95年の宝塚記念を制したダンツシアトル(撮影:高橋正和) 今年の番組改編によって、宝塚記念は2週前倒しとなった。そこで注目したいのが30年前の一戦だ。95年1月17日に阪神淡路大震災が発生。直後に中止となった京都開催は「復興競馬」として6月に代替されたのだ。宝塚記念は「震災復興支援競走」として当初より1週間前倒しになり、4年ぶりの京都開催に。そんな異例の一戦を振り返る。
この年の宝塚記念は混戦模様だった。1番人気は安田記念2着のサクラチトセオーで4.4倍。これに京阪杯覇者のダンツシアトルが5.1倍、天皇賞(春)などGI・3勝のライスシャワーが6.0倍、前年の天皇賞(秋)を制したネーハイシーザーが6.9倍、安田記念3着のタイキブリザードが7.8倍で続いた。まさに稀に見る戦国グランプリだった。
レースは伏兵のトーヨーリファールがマイペースで逃げた。番手にタイキブリザードが付けて、直後にダンツシアトル。サクラチトセオーは後方で脚をためる。そしてスタンドがどよめいたのは3角からの坂の下りだった。ライスシャワーが競走を中止したのだ。場内が騒然とする中、レースは進む。直線に向いてもトーヨーリファールが粘っていたが、内からダンツシアトル、外からタイキブリザードが並びかける。一方、後方勢は伸びが甘い。最後は先行勢の争い。最内から抜け出したダンツシアトルがタイキブリザードをクビ差凌ぎ、GI初挑戦で初制覇を果たしたのだった。ちなみに上位2頭はともにシアトルスルー産駒。外国繋養種牡馬のワンツーという異例の決着でもあった。
今年は30年ぶりとなる前倒し開催。どんなレースとなるのだろうか。