
ある日突然、住み込みで働いていた留学生が失踪した────。
まるで神隠しにでもあったかのように忽然と姿を消してしまった “彼女” 。謎多き事件を追ううちに、周囲の人々が抱える秘密と現代社会にはびこる闇がつまびらかにされていきます。
つい先日配信されて話題になった『アドレセンス』にもつながるデンマーク発の衝撃作。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflixドラマ『私たちが隠していること』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
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【あらすじ】
デンマークの高級住宅地に暮らすセシリエは、弁護士の夫と子どもたち、住み込みで働く留学生・エンジェルと共に平穏な日々を送っていました。
ある日セシリエは隣家で暮らしていた留学生のルビーから「あの家には問題がある」と相談を受けます。しかし友人の家ということもあり「よその家のことには口を出せない」と耳を傾けませんでした。
やがてルビーは失踪します。しかも失踪前夜にルビーがゴミ箱に妊娠検査薬を捨てていたことが明らかになり……?
【ココが見どころ!】
<その1:ルビーはなぜ失踪したのか>
ホームステイしながら子どもの世話や家事を担うかわりに家主から報酬をもらう留学制度「オペア」。セシリア家で働くエンジェルも、失踪したルビーも、オペアのひとりでした。
彼女たちはフィリピン出身であり、デンマークには身よりもなくお金もなく、ほかに行くところなどありません。にもかかわらず、なぜ姿を消したのでしょう?
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セシリエは「妊娠したこと」が原因だと推測しました。彼女を妊娠させたのは誰なのか、なぜ妊娠することになったのか。そもそもいま彼女は生きているのか────。
<その2:みんな何かを隠してる>
ルビーから相談を受けていたにもかかわらず、話をちゃんと聞いてあげられなかったセシリエは、罪悪感から独自に調査に乗り出します。
ルビーが妊娠しているということは、相手の「男」が失踪に関与しているのではないか。
だとしたら、隣家の主人が怪しいけれどセシリエの夫にも不審な点がある。また、思春期を迎えているセシリエ家の息子&隣家の息子にも「人には決して言えない秘密」があるようです。
それに、男だけでなく「女」たちもまた、秘密を抱えていました。みんながみんな、なにかを隠しているから、全員が怪しく見えてくる……。
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<その3:社会問題に切り込んだ衝撃的な結末>
本作は一見すると、犯罪や心の闇を描いたノワール作品に思えるけれど、現代ならではの問題に鋭く切り込んだ社会派作品でもあるんです。
富裕層とオペアのあいだにある、絶対的な格差といびつな社会構造。そして、ドラマ『アドレセンス』でも描かれていた「マノスフィア(manosphere=man blogoshereからくる造語で男らしさを追求して女性を軽視する男性中心のオンラインコミュニティ)」の問題。
ミステリーの裏に隠された「現実」を見たとき、あなたはなにを想うでしょうか。
【全6話だから一気見できます】
本作はなかなかヘビーな内容ではあるけれど、1話あたり33分〜42分×全6話とかなりタイトなので一気見できちゃう人も多いんじゃないかと思います。
また、本作終盤では事件の真相が明らかになるのですが……最後の最後でもうひとつ「どんでん返し」があるのです。衝撃的な事実をどうぞお見逃しのないように。
■今回ご紹介した作品
『私たちが隠していること』(原題:Reservatet / 英題:Secrets we keep)
2025年5月15日からNetflixで独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Courtesy of Netflix © 2024