スーパー耐久を目指すための弟分カテゴリー『S耐チャレンジ』の概要発表。2025年11月に初レースを開催へ

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2025年05月30日 12:40  AUTOSPORT web

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S耐チャレンジの概要を説明するSTMO山桑山晴美副理事長、高谷克実スーパーバイザー、鈴木栄一ブリヂストン国内MSオペレーション課長
 5月30日、静岡県の富士スピードウェイで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『富士24時間レース』の会場内で、一般社団法人スーパー耐久未来機構(STMO)は、『S耐チャレンジ』の概要を発表した。

 この『S耐チャレンジ』は、2025年1月の東京オートサロン2025のなかで行われた“公開理事会”のなかで構想が発表されたもの。「スーパー耐久に出るにはまだ早いかもしれないが、いつかはモータースポーツに参加してみたい、スーパー耐久に出てみたいと考える人たちのため」に企画されたレースで、スーパー耐久が長年抱いてきた、モータースポーツの裾野拡大を目指す思いに応えるためのものだ。

「ご存知のとおり、モータースポーツ界でも参加者の高齢化が進み、平均年齢もどんどん上がってきていますが、次の世代にこの魅力ある世界をどう繋いでいくのか、いま大きな課題に直面していると感じています。一方で、モータースポーツはやってみたいと思っても、ハードルが高いと感じている方が多いのも事実です。準備の難しさ、さらに最初の一歩をどこから踏み出して良いのか分からないという声を実際に耳にしてきました」というのは、STMOの桑山晴美副理事長。

 実際にコスト面の厳しさ、また垣根の高さはモータースポーツが普及するための大きなハードルでもある。特にスーパー耐久は、日本最大の“草レース”である一方で、近年はシリーズのレベルも大きく向上。「それ自体は非常に喜ばしいことですが、一方で心理的、物理的なハードルが高くなってきているのも事実です」と桑山副理事長は語った。

「そこで、私たちは改めてスーパー耐久の原点に立ち返ろうと思いました。誰もが最初の一歩を踏み出せるための入り口、それが『S耐チャレンジ』です」

 スーパー耐久の“弟分”として開催される『S耐チャレンジ』に加え、将来に向けてさらにその下に『ファーストS耐』といったカテゴリーも企画中だという。スーパー耐久を頂点とし「参加型モータースポーツに新たな火を灯し、そして時代にあったレース文化を育てていくためにも、どうか皆さまのご理解とご協力、そして温かい応援を何卒よろしくお願い申し上げます」と桑山副理事長は述べた。


■2026年は3イベント開催を予定

 これに続き、STMOの高谷克実スーパーバイザーから、S耐チャレンジの概要が説明された。まず2025年については11月15日のスーパー耐久最終戦富士でまずお披露目イベントを開催。さらに2026年については3イベントを予定する。イベント格式は模範走行行事として開催する。

 レース形式としては、60分のミニ耐久レース形式に。ドライバー交代1回義務付け、レース中のガソリン給油なしとしつつ、さらにピットイン時にタイヤローテーションを実施したり、車両同士の接触はノーポイントにするなど、入門者が入りやす入門者が入りやすい雰囲気づくりを目指す。「本格的なレースとなりますが、あまり順位にこだわり過ぎると、目がつり上がってしまうようなイベントになってしまいます。そこで当初はゲームのような要素を取り込み、サーキットを走って楽しんでもらうことを第一にしたい」と高谷スーパーバイザー。

 参戦できる車両についてはJAFのNゼロ規定の車両が中心。ロールケージやバケットシート、4点式以上のシートベルトなどの安全装備は使用義務づけで、ECUはリミッターつきのノーマルのみ。タイヤは市販タイヤのブリヂストン・ポテンザRE-71RSのみが指定タイヤとして使用される。

 このタイヤについて、ブリヂストンの国内モータースポーツオペレーション課長であり、STMOには“下足番”として携わる鈴木栄一氏は「RE-71Sを指定タイヤとして使用。65サイズあり、たくさんの車種に対応することができること、価格も抑えられていること」を理由として挙げた。またRE-71RSは2023年にST-5クラスでも使用され、高い評価を得ていた実績もある。

 気になる車種については、まず2025年はマツダ・ロードスター、トヨタ・ヤリス、スズキ・スイフトスポーツ等の排気量1500ccほどの車両を『3クラス』として想定。また排気量660ccまでの軽自動車を『4クラス』として設ける。こちらはホンダN-ONEやコペン等を想定する。クラス内ではさらに車種別のクラスを編成して行う。

 2026年には、さらにトヨタGR86/スバルBRZ等の『1クラス』、ロードスターRFやトヨタ86等の『2クラス』が検討されるほか、開発車両のST-Qクラス、さらにEVやハイブリッド等のクラスも検討したいと高谷スーパーバイザーは説明した。また、スーパー耐久を支えている自動車メーカーとの相談のなかで、レンタル車両なども検討していくという。

 今後、7月初旬には募集要項をホームページ上で公開予定。さらに8月1日からはエントリー受付を開始する予定の『S耐チャレンジ』。今後、どんな盛り上がりをみせるか楽しみにしたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年05月30日]

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