<第34回日本映画批評家大賞授賞式>◇9日◇東京国際フォーラム
吉沢亮(31)が「ぼくが生きてる、ふたつの世界」(呉美保監督)で主演男優賞を受賞した。
作品賞、忍足亜希子(54)の助演女優賞、編集賞(浦岡敬一賞)の4冠に輝き「4つも賞をいただいた。自分が関わらせていただいた作品が評価され、この上ない喜び。これからも、お芝居に向き合っていきたい」と喜んだ。
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は、作家・エッセイスト五十嵐大氏の自伝的エッセー「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎)を原作に、呉美保監督(48)が9年ぶりに長編映画を製作。吉沢は耳の聞こえない両親のもとで愛されて育った五十嵐大、忍足が大の母明子を演じた。
吉沢は、撮影当時30歳ながら15歳の大を演じた。撮影を振り返り「当時、30歳で、15歳(を演じるのは)恥ずかしい、申し訳ない気持ちがあった。監督から声を高くして欲しいと言われ、限界までキーを高くした」と照れ笑いを浮かべた。主催者からは、公開中の新作「国宝」(李相日監督)への絶賛の声も出た。吉沢は「他の映画の話もしていただいて。公開中なので見て欲しい」と笑みを浮かべた。
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助演女優賞の忍足は、翌10日が55歳の誕生日。ろう俳優として初受賞した、第98回キネマ旬報ベスト・テンに続く受賞に「ドキドキして、感無量です。本当にうれしいです」などと感激した。
作品賞の発表の際には、大の父陽介を演じた、忍足と同じく耳の聞こえない、ろう俳優の今井彰人(34)も駆けつけ、吉沢とハイタッチで喜びを分かち合った。今井は、劇中でろう者の役を、ろう俳優が演じた作品が評価されたことに「ろう者、コーダ、マイノリティーを知っていただくこと、役者を目指す方にも大きな影響を与えられた」と喜んだ。
吉沢は「(演じた五十嵐家が)そろいましたね。ビックリしました。今井さんも来て…」と喜んだ。そして「おふたりの愛のある手話は、初心者にも伝わる。現場で、すごい貫禄のあるお父さんなのに、僕と4歳しか違わない。さわやかな今井さんにギャップを感じ、どういう感情でいればいいか分からない」と笑った。
呉美保監督は、15年に監督作「そこのみにて光輝く」が監督賞、主演男優賞(綾野剛)助演女優賞(池脇千鶴)助演男優賞(菅田将暉)の4冠に輝いた当時を振り返り「私は10年前に、この映画賞で4冠を受賞しました。授賞式の15年5月28日は陣痛で入院した時、翌日に長男が生まれた。思い入れがありながら、立つことができなかった」と語った。そして「育児をして、私生活がバタバタし、映画を作ることはできないと思っていた。復帰した喜び…まさかの同じ賞で、ここに立てていることがうれしくて感謝。4冠受賞という新たな栄誉」と感激した。
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