ハートのヒョンデが初優勝。雨を好機にジェルミニのアウディも勝利をつかむ/TCRヨーロッパ第3戦

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2025年06月12日 18:30  AUTOSPORT web

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今季は名門ターゲット・コンペティションで孤軍奮闘のマックス・ハートがシリーズ初優勝
 ドイツ・ホッケンハイムで争われたTCRヨーロッパ・シリーズ第3戦は、予選最速の『FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR』に始まり、決勝は『ヒョンデ・エラントラN TCR』『アウディRS3 LMS2』のセダン型モデルが勝利を飾る結果に。今季2025年は名門ターゲット・コンペティションで孤軍奮闘のマックス・ハートがシリーズ初優勝を飾り、雨絡みの好機でタイヤ戦略を当てたPMAモータースポーツのフェリーチェ・ジェルミニも勝利を手にしている。

 次戦のイタリア・ミサノ、ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリにて世界戦FIA TCRワールドツアーの一行と相対するヨーロッパのレギュラー陣は、その大一番を前に6月6〜8日にドイツでのシリーズ戦に臨むことに。

 ここで輝きを放ったのが昨季の世界戦メンバーであるマルコ・ブティ(MMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)で、前戦ベルギーのスパ・フランコルシャンで欧州選手権初優勝を飾った勢いそのままに、予選Q2最初のアタックで1分47秒886のベストタイムを叩き出し、同じくイタリア出身のニコラ・バルダン(アイコア・レーシング/アウディRS3 LMS2)をコンマ2秒強も突き放してみせた。

「Q2で雨が降り、ベストラップを記録できるのは1周だけだったから、決して楽な状況ではなかった」と走り出しのフリープラクティス1(FP1)でも最速を記録していたブティ。「ホッケンハイムのトラックリミットは非常に厳しいし、ミスをしないように気を配る必要があったけど、本当にうれしいよ。チームはポールポジション獲得のために懸命に取り組んでくれたし、僕らはレースでは非常に強いけれど、今日は予選でも最速マシンになれることを他のチームに証明することができた」

「イタリアのミサノに向かう前に、チャンピオンシップのトップに立つべく今すぐポイントを獲得する必要があるね!」

 そう語っていた弱冠20歳の若手有望株だが、迎えたレース1のスタートではグリッドからの蹴り出しで大きく遅れバルダンに先行を許すと、焦りからかヘアピンでオーバーシュート。さらにふたつポジションを失う悪夢のオープニングラップとなる。

 しかしこのラップの終わりに多重クラッシュが発生してセーフティカー(SC)が導入されたことで、若きホンダ使いは九死に一生を得ることに。このリスタートで首位攻防が激化し、ターン2でインに飛び込んだヒョンデのハートがトップへと浮上。その間隙を突いたエリック・ジェネ(モンラウ・モータースポーツ/クプラ・レオンVZ TCR)が2番手に続き、バルダンを追い抜いたブティも表彰台圏内へとポジションを回復していく。

 続くヘアピン進入時のブレーキングでジェネをパスしたブティは、そのままヒョンデのテールに迫ったものの、追撃の手を緩めないバルダンと軽い接触があり、これで予選9番手と不調だったジミー・クレーレ(チーム・クレーレ・スポーツ/アウディRS3 LMS2)が3位表彰台に滑り込んだ。

「スタートではローンチコントロールでマシンをうまくスタートさせることができなかった」と振り返った2位挽回のブティ。

「でもターン1でマックス(・ハート)との戦いを制し、窮地を脱した。その後、ブレーキに違和感を覚えたけど、もしかしたら僕のミスだったのかもしれない。今日は勝てたはずなのに、それが叶わなかった。もっと努力してベストを尽くし、さらに頑張らなければならないね」

 一方、終盤は後続の追い上げに反応してリードを拡げる地力を見せたハートは、新天地のTCRヨーロッパで待望の初優勝を飾った。

「マルコ(・ブティ)のスタートがあまり良くなかったから(ニコラ・)バルダンの後ろを走ろうとしたが、まったく接触はせず、それでも周囲のクルマに追い抜かれ始めた。でもセーフティカーが入る直前のターン11でエリック(・ジェネ)のインにつけることができて幸運だったね」と序盤の攻防を振り返った2023年マカオ覇者のハート。

「バルダンをパスするには早めに仕掛ける必要があると分かっていたから、セーフティカーの後ろでタイヤを準備し、そのまま粘り、ギャップを広げることができた。マシンのセッティングは本当に完璧で、スタートと終盤は非常に安定していた。明日(10番手スタート)は他を寄せ付けないことが目標で、マシンのペースは充分にある。トップ5でフィニッシュできない理由はないと思うし、このチャンピオンシップではトラブルに巻き込まれないことが鍵だね」

 しかし明けた日曜は、早朝からの雨によりほとんどのドライバーがフロントにスリック、リヤにウエットタイヤを装着した“ミックス・チョイス”でグリッドへ。ただしレーシングラインがドライだったことを考慮し、フルスリックを選択したドライバーも見受けられた。

 しかし雨が激しくなるにつれ、フルスリック選択組はすぐにそのミスに気づき、ピットへ向かう者やコースオフを喫する車両が続出。そんななか4本のウェットタイヤでスタートした数少ないドライバーのひとりだったアウディのジェルミニは早くも2周目にトップに立ち、終盤のSC介入前に20秒以上のリードを築き上げてみせる。

 残りわずか3分で再度のSCが投入され、後続との44秒差が帳消しとなったトップランナーだったが、コンディション要件と必要なクリーンアップ作業により、レースはそのままSC先導で終了。ジェルミニが“有言実行”の2位ハートを従えての勝利となった。

「チームのためにうれしい気持ちでいっぱいだ。でも、ある意味うれしくない気持ちもある。大きなアドバンテージがあったし、他のドライバーと同じコンディションでレースに勝ちたいからね」と続けたジェルミニ。

「グリッドでスリックからレインに交換する決断をしたのが幸運だった。5分前ボード掲示後の決断でペナルティを受けたドライバーも居たしね。昨日の予選では不運に見舞われ、Q1は最速だったのにQ2の自分のラップで雨が降り始めた。だから今日はリベンジできたよ!」

「TCRでレースを続けたいと思っているし、ここが1番好きなカテゴリーだからね。ホームレースのミサノを欠場するのが残念だが(9月の第6戦)レッドブル・リンクには必ず戻ってくる」

 そのコメントどおり。次戦のTCRヨーロッパ第4戦は、6月27〜29日の週末にイタリア・ミサノにて世界戦併催イベントが待ち受ける。

[オートスポーツweb 2025年06月12日]

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