陸上男子でフルマラソン141回完走の川内優輝(38=あいおいニッセイ同和損保)が、自己ベストの更新に燃えている。
17日、都内でアンバサダーを務めるGPS機器メーカー「Garmin(ガーミン)」のイベントに出席。これまでの自己最速は21年びわ湖毎日で記録した2時間7分27秒だが「自己ベストを出したい。自分の記録が伸びる限りはやっていきたい」と決意を口にした。
3月に38歳となった男は、今も第一線で走り続けている。昨年は1月に発症した左臀部(でんぶ)痛に苦しんだ時期もあったが、今年は5000メートルから50キロまで計20レースを走破。フルマラソンも3度完走しており、4月のかすみがうらマラソンを2時間19分10秒で13年ぶりに制すと、5月のバンクーバーマラソン(カナダ)では2時間18分16秒で3位となった。
故障期間は「これまでの競技人生でもないくらいのレベル。7カ月くらい無理をしてしまった」と想定よりも長引いたが、これを機に補強トレーニングや筋力アップに注力。「もともと補強や筋トレはあまり力を入れていなかったけど、このケガさえ乗り越えれば選手寿命は延びるだろうと思っていた」。今も完治はしていないというが、毎週末のようにレースをこなし「スピードも戻ってきた。あとは体力をどこまで戻していけるか」と手応えを口にする。
モチベーションの1つとなっているのが「まだまだやれる」との姿を見せたいという思い。トラックでの記録会に出場すると、19歳の大学生から「小さいころにサインをもらいました」と声をかけられることもある。「全国でそういうつながりがあるのはうれしいこと」と喜びを感じている。
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それだけではない。23年10月のパリ五輪マラソン代表選考会(MGC)では35キロ過ぎまで大逃げを見せ、4位と大健闘。その際に寄せられた「まだ現役を続けているんだ」「まだ頑張っているんだ」との声も心に響いた。
「MGCはいろいろな人が注目してくださるレース。『いや、今でも結構レース出てるんだけど』と思いつつも、でも普段はあまり関心がない方も見てくださった。あそこで活躍することで、いろいろな方に『頑張っているな』と知っていただける」
MGCの最年長出場は、今井正人と岡本直己の39歳。川内が28年ロサンゼルス五輪の代表選考会となる次回大会に出場すれば、2人を上回る40歳での参戦となる。「40歳でのMGC。五輪を目指すかどうかは別として、なんかいいなと。今はそこを目指して頑張りたい」と思い描く。
そのためにも、MGCの出場権獲得が不可欠。さまざまな進出方法があるが、川内は今冬の防府読売マラソン(12月7日)での切符獲得を目指している。条件は2時間9分00秒を突破した上で6位以内に入ることだ。
「防府で優勝争いをしたい。そのためには2時間7〜8分台が必要。そこで走れれば(26年冬の)大阪マラソンや東京マラソンにも出たいと思っている。(27年の)MGCでしっかり勝負したい」
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今も大学生に負けると「悔しい」という思いが湧き上がる。川内の求道に終わりはない。【藤塚大輔】
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