妻夫木聡(44)が7日、自ら宣伝アンバサダーに就任した主演映画「宝島」(大友啓史監督、9月19日公開)の全国キャラバンの第1弾として、映画の舞台となった沖縄・那覇市内のシネマQで行われたプレミア試写会舞台あいさつに登壇した。共演の広瀬すず(26)、大友啓史監督(59)を伴い「感無量です。2度の延期を乗り越えて、戦後80年という節目に公開されることになったのは、もしかしたら、時間をかけて練り上げる時間を神様がくださったのではないかと思う」と感慨深げに語り、涙で何度も声を詰まらせた。
「宝島」は作家・真藤順丈氏の2019年(平31)の直木賞受賞作の実写映画化作品。戦後に米軍統治下に置かれた沖縄で、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を描いた。18年6月に刊行された原作が、19年1月16日に直木賞を受賞したことで映像化の構想がより具体的になり、同10月ころに脚本開発がスタート。20年に全世界に拡大したコロナ禍などによる2度の撮影延期などもあったが、24年2月にクランクインした。
妻夫木は、永山瑛太(42)演じる“戦果アギヤー”の英雄・オンの親友グスク演じた。予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を、警察官になって追う役どころだ。5月5日に東京・丸の内TOEIで行われた完成報告会見で「導かれたのかも知れない」と特別な作品だと強調し、作品の宝島宣伝アンバサダーに就任し、全国キャラバンを行うことを発表。01年の主演映画「ウォーターボーイズ」当時、映画を直接、ファンに伝えて広めた実体験を再現したいと力を込め「先々の土日は、全部、埋まっています!!」と、全国に映画を届けると約束しており、沖縄で観客に向け、作品を初めてお披露目した。
妻夫木自身、コザを舞台にした06年の映画「涙そうそう」に主演しており、沖縄には深い思い入れがある。役作りについて聞かれると、コザにある資料館訪問や、実際に体験された方々に取材した事を語り、当時のことを思い出し、涙で言葉を詰まらせる場面が何度もあった。客席から「頑張れ」と声援が送られると「自分が大好きな沖縄だから、ないがしろにしたくない。どこか見て見ぬふりをしていた自分がいたんじゃないか」と、佐喜眞美術館で「沖縄戦の図」を見た時に感じた思いを吐露した。
そして「この映画を通して過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。過去はなかったことにはできないし、いろいろな思いを背負って僕たちは生きています」と強調。「だからこそ精いっぱいに生きていかなくちゃいけないし、今を生きる僕たちは、未来を生きる子供たちのために、何を託せるのかを、いま一度考える時なのかなと思っています。今こそ手に手を取り合って共に歩む、そういう力持った映画になったと僕は思っています」と声を詰まらせながら訴えた。最後に「まずは沖縄の方々の力が必要です。たぎれ、沖縄。たぎれ、日本。まずは沖縄でお願いします」と呼びかけた。
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広瀬は劇中で、オンの恋人ヤマコを演じた。グスクは予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を警察官になって追い、ヤマコは小学校の教師になり、オンの帰りを信じて待ち続ける。檀上で「授業で習ったことしか知らなかったが、実際に撮影前にいろいろと沖縄の地を回ってみると肌の感覚が変わり、血が騒ぐ感じがし、今の時代に生きている自分たちがどういうふうに受け止めるべきなのか?」と語った。そして「この映画が皆さんにどのように届くのか、どういう景色として残るのかと。思いながら撮影していたのですが、少しでも皆さまの希望になる作品になったらいいなと思います。この映画がとても大きな輪になることを願っております。」とも語った。
大友監督は「最初に妻夫木くんは『この作品と心中します』と言ってくれた。映画は人生を変えるきっかけにもなる、そういう力を持っていることを思いながら、そういう映画の力を発揮できる題材があるとしたら『宝島』だと思います」と語った。そして「宝の島と言われているその宝は何だったのか?ということを1人ひとりが考えるきっかけになるんじゃないかと思ってます。沖縄の皆さんにまずハンコウを押していただき、それで堂々ともっと多くの人にこのスピリットを届けたい。なんとかお力をお貸しください。」と訴えた。
妻夫木は上映後、宣伝アンバサダー”として、沖縄への感謝の思いを込め、来場した340人全員に宣伝アンバサダーの名刺を自ら手渡しするサプライズも敢行。鑑賞した感動の思いを伝えられ、涙ぐむ場面が何度もあった。名刺を配布し終えると「映画を見たお客さまと、しっかりと向き合い、時間を共有できたことはとても貴重な体験だった。この思いを持ち全国キャラバンに向かいたい」と今後への決意を語った。
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