていないことで評価を下げたようだが、後半以降でその評価を上げる演技ができるのか。

◆自然体の演技でクールキャラから脱却した桜井ユキ

最後に、ラブストーリーをメインに手掛ける30代の女性脚本家・C氏にも評価が上がった女優、評価が下がった女優を聞いた。

「評価が爆上がりしたのは『しあわせは食べて寝て待て』(NHK、火曜午後10時〜)で持病を患ってネガティブな生活をしているさとこ役を演じた桜井ユキさんです。

これまでは強気な女性やクールなキャラクターを演じることが多かった彼女ですが、自己主張をできない幸福度の低い主人公を自然体の演技と穏やかな表情作りで見事に演じ切っていた。

さらに、薬膳料理を通して少しずつ前向きさを取り戻していく様子も無理がない。演技力の幅が広い方だったんだなと感心しました」

◆乃木坂46の新星・五百城茉央はセリフの抑揚がなし

そんなC氏が春ドラマで評価を下げたと感じた女優とは?

「アイドルが好きなので『MADDER その事件、ワタシが犯人です』(関西テレビ・フジテレビ系、木曜深夜0時15分〜)で主演を任された乃木坂46・五百城茉央さんに期待していたのですが、評価が下がってしまいましたね……。

不気味な笑い方や醸し出すオーラは将来性を感じましたが、セリフがまだまだ棒読みでキャラクターに魂が乗っていない印象を受けました。ミュージカルではメンバー随一の表現力を発揮していましたが、ドラマでは細かなセリフの抑揚を付けられていなかった」

ここまで、ドラマ関係者たちが春ドラマで評価が上がったと感じた女優、逆に評価が下がった女優を紹介してきた。

しかし、今回のドラマではうまく役に入り込めなかっただけで今後の成長や進化はあるはず。期待しているからこそ名前を挙げたことは補足しておきたい。

アナタが春ドラマで評価が変わった女優は誰だったのか、終盤話を見つつ考えてみてほしい。

<取材・文/木田トウセイ>

【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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