妻夫木聡(44)が8日、主演映画「宝島」(大友啓史監督、9月19日公開)の全国キャラバンの第1弾として、映画の舞台となった沖縄・那覇市立那覇中学校を訪問。「沖縄の平和と未来」をテーマに特別交流会を行い、共演の広瀬すず(26)、大友啓史監督(59)とともに32人の生徒たちと議論した。
妻夫木は、5月5日に東京・丸の内TOEIで行われた完成報告会見で「導かれたのかも知れない」と特別な作品だと強調し、作品の宣伝アンバサダーに就任し、全国キャラバンを行うことを発表。前日7日には同市内のシネマQで行われたプレミア試写会舞台あいさつに登壇していた。
この日は、テレビの取材と聞いて集まった子供たちが、3人がサプライズ登壇すると驚きを隠せず、思わず声を上げた。司会から「映画を見た人、手を挙げてください」と問いかけられると、前日のプレミア試写に招待された約20名が挙手。「面白かった人は?」と聞かれると、鑑賞した生徒全員が力強く手を上げ、3人はうれしそうに互いの顔を見つめた。その中、妻夫木は前日の上映後、沖縄への感謝の思いを込め、来場した340人全員に宣伝アンバサダーの名刺を自ら手渡ししたことに触れ「今日、サプライズってこと、すっかり忘れていて、プレミア会場で名刺を渡した際に那覇中の子供だと分かったから『明日ね』と言ってしまった」と冒頭からおわびし、場を和ませた。
「宝島」は作家・真藤順丈氏の2019年(平31)の直木賞受賞作の実写映画化作品。戦後に米軍統治下に置かれた沖縄で、米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を描いた。18年6月に刊行された原作が、19年1月16日に直木賞を受賞したことで映像化の構想がより具体的になり、同10月ころに脚本開発がスタート。20年に全世界に拡大したコロナ禍などによる2度の撮影延期などもあったが、24年2月にクランクインした。
妻夫木は、永山瑛太(42)演じる“戦果アギヤー”の英雄・オンの親友グスク演じた。予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を、警察官になって追う役どころだ。また広瀬は劇中で、オンの恋人ヤマコを演じた。グスクは予定外の戦果を手に入れた直後に、こつぜんと消息を絶ったオンの痕跡を警察官になって追い、ヤマコは小学校の教師になり、オンの帰りを信じて待ち続ける。
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妻夫木は子供たちに「知らない時代を描いた作品だが、時代の変化をどう感じましたか? 自分達の未来がどうあるべきか?」と質問。生徒からは「自分たちは生まれた時から、当たり前に米軍基地があって、映画の中では当たり前ではなく、米軍に反発していたことを知り、戦争の憎しみとか悲しみが風化しつつあることを知り、これからの未来を作る若い世代が映画を見て、実際にどんなことがあったかを知り、これからどうするべきかを考えることが大事だと思う」との答えが返ってきた。
さらに、妻夫木は「映画に出たきた人と私たちを比べると、どちらが幸せか?」と投げかけた。性との間からは、今の時代の方がもちろん資源も豊かで幸せだと思うが、過去にあった大切な思いを残していくことも大切であることや、大変な状況ではあったと思うが、米国に負けないという一致団結する強い気持ちを持った当時の熱い思いを考えると、単純にどっちが幸せなのか?簡単には判断できないなど、さまざまな意見が出てきた。妻夫木は「基地があるから生きていけた人もいる。ただの憎しみだけじゃないと思う。実際、当時を知る人は、怒りだけじゃなかったと言っていた。アメリカに対して怒りを持った人もいたけど、アメリカがいるからこそ生きられた人もいたと思う」と答えた。その上で「幸せの価値観はとても難しい。何が正義なのかわからない時代なので、私たちは先人たちの思いを胸に生きていかなければならない。過去に戦った人がいたからこそ、今がある。そういう思いが届いていたらうれしいなと思って、あえて難しい質問させてもらった」と語った。
広瀬には、生徒から「演技力について、どうやってそこまで入り込める演技ができるのか?」との質問が飛んだ。「こんな大先輩の前で語ることは難しい」と恥ずかしそうに妻夫木を振り返りつつ「役を演じるにあたり知らなかったことが多く、受け継がれていくために映画というコンテンツを使って伝えていきたいと思いながら演じた。そして、また、その中で自分の中で生まれたものを大切に演じた」と答えた。
締めのあいさつで、広瀬は「皆さんのすてきな言葉と、まっすぐな目で見た作品の感想や、疑問を生の声で聞けたことに、今までの苦労が報われた」とお礼した。妻夫木は「地元の子どもたちと議論できるのがすごく楽しいし、素直な気持ちに触れて本当にうれしかった。過去を描くことが未来への問いかけになる、と思って作ってきた。そして死は終わりではなく、先人たちの想いは胸に刻まれている。僕たちはその想いを受けて精一杯生きていかなくてはいけないし、これからどう生きるべきなのか、お互いに手に手を取り合って考えていくきっかけになるような映画になったらうれしい」と熱く語った。
大友監督は「米国の統治された時代の物語だが、その時代を生きた人がどういうことを考え生きたのか?を調べて感じたことを伝えようと思って作った。この作品を観ていろんなことを感じて、もし、この思いを伝えたいと思ってくれたなら、ぜひ広めてほしい。この作品に込めたメッセージを沖縄にとどまらず、日本全国、そして世界へ届けたいと語り、今日の子供たちの言葉に勇気づけられた」と感謝した。
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そして、参加した生徒全員と並んで記念撮影をし特別交流会は終了したが、妻夫木が宣伝アンバサダー名刺配布会を急きょ、開催。行われた。名刺を渡し握手を交わすだけでなく、生徒たちとハグも交わした。
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