廣山望監督(左)と瀬口大翔(右)[写真]=小澤一郎 スペイン遠征を行なっているU-17日本代表はU-17スウェーデン代表と8日に対戦し、0-1で敗戦した。チームとして前後半共にシュートチャンス、決定機を多く作りながらも決めきることができず、アタッキングサードでの質、アイディアに課題を残した。
試合後、廣山望監督は次のように試合を振り返った。「失点も含めて負けるだけの理由がある試合でした。プレッシャー、ハイプレスが来ている中でもボールをしっかり動かせる要素は全然あったし、相手はこっちが嫌なことやってきて、こっちもその狙いを感じて相手の嫌なことをできれば良かったんですけど、なかなかそれをするのに時間がかかった。それができて、最後仕留めるところの精度とか大胆さみたいなのがないから、なかなかこの大きいサイズ、ヨーロッパの選手がゴール前にあれだけいたらシュート入らないよ、っていうのは感じたと思います」
今回のスペイン遠征の狙いについて廣山監督は「チームとしてやってきたことを徹底して上積みすることと同時に、アジア予選の課題でもあるアグレッシブさ、攻守にアグレッシブさを出していかないといけない。今日の試合は数値を見てみないとわからないですが、1、2戦のカナダ、モロッコとの試合ではだいぶ奪いに行くスプリントが入ったり、攻撃のところも背後を突くスプリントが入ったり、実際試合の結果(2勝)にもつながっていたので良かった」と話した。
11月のU-17ワールドカップまで半年を切る中、残り期間の使い方について廣山監督は「自信を持つところと足りないところをしっかり整理したい。活動がたくさんできるわけじゃないですから。明後日(10日)の試合後は、もうしばらく各自でやるしかないわけで。もちろん、大会前になったらやることはやりますけど、まずは個でレベルアップしてもらう」と自チームに戻っての個のレベルアップを促した。
「それこそボランチがプレッシャーの中でも受けて前を向けるとか、センターバックはもっといい準備をして中を覗きながらパススピードを上げて、とか。やっぱりどうしても自分のチームだと、日本だとあのパスでも通っちゃう。コンディション的に3戦目で疲弊があったからなのか、そもそも相手のプレッシャーで見えるものが減っているのか。後者だと思いますが、ちょっとプレッシャーを受けると準備が足りなかったり、見えるものが減っている。いずれにせよ、Jのアカデミーの選手たちは日常でトップチームに呼ばれて練習する機会が増えてきて欲しい。それが一番の近道。高校生のプレーの中でやるとどうしても、もうワンテンポおいて、隣の選手を使って味方が打っても入っちゃうけど、(今日の試合のように)その一瞬を逃して1個丁寧にやって1個止めてシュートだと入らないっていうのをどう自分でやるか」
また、U-17スウェーデン戦で右のウイングバックとして先発した瀬口大翔(ヴィッセル神戸U-18)は試合について「相手に分析されていたと思うんですけど、自分たちのセンターバック3枚に対して相手が4-3-3の形で(前線)3枚ではハメに来てそこで結構はまってしまったので、難しい展開というか、そこで外しきれないことが多かったので良くはなかったですね」と振り返った。
日本の3-4-2-1に対してスウェーデンは4-3-3。システムの噛み合わせからしてギャップが生まれ、日本の守備時には相手SBに瀬口と増田大空(流通経済大学付属柏高)の両ウイングバックが思い切ってプレッシングに飛び出るシーンも何度か見られた。右でのプレスの出し方について瀬口は、「(吉田)湊海がプレスに出てくれるんですけど、相手のサイドバックが横(ポジション)を取ってくるのでそこに自分が出て行くのか出て行かないのか。中途半端に遅れて行くとやられるし、そこはチームのミーティングでやったんですけど、無理に行ったら外されるし体力がもったいなくなるので、そこは湊海と話し合いながら上手くやりました」
所属のヴィッセル神戸では3バックシステムのウイングバックをやったことがないという瀬口。U-17日本代表でも同システムではこれまでシャドーをやることが多く、今回のスペイン遠征で右ウイングバックへのコンバートを試されている。「最初の頃は、あんまりそういうポジションが得意じゃないのでしっくり来ませんでしたが、やってみたら結構自分のいいところもまあまあ出せるので。守備の部分も改善していったら自分はできると思ってるんで、いい感じです。全然できると思います」と新ポジションへの適応に自信を見せた。
最後にU-17ワールドカップのメンバー入りに向けた意気込みを瀬口は次のように語った。「スペイン遠征に来ていないメンバーでもすごい選手がいっぱいおるので。ここでいい結果残すのはもちろんですけど、プレミアリーグではチームの部分でいかに自分を出せるかを大切にしていきたいと思います」
取材・文=小澤一郎