6月に入っても台風の発生ゼロ 南の海上は海面水温30℃で対流活動が活発 動向注意

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2025年06月07日 15:45  日本気象協会

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今年は6月に入ってもまだ台風の発生がゼロ。記録的に遅くなっていますが、フィリピン付近の海面水温は30℃以上と平年より高く対流活動が活発化、発達した雲のかたまりがあります。まだ台風のたまご(熱帯低気圧)や台風まで発達するか予想には幅がありますが、熱帯育ちの非常に暖かく湿った空気が流れ込み、梅雨前線の活動を活発にするおそれがあるため、今後の動向に注意が必要です。

6月に入っても台風の発生ゼロ でも油断禁物

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今年(2025年)は、6月に入ってもまだ台風が1個も発生していません。台風1号の発生が6月以降にずれ込むのは、1951年の統計開始以来6回しかなく記録的な遅さとなっています。

今年は6月6日の時点で発生していないため、すでに7番目の遅さとなっています。今後、6月9日までに発生しなければ、統計史上5番目の遅さになる見込みです。

ただ、台風1号の発生が遅くても油断禁物です。
過去、台風1号の発生が6月以降にずれ込んだのは6回ありますが、その内の3回は平年の発生数(約25個)より多くなっています。また、上陸数も平年(約3個)並みか多い年が3回あり、台風1号の発生が7月にずれこんだ2016年は、6個の台風が上陸しました(統計史上2番目の多さ)。つまり、台風1号の発生が遅くても、その後ハイペースで台風が発生し、年間発生数や上陸数は平年並みか上回ることがあるため注意が必要です。

南の海上では海面水温30℃ 対流活動が活発 動向に注意

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フィリピン付近では、現在、海面水温が30℃以上と高く、対流活動が活発となっていて、低圧部が発生しています。低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の渦はあるもののその中心がはっきりしない熱帯擾乱のことです。今後、雲の渦がはっきりすれば熱帯低気圧となり、さらに中心付近の最大風速が17.2m/s以上になれば台風となる可能性があります。まだ、予想には幅がありますが、たとえ台風や台風のたまご(熱帯低気圧)にならなくても、梅雨前線に向かって熱帯育ちの暖かく湿った空気が流れ込むおそれがあるため、今後の動向に注意が必要です。

2025年 台風の発生数予想は?

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日本気象協会が独自の予報モデルで解析した2025年の台風の見通しによると、2025年の台風の発生数は6月から10月までほぼ平年並みになるでしょう。

6月6日現在、2025年の台風の発生数はゼロで経過しています。ただし、台風の主な発生域である太平洋熱帯域西部やフィリピン東方海上の海面水温は、2025年秋にかけて高い予想で、積乱雲の発生が多くなるでしょう。

上記の理由から、2025年の台風の発生数は平年と同じくらいの数となりそうです。

台風の経路傾向は?

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台風は、太平洋高気圧の縁を回って日本へ近づく傾向があります。
2025年の夏から秋にかけて、日本の南で太平洋高気圧の張り出しが強く、台風は、より日本列島へ接近しやすいルートを通ることになるでしょう。
さらに台風の発生場所は、例年よりも日本列島に近い場所で発生すると予想されていることから、台風の発生から日本列島への接近までの期間が短くなる傾向になりそうです。

台風シーズン前に 避難経路やハザードマップを確認

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台風シーズンが始まる前に ハザードマップや避難場所を確認しておきましょう。

ハザードマップは、国土交通省や各自治体のホームページなど、インターネットからハザードマップを入手することが可能です。ハザードマップは随時更新されますので、定期的に確認するようにしましょう。
ハザードマップからは、家の周辺で浸水(河川浸水・高潮浸水など)の可能性がある場所や、土砂災害(崖崩れ・土石流・地すべりなど)の危険性の高い場所を把握することができます。
また、自宅付近の避難場所(指定緊急避難場所)を確認しておきましょう。避難場所は災害の種類によって異なります。「浸水や土砂災害の場合の避難場所」をしっかり確認するようにしてください。

さらに、避難場所までの避難経路を知っておきましょう。河川が増水した場合や高潮・高波でも安全に避難できるか確認してください。
周辺地域で過去に起きた災害を把握し、起こりやすい災害を知っておきましょう。

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